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第136話 捕獲

電脳娘々は、夜羽のテープで捕獲した邪気を、

電脳中心まで連れて行き、

そして、電脳中心にある、電脳娘々の数々の機材によって、

邪気は無事にCD-Rに書き込まれた。

一応悪さができないように、圧縮してある。


「やれやれ…これで斜陽街も平和になるね」

思えばこの邪気であちこち騒ぎが起きた。

人形師の人形にとりついたり、

熱屋の熱カプセルにとりついたり、

がらくた横丁を逃げ回ったり…

電脳娘々が把握していないものなら、もっとになるだろう。

「とにかく、これをシャンジャーに送ろう」

この邪気もデータを取られれば、抹消される運命だ。

ぜんぜん命ではないのだが、

迷惑をかけることしかできないプログラムみたいなものなのだが、

電脳娘々は、一抹の寂しさを感じた。


それでも、電脳娘々はシャンジャーに連絡を取る。

いつもの場所にアクセスする。

「シャンジャー?」

『ああ、俺だ』

「邪気、捕まえておいたよ。今データ送るね。念のため圧縮してあるから。例のソフトで解凍してね」

『ああ、ありがとう』

「シャンジャー?」

『ん?』

「疲れてる?」

『ああ…その邪気のコピーを、こっちでずいぶん削除してたからな…電脳空間だと、そいつコピーするんだ…』


他愛もない会話をし、

電脳娘々はシャンジャーとの連絡を終えた。

邪気のデータは送った。

電脳娘々は、この邪気を、

ちょっとした記念に取っておこうかと思った。

無論、悪用する予定はないが、

まぁ、気が向いただけだ。


電脳娘々は邪気のCD-Rをケースに入れ、

「邪気」と、記すと、

電脳中心の中の、CDケースにしまう。

正直、疲れはしている。

電脳空間でコピーをされるというなら、

シャンジャーはもっと疲れているかもしれない。


「明日は筋肉痛かな…」

電脳娘々は、普段滅多に運動らしい運動はしない。

それでもそれなりにバランスのいい女性なのだが。

それでも、今回の騒動は結構きたらしい。


筋肉痛も、斜陽街に生きている証と思えば。

電脳娘々はそう思い、

休むことにした。


「おやすみ、いたずらっこさん」

CDケースに向かってそう言うと、

電脳娘々は電脳中心の奥に消えた。

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