電脳娘々は、邪気を追いかけ、
一番街で見失った。
電脳娘々は、携帯用の電脳ゴーグルをかける。
邪気の痕跡が見える。
娘々は嫌な予感がした。
一方、熱屋には病気屋が来ていた。
ちょっとしたお茶などを飲んでいる。
話も弾んでいるようだ。
そこへ、黒い不定形の邪気がやってきた。
病気屋は熱屋を直感でかばう。
その際のごたごたで、こぼれた熱屋のカプセルに、
邪気が取りついた。
熱屋のオレンジ色のカプセルが意志を持ち、
病気屋に吸い込まれていく。
幾つも幾つも…
病気屋が熱を帯びていく。
それが危険なことは熱屋もわかる。
だから、熱屋は病気屋に手をかざし、
熱屋の能力を振り絞って、熱を取り出していく。
病気屋の身体を介して、高温が回っていく。
このままでは、熱を持った病気屋も、力を使い続けている熱屋も危険…
…そんな時、
「ここか!」
と、女性の叫び声とともに、熱屋のドアが開いた。
電脳娘々が息を切らして立っていた。
熱屋のカプセルに取りついた邪気は、
電脳娘々を認めると、
カプセルから離れ、
娘々が捕まえるより早く、
黒い不定形の姿になって、どこかへ行ってしまった。
「くっそー…」
電脳娘々が悔しがる。
そして、
「あんたら、大丈夫だった?」
と、熱屋と病気屋を見やる。
熱屋は高熱を取り出し終え、
高熱を取り出された、病気屋はぐったりしながら、
「なんとかな」
と、返した。
電脳娘々は、熱屋を飛び出し、また、邪気を追いかけていった。
あとには、疲れた熱屋と病気屋が残った。
「疲れた…」
と、熱屋がこぼす。
「俺もちょっとな」
と、だるそうに病気屋が返す。
「何だったんだろうね」
「知らないな」
短く会話をし、
熱屋は病気屋にもたれかかり、
元に戻った熱を感じていた。