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第108話 加熱

電脳娘々は、邪気を追いかけ、

一番街で見失った。

電脳娘々は、携帯用の電脳ゴーグルをかける。

邪気の痕跡が見える。

娘々は嫌な予感がした。


一方、熱屋には病気屋が来ていた。

ちょっとしたお茶などを飲んでいる。

話も弾んでいるようだ。


そこへ、黒い不定形の邪気がやってきた。

病気屋は熱屋を直感でかばう。

その際のごたごたで、こぼれた熱屋のカプセルに、

邪気が取りついた。

熱屋のオレンジ色のカプセルが意志を持ち、

病気屋に吸い込まれていく。

幾つも幾つも…

病気屋が熱を帯びていく。

それが危険なことは熱屋もわかる。

だから、熱屋は病気屋に手をかざし、

熱屋の能力を振り絞って、熱を取り出していく。


病気屋の身体を介して、高温が回っていく。

このままでは、熱を持った病気屋も、力を使い続けている熱屋も危険…


…そんな時、

「ここか!」

と、女性の叫び声とともに、熱屋のドアが開いた。

電脳娘々が息を切らして立っていた。

熱屋のカプセルに取りついた邪気は、

電脳娘々を認めると、

カプセルから離れ、

娘々が捕まえるより早く、

黒い不定形の姿になって、どこかへ行ってしまった。


「くっそー…」

電脳娘々が悔しがる。

そして、

「あんたら、大丈夫だった?」

と、熱屋と病気屋を見やる。

熱屋は高熱を取り出し終え、

高熱を取り出された、病気屋はぐったりしながら、

「なんとかな」

と、返した。


電脳娘々は、熱屋を飛び出し、また、邪気を追いかけていった。


あとには、疲れた熱屋と病気屋が残った。

「疲れた…」

と、熱屋がこぼす。

「俺もちょっとな」

と、だるそうに病気屋が返す。

「何だったんだろうね」

「知らないな」

短く会話をし、

熱屋は病気屋にもたれかかり、

元に戻った熱を感じていた。

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