暇をもてあました探偵は、
探偵事務所の近くにある、神屋にやってきた。
そこでは融合した男女の神が、
不思議な糸を指先から生み出し、
編物にしている。
幸せそうに微笑みながら、
融合した二人の神様は一つになって、
編物を編んでいる。
「邪魔するぞ」
と、探偵はやってきた。
「おや」
「いらっしゃい」
と、二人ほぼ同時に反応する。
「ちょうど編物が一つ完成したところです」
と、指から編物が離れ、床に落ちる。
「探偵さんが来たならちょうどいい」
「この編物を届けてくれませんか?」
二人かわるがわる話す。
探偵は、ちょっと嫌な予感がかすめていったが、
「いいぜ、どこだ。どうせ暇だしな」
と、答えた。
そして探偵は、
編物を持って、扉屋にやってきた。
「寒そうな扉の向こうに届けてください」
と、依頼されたからだ。
相変わらず、扉屋は鑿を振るっている。
「さぁて、寒そうな扉…と」
探偵は扉を探す。
少し開いている扉の向こうに少年がいたが、
そこではなさそうだった。
「そこには、じき夜羽が来る」
扉屋の主人が顔も向けずにそう言えば、
「そうか、あいつの客か」
と、探偵は納得した。
そして、扉屋を歩き回っていると、
いかにも寒そうな…雪の結晶の模様の彫られた扉を見つけた。
「ここか…」
と、探偵は扉を開ける。
とたんに、瓦礫がどさどさとあふれてくる。
瓦礫が崩れるのが収まると、
探偵は持っていた編物を扉の向こう側に放り込み、
「せいぜい役に立てよ!」
と、言い残して、扉を閉めた。
そして、探偵は扉屋に入ってきた瓦礫の撤去作業に追われ、
結局暇がつぶれた。