さ、イキリ散らしの神様は頭だけになったけど……
あらあら、また喚き散らしているけど、うるさいわね。
ちちんぷいぷい、よしよしこれでいい。
おや? 第七魔法研究所の方々が絶句していますわね?
そんな驚かないでくださいませ、ただの魔法です。
誰でも出来ますよ? 人間を辞めればね。
「ほ、本当にリーダーをや、やりやがったのか?」
「そうですよヤランレさん、さて――」
あらあら? 出入口が勢い良く開きましたわね?
ふむふむ、あらあら……御大層な服装と警備の数ですこと。
これは第七魔法研究所の人達を、避難させた方がいいわね?
ふふ……ちちんぷいぷいほほいのほい、転送先でお茶でも飲んでいてください。
「……やはり規格外の魔法使いのようだな」
「あらあら、お初にお目にかかります、私はセイント・メッスルンです」
ふーむ……やはりコイツ……異世界誘拐犯だ。
ふふふ……やっと会えた、誘拐犯。
そしてこの状況! 行き当たりばったりにしては最高じゃないか!
へへへへへ……げへへへへへへへへ!
お、落ち着け……これはお年玉の様な臨時収入だ!
そう……次にいつありつけるかわかない豪華な料理!
そう、まずは落ち着くんだ、こういう時は自分がもっとも冷める言葉を自分で言うのだ。
いやん! 一輪川ゆきこ、ドキドキ!
……よし、気持ち悪さで落ち着いた。
んで、この人達は何がしたいのかしら?
「で、貴方は何がしたいのかしら? この生首に代わって貴方が私を殺してくれるのかしら?」
「ふっ、そんな神に用はない、お前に興味がある」
「はぁ……ふーん、どうして?」
「その強大な力! このイワン・カミカミ・カミッニのな!」
ああ、やっぱりあの王様のご兄弟。
ふーん、まあ国の権力関係はどうでもいい。
とりあえずこの人の目的を聞きましょう。
「貴方の目的は? 何? 世界征服?」
「そんな小さい事はしない」
「はぁ?」
あら、ネットミームみたいな声が出でしまった。
えぇ? んじゃ目的は何かしら?
異世界誘拐犯なのは間違いないんだけど……
「私は私を崇める世界に行きたい……と、いうのは建前だ」
「ほう」
どういう事からしら? 異世界に行きたいとか?
アレ? 黒幕きコイツとこの国の最高神のが関わっていると思ったのに?
んん? んんんんんんんんんん?
落ち着くんだ、今回の私は本当に行き当たりばったりさね。
あ、これ大臣が悪いパターン? 会話をしましょう。
話が通じる人には話をする、当たり前の事よ。
確証はないけどね、感よ感。
「ごめんなさい、正直言って話が通じないと思っていたから、今少し驚いているの」
「ふっ、そうか……何、私はこの世界に愛想をつかした」
「どうして?」
「私は一般人で居たかった」
「どういう事?」
「簡単な話だ、私の母は側室だ」
「あーはいはい」
王宮に戻されるまでは一般人だった、そんな所でしょうね。
ふむ……もしかして異世界召喚した理由は、他の世界に行きたいから?
でも異世界に行きたいだなんてわがままね。
いや、私が言えた事では無いか。
「貴方の目的は異世界に行きたいって事でいいのかしら?」
「ああ、私もこの世界には疲れた、いや、王宮と言うべきか」
「あらあらわがままね?」
「正直言って、もしあなたが殺してくれるなら喜ぶ」
「ええ? 止めてよ、貴方がイキリ散らして、私利私欲に走るタイプならそうしたけど」
「……貴女も私の夢ではなかったか」
あらあら、物凄く残念そうね……はぁ、仕方ないわね。
ちょっと面接しましょうか、色々と聞いてみましょう。
これも何かの縁だし……あ、本当の黒幕を聞こうかしら?
……本当に私もテキトーね、ま、今回の異世界は行き当たりばったり。
深く考えてはいけない、テンションで行きましょう。
「貴方、私が異世界転生させれると言ったら、お話にのる?」
「出来るのか!?」
「ええ、ただ取引よ? 異世界召喚をした奴は誰かしら? 私、異世界誘拐犯をぶっ殺す為に異世界召喚されているの」
「誘拐犯?」
「ええ、異世界召喚する人って非常識が多いのよ」
「まあそうだろうな、私自身がそうだから」
「いえいえ違うのよ、落ち着いて? 自分達で召喚しておいて、帰れないとかほざく奴らが多いのよ」
「そうか、それで誘拐犯……流石に私はそれはしなかった」
「どうして?」
「いや、私が言えた事では無いが……元の世界には返すだろう、何故と言われてもそれは当たり前の事では?」
ふーん、こう来るか……これは予想外さね。
もっと聞いてみようかしら?
「もう一度聞くけど、貴方は何がしたいの?」
「私のした事は異世界召喚だ、その理由は平和な世界に行きたかった」
「平和世界?」
「物語の様な……平和な世界ではないぞ、魔法が無い世界に行きたかった」
「どうして?」
「恥ずかしい話だが、私は魔法が使えないからだ」
「ん? 異世界召喚はしていたのよね?」
「それはこの世界に、魔法の触媒があるからだ」
「ふむ……」
ま、魔法も結局は科学なのよ、これをこうすればこうなる。
いや? その世界でそれが当たり前の話だからね。
ふむ……仕方ない、助けてやろうか。
ああ、私の家に連れて行けばいいか。
これで何人目だったかしら? この間の姫さんもうまくやってるみたいだし。
あ、私これでもお金持ちなのよね、と言っても何か異世界からスカウト……違うか。
異世界誘拐犯から助けた人とか、縁があった人とかね。
何か知らないけど、家に帰ったらどんどん大きくなっていってたのよ。
こう……ああ、ソシャゲの放置ゲーみたいな?
アレのログインしなくても、勝手に色々としているしてくれるみたいな?
……そんなゲームがあったら、もうゲームの意味がないじゃん。
おっと、話がそれたな。
ま、合格って事でいいか、後は向こうの奴らに任せよう。
「あ、そこの護衛さん達はどうなの?」
「彼らもお願い出来るならそうしたい」
「あら、ご家族とかは?」
「全て決着を付けている」
「あら、用意周到ね」
だったら私がとやかく言う事じゃないわね。
あ、これも聞いておきましょ。
「この国の闇は大臣て事でいいのかしら?」
「ああ、芋づる式に判明するだろうさ」
「ま、後は何とかしましょうか」
大臣はこの人を使ってって感じなんだろうけどさ。
まあ正直そこら辺の因果関係はどうでもいい。
異世界召喚は大臣だった、この人は無関係で私が助けた。
それでいいじゃない。
やる事は簡単よ? この国の障害を取り除く、これはサンタニールさんとの約束。
んで、目の前の人を私の世界にご招待、それでいいじゃない。
ふふ、難しく考えるからダメなのよ、今までのやり取りは何だったのか?
それは――あらやだ、内心で色々と語るのは歳。
「ほほいのほい」
さ、これでおしまい。
……とりあえず大臣ボコしに行こうかしら。
ま、行き当たりばったりだし、計画性の無さはいいじゃない。
ああ……一度自分の元の世界に帰るのもいいわね。
ふむ、頭に入れておきましょう。
さ、第七魔法研究所を出で……どうしましょう?
むむ? サンタニールさんの反応が近くに感じるわね。
地上の出入口の近くに居るわね、出迎えかしら?