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第157話 前科

これは斜陽街でない、

どこかの都市の話。


「667、入ります」

建物の扉の前で、白い制服の男は宣言した。


「667、許可します」

電子音声がそう言うと、扉が開いた。

667は扉から、会議室を目指した。

会議室には、何人かの白い制服の者たちが集まっていた。

667はいつもの席に座った。


会議が始まった。

「426の見つけてきた町『D69』には、ひどいことに前科者がいることがわかった」

「前科者が?」

「それでは秩序がないわけだ」

「前科者もまとめて処分するべきだ」

「静かに静かに」

一応、静かにはなる。

そして、

「前科者の資料を表示願う」

「はい、これが前科を確実に持っている者です」


大きな白いスクリーンに、ヤジマとキタザワが映し出される。


「ひどい目だ。確実に前科を持っている顔だ」

と、少しきつめのヤジマの目が評価される。

「凶暴そうな男だ」

と、気弱そうなキタザワが評価される。

「この二人の前科は『H02』における宝石強盗です」

「どうりで暴力的だと思った」

「秩序を壊すものに相違ない」

「今すぐ処分するべきだ」

「静かに静かに」

そして、また静かになる。


「この女のほう、われわれが取り付けた監視カメラを一つ、銃で打ち抜いています」

「前科を作っておいて、監視カメラを壊すだと?」

「きちがいじみている」

「『D69』への監視を強化、ならびに、戦士に『D69』を制圧する準備を整えるように通告を」

「了解」


それで会議が終わったかに見えたが、

誰かが疑問を口にした。

「ところでこの町を見つけた426は?」

「見つけて以来欠席が続いている」

「代わりはいくらでもいる」

「それもそうだ」


そうしてその日の会議は終わった。

426の行方は誰も探そうとしなかった。

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