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SS11.異世界クリスマス2

 クリスマスが今年もやってきた。


「寒い!」

「そうだな、ミーニャ」

「クリスマスだよ、クリスマス」

「おう、なんかプレゼントのお願いはしたか?」

「ううん。もう、十分幸せかなって」

「ずいぶん、大人っぽいこと言うじゃん」

「私だって、いつまでも六歳じゃいんだよ。もう十歳なんだから」


 あれから四年か。

 クリスマスも何回目だろうか。

 ミーニャもだいぶ大きくなった。

 もちろん、ラニア、シエルも同じくらい。

 時間が経つのはあっという間だ。

 俺だけが、なんだか時間の流れに置いていかれているみたいにも感じる。


「雪、舞いそうだね」

「ああ、寒い。例年に比べても寒い」


 みんなで空を見上げる。

 いかにも曇天で雲が動いていく。

 肌で感じる寒さは例年よりも気温が低そうだ。


「ほら、降ってきたよ」

「おお、ミーニャ、知ってるか。ホワイトクリスマスっていうんだ」


 まぁこっちの言葉は別だけども、日本でいうならホワイトクリスマスね。


「知らない。なんだか素敵だね」

「だろ。聖夜だからな」

「どこがそんなにすごい日なのか、わかんないや」

「まあな」


 宗教上の理由というやつだけど、俺らは宗教観薄いからなぁ。


「わーい、雪だ~。雪、雪」

「雪みゃう~~~」


 ミーニャとシエルが庭を駆けまわる。

 まるでなんかの歌の犬のようだった。


 いっぽうラニアは俺にくっついて、手を握ってくる。


「ふふふ、素敵ですね」

「お、おう」

 ラニアの手はなんだか温かくて、ホッとする。

 小さいころからマセていたが、最近特に顕著だ。

 けっこうぐいぐい迫ってきて、俺はタジタジだったりする。


 ミーニャとシエルも少し落ち着いてきたものの、まだまだ子供だ。


「プレゼントか、なにか考えたっけかな」

「本当は用意してるくせに」

「まあな、アイテムボックスは物を隠すのに便利なので」

「うふふ、エド君ったら」


 今年のプレゼントは髪飾りの髪パッチンにする予定だ。

 みんなお揃いの星型のものを王都から取り寄せてある。


「メリークリスマス」

「「「メリー、クリスマス!」」」


 夜ご飯が始まる。

 クリスマスの習慣は大々的にやる人もいれば、ぜんぜん関心がない人もいる。

 うちはホテルなので一応、イベント的にやっている。

 魔物肉の唐揚げやフライドポテトなどが並んでいる。

 この間、倒したフォレストウルフだろう。

 肉はやや筋張っている庶民向けの安い肉だとはいえ、量があるのでお腹には溜まる。


「おいちっ」

「美味しいです」

「美味しいみゃう」


 三人の女の子たちは今日もよく食べる。

 よく食べてよく運動して、健康的だ。


 来年も一年、健康で幸せに過ごせますように。

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