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第156話 支配

これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。

龍の彫られた扉の向こうの世界の物語。


ロンのいる町は、白い服を着た者たちに支配されている。

白い服を着たものたちを、『白鬼』と町のものは影で呼んだ。

一般人はある程度普通に暮らしているが、

白い服の者に逆らうと、

かなりひどいことをされた。

白い服の者たちに言わせると、

それがこの町の秩序らしい。


本来は徒党を組むことも、白い服を着たものたちに逆らう行為として、あまり許されていない。

ロン達のグループも、正規のグループではないし、

『白鬼』から見れば、

反乱分子に当たるのかもしれない。


ある日、ロンは町に買出しに出かけた。

メンバーと一緒に、荷物を抱えて帰路につく。

「買い忘れは…ええと…」

メモを見るロンに、

「ロン、あれ…」

メンバーの一人が指をさした。

その先には、『白鬼』に蹴られている子どもがいる。

ロンは荷物をメンバーに渡すと、

子どもの元へ向かった。


「何をしているんですか!」

ロンが大声をあげる。

「俺たちにお前も逆らおうというのか?」

「子どもが何を逆らったというのです!」

「白の服を汚した!それだけで十分死に値する行為だ!」

「それがあなた方の秩序なのですか!」

「だまれ!お前も秩序を乱そうというのか!」

「汚れた服は洗えば落ちる。それすらしないのが秩序を乱すのではないですか?」

「ちっ…」

『白鬼』の一人は、ロンにつばを吐いて去っていった。

蹴られていた子どもが恐る恐る顔を上げる。

ロンは吐かれたつばを拭き、

「もう大丈夫だよ」

と、笑って見せた。


ロンはメンバーとともに家に戻り、

汚れた服を洗う。

「この町の秩序…」

ロンは考え込む。

今の秩序というものに疑問を持つことができるなら。

それを変える伝説があるというのなら。

ロンは部屋の窓の外を見る。

伝説の龍鈴のある塔。

その鈴を鳴らせば、『白鬼』から解放されるだろうか。

帰りに見た子どもも、

きっと他にもいる苦しむものも。


ロンは龍鈴を鳴らそうと、心に決めた。

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