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第149話 招待

これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。

紅葉の描かれた扉の向こうの世界の物語。


ここはとある町。

上流階級と、悪党が大手を振る町。

その町に住まうアキは、いわゆる悪党と呼ばれるものだった。


アキは一見すればそれなりの生活をしているように見える。

しかし実は、アキは他に3人の仲間と、主に泥棒を働いている。

美術品や宝石など、高価なものを狙う。

そして、その盗品は、

上流階級が買い取る。

そんなシステムが出来上がっていた。


アキとしては疑問に思うところはある。

何を持って正義か。

何が正しいのか。

正しくないことをしてまで金を得るのは…

こんな自分が裁かれないのは…

考え出すとぐるぐるとしてしまう。


そして、アキなりの罪滅ぼしに、

孤児院にお金を入れることがある。

美術品などを売りつけたあとの、

アキの分の分け前から少しずつ。

仲間には黙っている。


そんなある日、

アキたちの元に招待状が来た。


「なに?」

「上流階級限定の高級レストランができたので、それのご招待…だとさ」

「高いんじゃないか?」

「招待券があれば、無料だと」

「行くしかないじゃないか」

仲間が行くことを、ほぼ決定する。

「アキはどうする?」

「…なんか、高級なの、肌に合わないんだけど…」

「どうせタダなんだし、行こうぜ」

「…わかった」


アキは気が進まなかった。

嫌な予感も感じていたからだ。

裏がある感じ。

悪党として生きていく上で身につけた勘。

でも、根拠はなく、

アキはレストランに招待されることとなった。

それでも、アキは勘に従い、護身用に持ち歩く伸縮するロッドを懐に入れた。


「レストランはどこなの?」

アキが尋ねれば、

仲間は同封されていた地図を示した。

ずいぶん町から離れている。

自然の中で高級感を、と、書いてあったが、

やはりアキは嫌な予感がした。

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