これは斜陽街でない、
どこかの都市の話。
「667、入ります」
建物の扉の前で、白い制服の男は宣言した。
「667、許可します」
電子音声がそう言うと、扉が開いた。
667は扉から、会議室を目指した。
会議室には、何人かの白い制服の者たちが集まっていた。
667はいつもの席に座った。
会議が始まった。
「426の見つけてきた町『D69』には、ひどいことに前科者がいることがわかった」
「前科者が?」
「それでは秩序がないわけだ」
「前科者もまとめて処分するべきだ」
「静かに静かに」
一応、静かにはなる。
そして、
「前科者の資料を表示願う」
「はい、これが前科を確実に持っている者です」
大きな白いスクリーンに、ヤジマとキタザワが映し出される。
「ひどい目だ。確実に前科を持っている顔だ」
と、少しきつめのヤジマの目が評価される。
「凶暴そうな男だ」
と、気弱そうなキタザワが評価される。
「この二人の前科は『H02』における宝石強盗です」
「どうりで暴力的だと思った」
「秩序を壊すものに相違ない」
「今すぐ処分するべきだ」
「静かに静かに」
そして、また静かになる。
「この女のほう、われわれが取り付けた監視カメラを一つ、銃で打ち抜いています」
「前科を作っておいて、監視カメラを壊すだと?」
「きちがいじみている」
「『D69』への監視を強化、ならびに、戦士に『D69』を制圧する準備を整えるように通告を」
「了解」
それで会議が終わったかに見えたが、
誰かが疑問を口にした。
「ところでこの町を見つけた426は?」
「見つけて以来欠席が続いている」
「代わりはいくらでもいる」
「それもそうだ」
そうしてその日の会議は終わった。
426の行方は誰も探そうとしなかった。