クリスマスが今年もやってきた。
「寒い!」
「そうだな、ミーニャ」
「クリスマスだよ、クリスマス」
「おう、なんかプレゼントのお願いはしたか?」
「ううん。もう、十分幸せかなって」
「ずいぶん、大人っぽいこと言うじゃん」
「私だって、いつまでも六歳じゃいんだよ。もう十歳なんだから」
あれから四年か。
クリスマスも何回目だろうか。
ミーニャもだいぶ大きくなった。
もちろん、ラニア、シエルも同じくらい。
時間が経つのはあっという間だ。
俺だけが、なんだか時間の流れに置いていかれているみたいにも感じる。
「雪、舞いそうだね」
「ああ、寒い。例年に比べても寒い」
みんなで空を見上げる。
いかにも曇天で雲が動いていく。
肌で感じる寒さは例年よりも気温が低そうだ。
「ほら、降ってきたよ」
「おお、ミーニャ、知ってるか。ホワイトクリスマスっていうんだ」
まぁこっちの言葉は別だけども、日本でいうならホワイトクリスマスね。
「知らない。なんだか素敵だね」
「だろ。聖夜だからな」
「どこがそんなにすごい日なのか、わかんないや」
「まあな」
宗教上の理由というやつだけど、俺らは宗教観薄いからなぁ。
「わーい、雪だ~。雪、雪」
「雪みゃう~~~」
ミーニャとシエルが庭を駆けまわる。
まるでなんかの歌の犬のようだった。
いっぽうラニアは俺にくっついて、手を握ってくる。
「ふふふ、素敵ですね」
「お、おう」
ラニアの手はなんだか温かくて、ホッとする。
小さいころからマセていたが、最近特に顕著だ。
けっこうぐいぐい迫ってきて、俺はタジタジだったりする。
ミーニャとシエルも少し落ち着いてきたものの、まだまだ子供だ。
「プレゼントか、なにか考えたっけかな」
「本当は用意してるくせに」
「まあな、アイテムボックスは物を隠すのに便利なので」
「うふふ、エド君ったら」
今年のプレゼントは髪飾りの髪パッチンにする予定だ。
みんなお揃いの星型のものを王都から取り寄せてある。
「メリークリスマス」
「「「メリー、クリスマス!」」」
夜ご飯が始まる。
クリスマスの習慣は大々的にやる人もいれば、ぜんぜん関心がない人もいる。
うちはホテルなので一応、イベント的にやっている。
魔物肉の唐揚げやフライドポテトなどが並んでいる。
この間、倒したフォレストウルフだろう。
肉はやや筋張っている庶民向けの安い肉だとはいえ、量があるのでお腹には溜まる。
「おいちっ」
「美味しいです」
「美味しいみゃう」
三人の女の子たちは今日もよく食べる。
よく食べてよく運動して、健康的だ。
来年も一年、健康で幸せに過ごせますように。