これは斜陽街でない、
どこかの都市の話。
「667、入ります」
建物の扉の前で、白い制服の男は宣言した。
「667、許可します」
電子音声がそう言うと、扉が開いた。
667は扉から、会議室を目指した。
会議室には、何人かの白い制服の者たちが集まっていた。
667はいつもの席に座った。
会議が始まった。
「『D69』にて、監視カメラが、また壊された。例の前科持ちのほかにも、危険分子がいると思っておかしくない」
「早急に制圧し、秩序を持たせないといけない」
「放置すると、危険すぎる街だ」
「戦士の派遣はどうする?」
「今の計画の段階では、ゲートをこじ開けての生体の戦士、および、電脳ゲートを開いての電脳戦士を計画している」
「ゲートはどこに?」
「本部のゲートルームに新たにゲートを作る。行き先は『D69』。ただし、位置まではまだ決めていない」
「大通りに設置。3つほどがいいだろう」
「しかしながら、大通りでは、『D69』の住人が、この都市にやってきて、秩序を乱す可能性もある」
「致し方ない。路地に」
「場所を決める。マップを」
会議室に大きなマップが立体で映される。
どの白い制服の者からも、ちゃんと見える仕組みらしい。
「ひどく入り組んでいるな」
「私の案としては、住民も行かないであろう、行き止まりをゲートにすることを提案する」
会議室のマップに、何箇所か、行き止まりに点が打たれる。
それを白い制服の者たちは認めると、
「異議なし」
「異議なし」
と、口々に言った。
「戦士に『D69』のマップを渡しておこう」
「生体・電脳、両方に渡しておき、なおかつ、秩序を持って動くように」
「無秩序に秩序を」
「この都市のように、成功した都市になるよう」
「計画は完璧でなければいけない」
「しかし、近いうちに、制圧をかける」
「異議はない」
そうしてその日の会議は終わった。