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第126話 編物

暇をもてあました探偵は、

探偵事務所の近くにある、神屋にやってきた。


そこでは融合した男女の神が、

不思議な糸を指先から生み出し、

編物にしている。


幸せそうに微笑みながら、

融合した二人の神様は一つになって、

編物を編んでいる。


「邪魔するぞ」

と、探偵はやってきた。

「おや」

「いらっしゃい」

と、二人ほぼ同時に反応する。

「ちょうど編物が一つ完成したところです」

と、指から編物が離れ、床に落ちる。

「探偵さんが来たならちょうどいい」

「この編物を届けてくれませんか?」

二人かわるがわる話す。

探偵は、ちょっと嫌な予感がかすめていったが、

「いいぜ、どこだ。どうせ暇だしな」

と、答えた。


そして探偵は、

編物を持って、扉屋にやってきた。

「寒そうな扉の向こうに届けてください」

と、依頼されたからだ。

相変わらず、扉屋は鑿を振るっている。

「さぁて、寒そうな扉…と」

探偵は扉を探す。

少し開いている扉の向こうに少年がいたが、

そこではなさそうだった。


「そこには、じき夜羽が来る」

扉屋の主人が顔も向けずにそう言えば、

「そうか、あいつの客か」

と、探偵は納得した。


そして、扉屋を歩き回っていると、

いかにも寒そうな…雪の結晶の模様の彫られた扉を見つけた。

「ここか…」

と、探偵は扉を開ける。

とたんに、瓦礫がどさどさとあふれてくる。

瓦礫が崩れるのが収まると、

探偵は持っていた編物を扉の向こう側に放り込み、

「せいぜい役に立てよ!」

と、言い残して、扉を閉めた。


そして、探偵は扉屋に入ってきた瓦礫の撤去作業に追われ、

結局暇がつぶれた。

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