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第159話 階級

これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。

紅葉の描かれた扉の向こうの世界の物語。


アキ達一味は、高級レストランの招待券を持って、

車で、町からずいぶん離れたレストランへやってきた。

駐車場には、すでに高級そうなピカピカ磨かれた車が並んでいる。

そして、高級そうな服を着た、

…アキからすれば、なんだかお高くとまった、

階級の高いらしい人物が車を降りていく。


アキ達もそれなりの服を着てきたが、

どうやら、そうそうたる顔ぶれのようだ。


レストランも高級にふさわしく外見から豪華だった。

白く塗られて、繊細な細工がそこかしこに施されている。


アキはそこで、少し小柄な少年を見つけた。

アキも小柄なほうなので、アキよりは背が高い。

少年は高級車の運転手と何か話している。

どうも少年の顔つきから察するに、あまり乗り気でないようだ。


「おい、アキ、行くぞ」

アキの仲間が呼ぶ。

「あたしの招待券だけくれる?すぐ行くから」

仲間は招待券をアキに渡すと、

レストランに入っていった。


「だから、こんなところで食事なんてイヤなんだ」

「坊ちゃん、お父様は忙しい身。ここで人脈を作っておくのも将来の…」

「そういうのがイヤなんだよ。なんだか腹の探りあいとか、だましあいとか、利用価値を見るとか…そういう気がして」

坊ちゃんとやらは、どうもこういう場が好きではないようだ。

アキはちょっと共感した。

「こんにちは。坊ちゃん」

「…なんだよ」

「別に。駄々こねてる坊ちゃんがいると思って」

「駄々というか…正直、苦手なんだ」

「ふぅん、坊ちゃんは高級レストランが嫌い?」

「お高くとまってる気がして…それと、坊ちゃんはやめてくれないかな?」

「じゃあ、なんて呼べばいい?あたしはアキ」

「僕はナツ」

「それじゃナツ、とりあえずは人脈云々より入るだけ入ろう。駄々こねてもおじさん困らせるだけだし」

「ん…すまなかった。じいや」

「いえいえ…では坊ちゃん、行ってらっしゃい」


アキとナツは階級の高いものの集うレストランに入っていった。

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