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第127話 宝石

ヤジマとキタザワは、

強盗して奪った宝石を処分しようと斜陽街を歩いた。

歩くだけでは、とんと見当もつかないので、

キタザワが、道行く人に声をかけた。

すると、

「宝石?鉱物の処理なら、番外地の砂屋がいいんじゃないか?」

「砂屋、ですか?」

キタザワが聞き返す。

「そう、砂屋だ。色とりどりの砂が欲しいって言ってたから、そこで処分してもらったらいいんじゃないか?」


キタザワは番外地の砂屋の場所を聞き、

ヤジマとともに砂屋に向かった。


砂屋に向かうまでの間、

キタザワがヤジマに話しかける。

「ヤジマさん…」

「なんだ?」

「どうして処分しようと思ったんですか?」

ヤジマは奪った宝石の詰まった鞄を見る。

「もう、こいつらに未練がないからな」

「せっかく手に入れたのに、ですか?」

「せっかくと言うか…ん、いらないんだ。もう」

「どうして…」

ヤジマは少し考えた。

「元の街に戻る気がなくなった感じかな…うまく言えないけどな」

ヤジマは少し笑った。

「ヤジマさんが戻らないなら、俺も戻りません」

「そうか…」

「あ、ここじゃないですか?砂屋って」


二人は砂屋についた。

そして、宝石のいっぱい詰まった鞄を砂屋の主人に渡す。

「砂にしてくれるのか?」

「ああ…だけど、こんなにもらっていいのか?この青いのなんかこんなに大きいのに…」

「いいんだ。全部まとめて砂にしてくれ」

ヤジマがきっぱりと言い放つ。

砂屋の主人はヤジマの決意を見たようだ。

「じゃ、砂にする。けれど、宝石ごとに別々にしておくからな。思い出したくなったら、ここに来てくれ」


そして、砂屋は砂屋の技術で、宝石をさらさらと砂にしていった。


ヤジマとキタザワは砂屋をあとにした。

鞄は空っぽだ。


「これからどうします?」

キタザワが聞けば、

「さぁな、今考えてるところだ」

ヤジマは笑いながら言った。

宝石に未練はこれっぽっちもないようだった。

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