これは電脳の仮想空間の物語。
廃墟探索が趣味の少女達が、電脳にある廃墟を探索していた。
現実にも廃墟はあるが、
そこに行くまでに労力がかかる。
それに、現実の廃墟は危険だ。
そういう理由で、彼女達のように、電脳の廃墟を探索するものもいる。
電脳空間でも、ある程度リアルに廃墟の感覚は出せている。
昼もあれば夜もある。
しかし、電脳廃墟はそれだけではない。
電脳廃墟に入ると、現実ではできない特殊な力が使えるようになる。
現実の自分を忘れられるくらい、魅力的なことらしい。
少女達は、いつものように、電脳廃墟の待合室に集まった。
「やぁ、あかね」
「かもめ、早いね」
「あおいは?」
「そろそろ来るんじゃないかな?」
「やぁ、二人とも早いなぁ」
「よしっ、みんなそろったね」
三人の少女は、気ままに電脳廃墟をかける。
かもめは、身体能力が優れている設定にした。
あかねは、手先の器用さを選んだ。
あおいは、ある程度の魔法を使えることにした。
名前は電脳廃墟に入るときにランダムで選んだものだ。
だから、その名前の意味なんて知りはしない。
ただ、彼女たちを識別するのに使っている。
廃墟に入り、
廃墟にいる怪物や霊や、そういったものを倒し、
経験値をためてさらに強くなり、
廃墟の奥にある宝物を探し、
宝物を持って帰ることにより、電脳廃墟の入り口でポイントと換算され、
ポイントで、新しいアイテムが買える。
そのアイテムを使って、新たな廃墟に行く。
実在する廃墟をモチーフに緻密に再現されていることと、
実際の怪我や死などとは無縁に探索できるところが、売りらしい。
ただし、ある程度の仮想空間内での命のポイントはある。
まぁ、滅多なことでは仮想空間の死はない。
「さぁ、どこに行こうか」
今日も少女達は、廃墟をかけていく。