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第125話 吃驚

黒い風が去って以降、

番外地も平穏になった。

特に、廃ビルからの歌に悩まされていた人形師は、

人形が思いを溜め込むこともなくなり、

平和な日々を満喫していた。


人形師は本来の趣味に没頭することにした。

それは、人形を使って、びっくりさせることだ。


人形師は、とりあえず、番外地仲間のスカ爺に見せようと、

びっくりさせる人形を考え、作っていた。

そして、落書きのような人形が一つ出来上がる。

人形師がスイッチを入れると、

ばねの目玉や鼻や耳が、びよーんと飛び出して、ぶらぶらするという代物だ。

ついでにお気に入りの人形を、鞄の中に数体連れて行き、

人形師は八卦池に向かった。


人形師が八卦池にやってくる。

「どうも」

と、挨拶すれば、

うとうとしていたスカ爺は、

「おお、これはこれは…」

と、出迎えた。


「早速ですが、この人形を見てください」

「ほう、どれどれ…」

スカ爺が視線を人形に合わせ、見ているのを確認すると、

人形師はスイッチを入れた。


びよーん


間の抜けた音を立て、目鼻などが飛び出す。

「ほう!」

と、スカ爺がびっくりしたらしい。

「これはこれは…よい人形でござるな」

人形師は「おや?」と、思った。

「あの、飛び出たことにびっくりしたのでは…」

「おお、飛び出ていたな。しかし、いい人形だ。さすが人形師でござるな」

「ふぅむ」

人形師はため息をつく。

しかし、結果的にびっくりしてくれたのでいいとしよう。


「ほかにも数体お持ちしました」

と、人形師が鞄から人形を取り出す。

「ほうほう。いつもながらよい仕事をしている」

スカ爺はいちいち感心している。


番外地の一角で、

番外地仲間が談笑していた。

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