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第120話 科学者

これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。

雪の結晶の模様の彫られた扉の向こうの世界の物語。


アキとスイ達は、『あいつら』の建物に突入していった。

当然反撃はあった。

ただし、人ではなく、機械だったが。


少年たちの戦力は分散されていく。

その中、

「スイ!こっち!」

と、アキが誘導する。

アキの身体のどこかがここを覚えていた。

そして、主力のメンバーが飛ぶアキについていく。


そして、アキ達は建物の中心部にやってきたらしい。

そこには白衣の老人…アキの記憶では科学者が…機械を操っていた。

周りを見渡せば、

ガラスのケースに収まった大人たちが見える。


「人間は宇宙から来た遺伝子なのだよ…」

老科学者が振り向く。

「この大地に絶望したものの遺伝子を宇宙に送るのだ。邪魔は許さん!」

老科学者が叫べば、

「それで『コスモス』ってわけかよ…」

と、スイが皮肉って言った。

「そう、『コスモス』!宇宙にすべてを帰すのだ!…そのためには…」

老科学者がアキを見る。

「そのためには、この力の発現が必要だった…さぁ、お前の力ですべてを宇宙に!」


「あなたが…」

アキがゆっくり話し出す。

「あなたが誰なのかは思い出せない…けど、瓦礫の町にも日は昇る…」

「馬鹿な!もうここには日など昇らぬ!」

「私が昇らせてみせる!」

「それだけの力など設定していない!お前は絶望したものを宇宙に送ればいい!」


老科学者の操った機械が、

スイ達を狙う。

スイ達も反撃する。

「こんなちっぽけなものを守ろうというのか!」

老科学者の攻撃が速度を増す。


スイの肩が撃ちぬかれた。


アキは決意した。

「スイ!みんなを連れて撤退して!」

アキの目の決意を知り、

スイ達は撤退した。


「やっとわれわれを宇宙に…」

「勘違いしないで…」

アキは今までにない力の流れを感じていた。

アキはジャケットをぎゅっと握る。

そして、老科学者をキッと見据える。


「ここを壊して、日をまた昇らせる!」


アキは叫んだ。

叫んだアキから、力が流れる。

瞬く間に建物を覆いつくす。


そして、その様子を、

撤退した少年たちは遠くで見守り…

建物が瓦礫になっていくのを見た。

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