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第334話 斧

これは斜陽街から電脳を介した世界の物語。


アルコールというグループに、

シャンジャーは所属している。

アルコールという、そのグループは、

電脳を介して、脳内にダイブをし、

夢を与えたり、脳内のバグ取りをしたりしている。

そんなグループだ。


シャンジャーは、脳内ダイブにあまり呼ばれない。

その暇な時間を使って、

シャンジャーは風水師の真似事を、電脳内でしている。

風水を整える。

もっぱら、バグ取りだったりするわけだが、

シャンジャーは結構それが気に入っていた。


暇をもてあましたシャンジャーは、

ある日拾ったデータから、遊びを思いついた。

どこかで使われるはずのデータが、

シャンジャーのもとにまでたどり着いたのだ。

シャンジャーは連絡を取る。

「あなたのデータは、これですか?これですか?」

拾ったデータより、数倍キレをよくしたデータの断片を、わざと送る。

正直に答えれば、

キレをよくしたデータも一緒に送る。

うそつきだったら、全部抹消。

シャンジャーは昔話の、泉の精みたいな真似事を始めた。


シャンジャーは、「シャンジャーのゴミ泉」を、

電脳の中に作った。

ゴミ箱に捨てられたデータの、

どちらかといえば、がらくた置き場のようなところだ。

シャンジャーは、風水を整えるついでに、

ゴミ泉をのぞく。

たくさんのデータの中から、選別して、

シャンジャーは新たな、金の斧、銀の斧に代わる、

キレのいいデータを書き上げる。

その間数分。

メールを送りつけて、反応を見る。

アルコールのグラスを使って、内部にまでダイブすれば、

どんな反応をしているのかもわかる。

シャンジャーは呼ばれないし、見なくてもいいかと思っている。


やがて、今回の分のメールたちの反応が来た。

うそつきも正直者もいる。

どっちもいるものだとシャンジャーは思う。

世の中きれいなばかりでもなく、

汚いばかりでもなく。

それでのシャンジャーは暇つぶしに、

正直者がちょっと得することをしたい。

うそつきばかりでは、やっぱり疲れるのだ。


ゴミ泉に、また、データが投げ込まれる。

シャンジャーの感覚だと、ボチャボチャンと。

八卦池経由もあるだろうか。

水という感覚が妙にリアルだった気がする。

シャンジャーは拾い上げて、通信を試みる。

「あなたのデータは、どんなデータでしたか?」

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