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第二十七話 この私が手のひらの上?面白いじゃない

 さて、第七魔法研究所から出ましょうか。

 やっぱりこの感じ、地上の方のからサンタニールさんの気配を感じる。

 ふふ、心配になってきてくれたのかしら?

 それとも王様の命令で私にとどめを刺しに来たかしら?

 ま、話してみましょうか。


「あらあらサンタニールさん、お迎えですか?」

「セイント、イワン様はどうなった?」

「あら……もしかして、やられたかしら?」

「お前ならイワン様の願いを叶えられると思ってな」

「……そんなめんどくさい事となくても、言えばよかったのに」

「そう言わないでくれ、国というのはとてもめんどくさいのだ」

「シナリオ的には私が悪者になるのかしら、まあ異世界にほほいのほいしたし?」

「すまなかった」

「あらあら謝らないで? 多分あなた達も慌てたのでしょう」


 そうね……多分こうかしら?

 イワンって人は異世界に行きたかった。

 兄であるハナースが弟の為に頑張ったのでしょうね。

 で、大臣と第七魔法研究所リーダーが黒幕。


 そうねぇ、黒幕の理由としては……大臣は権力が欲しかった。

 リーダーもとい神様……あ、名前を聞いてなかったわね。

 リーダーでいいか、めんどくさいし。

 で、リーダーは……どうしてかしら? 仕えている神様への信仰心?

 何かもう考えるのがめんどくさいわね。

 私は探偵じゅないし、イキリ散らしたいだけなのよ。


 あ、今回のの異世界誘拐犯は……誘拐していたのかしらは?

 イワンって人は……なんだろう、そういう空気だけ感じたのよね。

 って事は大臣の可能性があるわね? 臭いが移る的な?

 ……焼肉かよ、でも地下牢で見た時には気付かなかった。


 ふむむ……他にも黒幕がいるのかしら?

 ま、そこ――


「セイント、いいか?」

「何かしら?」

「……なんでリーダーの生首を持っているんだ?」

「そりゃ敵対したから?」

「いや……趣味悪すぎだろう」

「ああ……ふむ、確かにそうね、でも正義に酔いしれてる時ってねおかしくならない?」

「いや、まあ……言いたい事はわかるが」

「まあそれよりも、これからどうしようかしら? あ、黒幕って結局は誰なの?」

「いや、私は知らんぞ?」

「本当かしら?」

「ああ、私が知っていたら問題だろう」


 まあ確かには? あら? それよりも……

 大切な事を聞いておこうかしら?


「サンタニールさん、立場的に私を処さなくてもいいのかしら?」

「ああ……私は王様から死者は手厚くしろと言われている」

「あらあら? 私は死んでないわよ?」

「ふっ、冒険者ギルドの登録は消させてもらった」

「えぇ……ちょっと待ってよ」

「安心しろ、ちゃんと見返りはある……ま、全て終わってからだが」

「見返り? どういう事かしら?」

「この国の特別王宮魔術師に任命する」

「はぁ? いや、所属するつもりは無いんだけど」

「だから特別だと言っただろ? ま、簡単に言えば権力をふるえるぞ?」

「えぇ……嫌よ、そんな三流ポジション」

「まあまあそう言うな、これからお前はイキリ散らしをするんだろ? だったら、何処かで権力が必要になるはず」

「例えば?」

「安易な発想だが、城を見学したいとかな」

「え? それでどうするの?」

「ん? 異世界誘拐犯を探せばいいじゃないか」

「えぇ……いや、私的にはありがたいんだけどね? 王様は納得しているの?」

「ふっ、私の代わりに面白そうな事をしてくれるとワクワクしているが?」


 ……これ、ハナースさんの代わりに暴れろって事なのかしら?

 うーん、まあこの世界の権力があったらあったでいいんだけど。

 何か乗せられている気がするのよね、タダより高い物はない。

 どうしたものかしら? 断る――


「では友として頼もう、王のわがままを受け入れてくれ」

「あらあらまあまあ」


 あ、そう来る? それならこっちも負けないわよ?

 ハナースさんの目的も知りたいし、まさか本当に面白そうだから?

 え? いや……多分、本当なんでしょうね。


「セイント、イワン様を助けてくれただろう? そのお礼だそうだ」

「んん? やっぱりそこが引っかかるのよね」

「何がだ?」

「何で私がそう動くとわかったのかしら?」

「ふむ簡単だ」

「え?」

「お前の想像を超えた優秀な人だからだ、それではダメか?」

「……ふむ」


 確かに……私と話した時もちょっとアホっぽいオーラしか感じなかった。

 能ある鷹は爪を隠すね? 面白いじゃない、ならその面白そうって心意気に乗りますか。


「わかったわ、でもまずは黒幕よ黒幕、どんな因果関係ってめんどくさい」

「そうか?」

「あ、その顔は本当の黒幕をやっぱり知っているわね?」

「ワルダン大臣というのが黒幕だな、あとその生首」

「あ、今のうちに理由を聞いていいかしら?」

「理由か? そこの生首が神様の位を上げたいからだ」

「どういう事かしら?」

「神様の力は信仰心なんだ、単純な話信者の数だ」

「ふむふむ」

「で、ワルダン大臣とグルになって信仰心を集める訳だ」

「ふむふむ」


 なるほど? この生首神様が異世界召喚をする。

 次にワルダン大臣が、異世界人を使ってマッチポンプをする。

 住民達の信頼爆上がり……え? でもこれって打ち止めする時がくるわよね?

 悪者や魔物だって打ち止めする時がくるのでは?


「多分この生首神様が異世界召喚をしたんだろうけど、どうやって信仰心を稼いだの?」

「ああ、最近までは『追放』で稼いでいたな」

「『追放』ですって?」

「ああ、異世界召喚マッチポンプとでも言おうか」

「ゴロがいいわね」

「最初は悪人の討伐を目的としていたんだ」

「なるほど? ハナースさんもそれなら多少は目をつぶるかしら?」

「ああ、で、次からマッチポンプだった、召喚した異世界人をアホにした」

「は? どういう事?」

「ふむ……何とか言えばいいのか……能力以上の仕事を求める様になった」

「あらあら、大丈夫?」

「それで仕事に失敗をし始める」

「まあそうでしょうね……って、異世界召喚人はチート――いえ、凄い能力を持っているんじゃないの?」

「そんなの直ぐにはく奪出来るだろう、与えた側がな」

「ああ、そういうマッチポンプ」


 つまりは、チート貰ってイキリ散らしてる異世界召喚された人。

 最初はあれよあれよと悪人討伐、周りが持ち上げる。

 タイミングを見計らって弱体化や力を奪う。

 実は無能だったのでは? と言われ始める。

 異世界召喚された人はブチギレる、まあ……うん……まあ。


 それは置いといて、理由を付けて追放する。

 そうね……追放してから闇の力でも覚醒させれば、復習者の出来上がりね。

 それをまた新たな異世界召喚された人にやらせる。

 ……えぇ、これそんな効率的な感じじゃないわよね?

 少なくとも連続では出来ないわよね?


「……考えるのがめんどくさくなった、ワルダン大臣の所行きましょう」

「ふっ、エスコートしてやろう」


 まあ事情なんてどうでもいいか、ふふ、小物でもなんでも――

 やっと異世界誘拐犯とご対面か。

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