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第150話 模型

ここは斜陽街三番街の、がらくた横丁。

横丁の中に、玩具屋がある。

おもちゃを売ったり修理したり。

暇な時間はおもちゃを作ったり。

玩具屋はそういったことをしている。


今日も今日とて、

玩具屋は模型を一つこしらえていた。

手先の器用な玩具屋は、

それでも慎重に、模型を作っている。


白い、きれいな船の模型だ。

実在する船かどうかはわからない。

けれど、かなりリアルで、

小人でもいたら、ちゃんと船になりそうな感じであった。


玩具屋が模型作りをしていると、

お客が来た。

子どもが二人。

車のおもちゃが壊れたらしい。

玩具屋は模型を作る手を止め、

おもちゃ修理に取り掛かった。

子ども二人が模型に興味を持つ。

玩具屋は何も言わない。

子どもが模型に手を伸ばし、いじろうとしたところ、

模型は台から落ちて壊れてしまった。


子どもは玩具屋から黙って出て行ってしまった。


玩具屋はそれを全部把握していた。

また、作り直せばいいかと思っていた。

だから、

「ほら、車直ったよ」

と、外にいる子どもに呼びかけた。


子どもが恐る恐る出てくる。

「怒ってない?」

「怒っていないよ。作り直せばいいものだからね」

「…ごめんなさい!」

「ごめんなさい!」

子どもは謝った。

玩具屋はそんな子どもの頭をなでた。


子ども二人が去っていって、

玩具屋は壊れた模型の修理に取り掛かった。

実はこの模型、他の子どもに壊されたこともある。

一度や二度ではない。

この模型は何度でもよみがえる。

そういうものだと思っている。


玩具屋は、また、模型作りに励むことになった。

壊れたら直せばいい。

完成がないならそれでもいい。

何度でもこの船は復活する。


白いきれいな船は、

しばらくしたら、また、玩具屋の手によってよみがえるだろう。

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