もうすぐ4月になる。
今はみんな十二歳になった。
「みんな、どう?」
「だいたい大丈夫だよ、エドちゃん」
「はい。準備はできました」
「完了ですみゃう」
ふむ。あとはエレノア様の迎えが到着しだいだな。
と一日、手伝いなどをして過ごしていたらエレノア様の馬車がやってきた。
制服とかは向こうに着いてからだ。こちらには制服の販売店もない。
「エドくぅぅうん、迎えに来ましたわぁ」
「おお、エレノア様~元気だった?」
「元気ですわぁ」
エレノア様とハイタッチを交わす。
ますます女の子らしくなったというか、少し胸も成長しだしたのかほんのり膨らみがある。
エレノア様ももうそんな歳なのだ。
俺たちは揃ってトライエ高等学校にお世話になるのだ。
場合によっては、ここエルダニアを学園都市にする一環で、エルダニア高等学校に入学したかったんだけど、まだ校舎を建ててる途中で、先生も教材も何もかも準備が出来ていない。
領主といっても仮領主で、実質的権限とか税金もあんまりない。
一応、エルダニア内の商店から税金だけはとってるけど、それも都市の整備に回していて、学園関係にまで資金を回せていないのだ。
本来なら周辺の町とかも含めた領地全体の税金が貰えるんだけど、それは正式な領主にならないといけない。
「えへへ、久々にエド君の料理が食べたいですわ」
「そっか、じゃあこんばんは俺が手伝ってくるね」
「楽しみですわ」
「わーい」
ミーニャたちも喜んでるから、頑張って作ろう。
何にしようか考えたんだけど、この間倒したイノシシ肉のポークカレーにチーズトッピングにしよう。
カレーとチーズはそういえばまだ教えたことがなかった。
エルダニアには乳牛を初期から育てているので、チーズはある。ただほとんどピザに使ってしまうので、あまり他に利用する機会がなかったのだ。
「ラファリエール様に感謝して、いただきます!」
「「「いただきます」」」
イノシシ肉たっぷりの具沢山カレーだ。普段よりも明らかに具のお肉が多い。
肉の旨味、カレーのスパイシーな味わい、それからチーズ。
「おいしい!」
ミーニャが一番に声を上げる。
「美味しいですわね」
「美味しいです」
「わ、私も美味しいみゃう……」
みんなが同じようにカレーを褒める。
カレーは俺が広めたようなものだったしな。
元々は辛くないスパイスだけ売っていて、これにトウガラシを入れてスープにしたのは俺なのだ。
「今日は、カレーライスみゃう」
「そうだね」
そうそう、牛の餌だった米も城壁の内部で栽培を始めていて、カレーライスも食べられるようになった。
こうしてついにポークカレーライスが誕生したというわけだ。
米はもっと品質のいい品種がないかなと何年も探してもらっているんだけど、なかなか進まない。
主な利用が家畜の餌で味とかどうでもいいという点が痛い。
「う、うま」
自分でも食べてやっぱりライス、お米だよなと思う。
よし、美味しいご飯も食べたし。
明日にはエルダニアを出発してトライエに戻ろう。
いよいよ学園生活がはじまるぞっと。