これは斜陽街から電脳を介した世界の物語。
アルコールというグループに、
シャンジャーは所属している。
アルコールという、そのグループは、
電脳を介して、脳内にダイブをし、
夢を与えたり、脳内のバグ取りをしたりしている。
そんなグループだ。
シャンジャーは、脳内ダイブにあまり呼ばれない。
その暇な時間を使って、
シャンジャーは風水師の真似事を、電脳内でしている。
風水を整える。
もっぱら、バグ取りだったりするわけだが、
シャンジャーは結構それが気に入っていた。
暇をもてあましたシャンジャーは、
ある日拾ったデータから、遊びを思いついた。
どこかで使われるはずのデータが、
シャンジャーのもとにまでたどり着いたのだ。
シャンジャーは連絡を取る。
「あなたのデータは、これですか?これですか?」
拾ったデータより、数倍キレをよくしたデータの断片を、わざと送る。
正直に答えれば、
キレをよくしたデータも一緒に送る。
うそつきだったら、全部抹消。
シャンジャーは昔話の、泉の精みたいな真似事を始めた。
シャンジャーは、「シャンジャーのゴミ泉」を、
電脳の中に作った。
ゴミ箱に捨てられたデータの、
どちらかといえば、がらくた置き場のようなところだ。
シャンジャーは、風水を整えるついでに、
ゴミ泉をのぞく。
たくさんのデータの中から、選別して、
シャンジャーは新たな、金の斧、銀の斧に代わる、
キレのいいデータを書き上げる。
その間数分。
メールを送りつけて、反応を見る。
アルコールのグラスを使って、内部にまでダイブすれば、
どんな反応をしているのかもわかる。
シャンジャーは呼ばれないし、見なくてもいいかと思っている。
やがて、今回の分のメールたちの反応が来た。
うそつきも正直者もいる。
どっちもいるものだとシャンジャーは思う。
世の中きれいなばかりでもなく、
汚いばかりでもなく。
それでのシャンジャーは暇つぶしに、
正直者がちょっと得することをしたい。
うそつきばかりでは、やっぱり疲れるのだ。
ゴミ泉に、また、データが投げ込まれる。
シャンジャーの感覚だと、ボチャボチャンと。
八卦池経由もあるだろうか。
水という感覚が妙にリアルだった気がする。
シャンジャーは拾い上げて、通信を試みる。
「あなたのデータは、どんなデータでしたか?」