斜陽街二番街、
空き店舗に店を出した者がいる。
それは、ビデオを貸し出す店…
いわゆる、レンタルビデオ屋だ。
ただし、この店は少々特殊で、
ホラー要素がある物を中心に、取り扱っている。
ビデオだけでなく、DVDも取り扱っているが、
やっぱりホラーが中心で。
そうでなくても恐怖を取り扱ったもの。
そういうものが並んでいる。
客がそういった恐怖ものを求めて、店内に入ると、
ちょっと暗い店内には、
人が、どうにかすれ違える程度の通路と、
びっしりと並んだビデオの類。
そして、ちょっとおどおどとした若い店主が出迎えてくれる。
「あなたには…これがオススメじゃないでしょうか。B級のホラーなんですがね、狼男が…」
と、店主は説明をするが、
ビデオの箱を見れば、その説明が、箱に書かれたものと似たようなものであることに気がつく。
というか、箱の説明ほぼそのままだ。
店主にそれを指摘すれば、
「…実は…ホラーを集めていますけど、怖くて見ていないんですよ…」
と、照れながら詫びられる。
ここの店主は怖いものが苦手だ。
しかし、ビデオを手に取ると、ある程度内容を把握でき、
それを、内容を箱の説明で補う。
そして、客を見ると、オススメがピンと閃いてきてしまう。
その能力が生かせるのが、
なぜか、ホラーものでしかないため、
店主は、怖いのを我慢しつつ、
ホラー物を取り扱うレンタルビデオ屋をやっている。
くれぐれも、おどおどした店主を、
おばけの扮装などで、おどかさないように。
彼は怖いものが苦手なのだから。
気絶されてしまうかもしれない。
そんな、レンタルビデオ屋は、怖がりの店主とともに、
斜陽街二番街でひっそりと営業をしている。