電脳娘々は邪気を追いかけ、
三番街の方までやってきた。
痕跡を追っていく。
三番街も、がらくた横丁に行かれると厄介だ。
あそこは入り組んでいて、さらに、とりつくものがたくさんある。
そして、電脳娘々が痕跡のログを洗っていると、
がらくた横丁の方から大きな声が上がった。
厄介なことになっているらしい。
鎖師の鎖が鎖師を雁字搦めにする。
鎖師の手足になる輝く鎖だけは難を逃れているらしく、
鎖を解こうとする。
ガキン!と、音がすると、
衝撃に耐えられなくなって、
鎖から黒い不定形の邪気が飛び出す。
「行ったぞ!」
と、声がする。
「どっちだ!」
「螺子師の店の方だ!」
そして、邪気は螺子師の店に置いてある螺子にとりつき、
螺子の調子をおかしくしようとする。
螺子師は電動のインパクトで螺子に対応する。
「くそっ!螺子頭はなめたくないんだよな…」
と、螺子師は舌打ちする。
螺子師が必死になっていると、
邪気はまた出ていった。
「このぉ!」
と、迫力なく捕まえようとしたのは、合成屋だ。
捕まえようとしたが、
合成屋はすべってこけた。
その合成屋をひょいと飛び越えて、
薬師が邪気を追っていく。
邪気は玩具屋のぬいぐるみにとりつき、
玩具屋のおもちゃを、あちこち蹴飛ばしていた。
「やめなさい!」
と、玩具屋が制する。
しかし、ぬいぐるみを邪険にできず戸惑っていた。
「そこか!」
と、声を上げたのは電脳娘々だ。
走って、玩具屋にやってくる。
しかし、邪気は電脳娘々を認めると、
すごいスピードで逃げ去ってしまった。
「ちぃっ!」
と、電脳娘々は舌打ちすると、
ゴミゴミしたがらくた横丁をあとにした。
あとには、普段よりももっとゴミゴミしたがらくた横丁と、
住人達の溜息が残った。