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第571話 相談

言珠のことを知ろうと、

夜羽が最初に向かったのは、

番外地の砂屋だ。


風鈴がいつものように、ちりんとなっている。


店に入ると、整然と並ぶ砂の数々。

店の奥から砂屋がやってきた。

「いらっしゃいませ」

「やぁ、ちょっと相談に来たんだ」

夜羽は言珠を見せる。

「これは…砂向きではありませんね」

「これは言珠というらしくて、あるべきところに返そうと思うんだ」

「なるほど」

「あるべきところに返す、言珠はそれでいいものかな」

「と、言いますと?」

「妄想屋の戯言だけどさ、言珠が満ちる場所でありたいと思うんだ」

「満ちる」

「言珠の満足する場所、満ち足りる場所…かな」

「ああ、それで満ちる」

砂屋は納得したらしい。


砂屋は、一つ砂を示す。

「砂や石は、長い長い年月で巡ります」

「うん」

「長い時間そこに存在したとして、そこが終わりとも限りません」

「うん」

「正解なんて一概に出せるわけではないと思うのです」

「そっか」

「言珠が満ちる場所を探すというなら、それは」

「それは?」

「生きているうちに見つかれば、それは幸運だと思うのです」

「そうだね」

夜羽は微笑む。


砂屋は思う。

夜羽は妄想を聞いたり再生したりが仕事だ。

石や砂の声を聴くことは不可能だ。

黙っているだけで聞けるのかもしれないけれど、

それでも、この広い広い世界、

扉を開ければそれこそたくさんの世界が広がっているこの世界で、

夜羽は石のあるべき場所を探し当てられるのだろうか。


夜羽は言珠をしまった。

「あるべき場所にあるように。きっとどうにかなりますよ」

「そうですか」

「お邪魔しました、ありがとう」


夜羽は言い残して、砂屋を後にした。


風鈴がちりんとなった。

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