これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。
雪の結晶の模様の彫られた扉の向こうの世界の物語。
アキとスイ達は、『あいつら』の建物に突入していった。
当然反撃はあった。
ただし、人ではなく、機械だったが。
少年たちの戦力は分散されていく。
その中、
「スイ!こっち!」
と、アキが誘導する。
アキの身体のどこかがここを覚えていた。
そして、主力のメンバーが飛ぶアキについていく。
そして、アキ達は建物の中心部にやってきたらしい。
そこには白衣の老人…アキの記憶では科学者が…機械を操っていた。
周りを見渡せば、
ガラスのケースに収まった大人たちが見える。
「人間は宇宙から来た遺伝子なのだよ…」
老科学者が振り向く。
「この大地に絶望したものの遺伝子を宇宙に送るのだ。邪魔は許さん!」
老科学者が叫べば、
「それで『コスモス』ってわけかよ…」
と、スイが皮肉って言った。
「そう、『コスモス』!宇宙にすべてを帰すのだ!…そのためには…」
老科学者がアキを見る。
「そのためには、この力の発現が必要だった…さぁ、お前の力ですべてを宇宙に!」
「あなたが…」
アキがゆっくり話し出す。
「あなたが誰なのかは思い出せない…けど、瓦礫の町にも日は昇る…」
「馬鹿な!もうここには日など昇らぬ!」
「私が昇らせてみせる!」
「それだけの力など設定していない!お前は絶望したものを宇宙に送ればいい!」
老科学者の操った機械が、
スイ達を狙う。
スイ達も反撃する。
「こんなちっぽけなものを守ろうというのか!」
老科学者の攻撃が速度を増す。
スイの肩が撃ちぬかれた。
アキは決意した。
「スイ!みんなを連れて撤退して!」
アキの目の決意を知り、
スイ達は撤退した。
「やっとわれわれを宇宙に…」
「勘違いしないで…」
アキは今までにない力の流れを感じていた。
アキはジャケットをぎゅっと握る。
そして、老科学者をキッと見据える。
「ここを壊して、日をまた昇らせる!」
アキは叫んだ。
叫んだアキから、力が流れる。
瞬く間に建物を覆いつくす。
そして、その様子を、
撤退した少年たちは遠くで見守り…
建物が瓦礫になっていくのを見た。