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第3話

 そんな彼女の育成に力を入れていると、チャイムが鳴った。時計を見ると、夜の八時を過ぎていた。

「235、代わりに出てくれ」

「承知いたしました」

 何となくこの場を動きたくなかった俺は、235に来客の応対を任せた。腕の充電ゲージはもう百パーセントになっている。俺はケーブルを抜き、玄関の方へ向かうことにした。

「よぉ、つかさ

「秋……? その姿はどうしたの? とりあえず、あげてもらえる?」

 声の主は、俺が呼んだ親友だった。きちんと仕事を終わらせた帰りなのだろう、疲れがみてとれる。見た目のことは言われるだろうと思っていたが、改めて指摘されるとショックだ。

「悪い悪い、あがってくれ」

 彼を家にあげると、司はすぐにくつろぎ始めた。

「というか美少女アンドロイドなんていつ買ったの? 絶対そんな金ないでしょ」

 235を見ながら司は言う。

「買った訳じゃない、今朝起きたら居たんだ。そしてお前なら気づいているかもしれないが、先に言っておく! 俺は何らかの原因でアンドロイドになったからこんな妙な見た目になったんだ」

 司はまじまじと俺のことを見つめる。

「なんかよくわかんないけど、要は秋はアンドロイドになったってこと?」

「そうだ」

 話の早い親友で助かる。

「僕もさあ、終電までには帰らなきゃいけないからさっさと食料引き取りに来たんだよ。何処に食料あるの?」

「あぁ、まずは冷蔵庫の中と……」

 司は俺の家にあった食料を根こそぎ持ち帰っていった。この時間なら終電には間に合うだろう。

 しばらくして、司からメッセージが届いた。

『今日はありがとう。もし良かったらなんだけど、明日気晴らしに何処か出かけない? 普段行かない池袋辺りとか』

『悪くないな、行きたい』

 自分の見た目が心配だったが、気晴らしには良いかもしれない。

『じゃあ明日の朝九時に、池袋駅のいけふくろう前に集合でよろしく!』

『了解』

 正直、池袋のことを全く知らないので案内役が欲しい。いけふくろうってなんだよ。調べたら池袋の有名な集合場所だった。俺が無知なだけだった。

「マスター、言い忘れていましたがスマートフォン無しでも検索をかけられるのご存知でしたか。モードをEXにすると、検索コマンドが浮かぶはずです」

 235は言うのが遅い。しかし、モードをEXにする方法がわからないので彼女に問いかけた。

「235、モードの切り替え方を教えてくれ」

「EXモードは充電の減りが早いのでご注意ください。切り替え方法は、首の後ろについているボタンです。そして私は今から充電モードに入ります。応答できませんのでご注意ください」

 やはり、EXモードにも弊害はあるらしい。235は臀部から充電コードを引き出すと、あっという間にスリープ状態になってしまった。何ともマイペースな機械だ。

 俺も寝ようと思ったが、この身体では眠れないので諦めた。そして、ソシャゲに時間を費やすことになった。

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