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第二十四話 ふーん、神様だったのね

 あらあら、魔法研究所の方々を本気にしちゃったかしら?

 でもその程度で私に勝てると思っているのかしら?

 ふふ、多分自分が弱いとは認めないでしょう。

 一般人から見たら脅威でしょうけど……私から見たらスタートライン。


 例えば……小学6年生が威張り散らして中学1年生になった感じ?

 これ例えとして伝わりにくいわね、ま、私から見たらスタートラインんて事よ。

 同じ事を言うのは年かしらね? ふふふ。    


「やれ」


 あらあら? 武器を持った人が数人襲い掛かってきたわね。

 怖いわね……んじゃ、ちょっとだけビックリさせましょうか。


「ふっ!」

「はっ!」

「とう!」

「うりゃ!」


 あらあら? これは……なるほどなるほど? 首は飛ぶし心臓は貫かれるし?

 身体はバラバラになるし……はぁ……この程度? そんな事はないよね?


「やったか」

「ふっ」

「我らの武器にかなう者無し」

「うむ」


 えええええええぇぇぇぇえええぇぇぇ!?

 噓でしょ!? いや! ぱっと見どう見ても死んでるけどさ!

 え!? いやいやいやいやいやいやいやいやいや!

 えぇ!? こんなレベルなの?

 ……いや待て、これはアレだ。


 私が恥ずかしいのでは?

 こう……大人が子供に対してマウントとってる感じ?

 何か急に恥ずかしくなってきたわ!

 ただ? これは普通の場合、んじゃ答え合わせね?


「一ついいかしら? あなた達は大人? それとも子供?」


 私は切り落とされた頭で、リーダーと呼ばれている男を見た。

 待て待て、これホラーじゃない、元にもどりましょう。

 ほほいのほいっと、説明なんていらない。

 説明出来る魔法なんて、所詮はその程度の奇跡。


「ほう? この程度では死なないか」

「え? リーダーさん……貴方、危機感というのは持ってます?」

「ふっ、研究者にそんな物はいらない」

「えぇ……」


 あ~めんどくさいタイプの人間?

 自分含めて研究の為なら犠牲にするタイプ?

 本当にめんどくさい、本当にめんどくさい。

 大事な事なので2回言いましたって感じ?


「いや……あの……まさか自分が死なないと思ってます?」

「もちろんだ、何故私がお前を恐れる?」

「なるほど、リーダーがこれじゃあ部下が苦労するさね?」


 ふむ、やはりだ。

 先程私を相手にしたヤランレ、そして先程の4人。

 彼らは私が異常だと気付いたでしょうね?

 ああ、簡単に言えば……アレね?

 現場を知っている人間、知らない人間ってやつね。


 ふむ、どうやら部下の人達は弱い分、恐怖をしっかりと持っているわね。

 マイナスな感情は人としてとても大切よ。

 もちろんプラスの感情もね、私もそれらは捨ててない。

 その上で私は狂っているのよ?


 だから私は話を聞く人は私も話を聞くし?

 異世界誘拐犯でも、理解出来る事情があれば何もしない。 

 ま、一言で言えば……ただの狂人がまともな人間に勝てる?

 さてさて、ちちんぷいぷいほほいのほい。


「どうしたの? さっさと殺すなら殺せばいいじゃない?」

「やれ」 


 あらあら? 部下の皆様が動かないわね?

 それはそう、部下達は無力化してさせてもらったわ。

 ふふ、この部下達は殺す必要が無い。

 私のものさしだけど、皆ちゃんと人間なのよ。

 ちょっと見てみましょう。


 例えば、一番最初に攻撃してきたヤランレさん。

 プライベートでは威張り散らす様な事はしてないわね。

 仕事が非日常だから、日常生活では普通でいたいのね、いい事だわ。

 あらあら? 恋人……いえ、奥さんがいるのね?


 ふーん、新築を検討したり、子供はどうするか。

 待って待って、私は血も涙もないと自覚はしている。

 けれどこれを知ってなお、好き勝手は出来ないわね。

 ……って、リーダーさんは何で何も仕掛けてこないのかしら? 


「どうしたの? 何をしているのかしら?」

「貴様、何をした? 何故下僕共が動かん?」

「え? 下僕?」

「私がコイツらを媒体に――」

「喋るな」

「!?」


 はーん、何か可笑しいと思ったら……なるほどなるほど。

 コイツ、正体が神様か? だから余裕なのか?

 もしかして、この国に崇められている――

 いやいや、こんな小物な訳が無い。

 確か主神はシンラルとウラルだったかしら?


 可能性としては、ウラルって神の眷属かしら?

 ふっ、なるほど……神様が人間食い物しているのか?

 何かイライラしてきたぞ?

 これは私の推測だけど、ここに居る人達は何かしらの脅迫を受けている。

 だったら私がする事は、神と喧嘩する事ね。


 助けるとかじゃない、神と戦える機会はそうそう無いからよ。

 うまくいけば力も奪えるかもね。


「さて、第七魔法研究所の皆様? 私、正直な人は大好きです」

「……アンタはこの地獄から救ってくれるのか?」

「ヤランレさんでしたっけ? そうですわね……巨悪の根源は倒しますけど、小さい悪は知りません」

「ハッ! 上等、おんぶにだっこじゃ――」

「図に乗るなよ、人間!」


 しびれを切らせたリーダーさんが、ヤランレさんに魔法を唱えましたわね。

 ふっ、ちちんぷいぷいほほいのほい、させないわよ?

 やるなら私と殺し合いましょうよ、神様?

 てか私の拘束魔法を解除してしまうなんて!

 ま、手加減も手加減だがね? 子供相手に本気になる大人はいないでしょ?

 あ、大人か子供かって質問答えてもらってないや。


「どうしたの? リーダーさん? いえ? 神様と行った方がいかしら? 余裕も持ってください? 神様が慌ててはいけません」

「貴様……何者だ? 何故神の私を拘束出来た?」

「あらあら? 神様? 人知を超えた存在なら、自分で理解してください?」

「我を愚弄するか!」


 どうせこういう奴って自分の力を過信しているんだ。

 ふっ、どうせ次の行動はわかっている。

 ほら、拡散で周りの人達を攻撃しようとするでしょ?

 言った通りね、ちちんぷいぷいほほいのほい。

 はぁ……この神様はただのアホね、強敵と戦った事の無いタイプ。


「我の魔法を防いだだと!?」

「どうしたのかしら神様? 八つ当たりなら私にすればいいじゃない? ほらほら、かかってきなさいよ? ああそうそう、私以外攻撃しても無駄よ?」

「面白い! その無駄な自信を這いつくばらせてやる!」

「ああ、私も本気出してなかったんだった」


 ふふ、神様が相手なんて面白いじゃない?

 どの程度の神様が見せてもらいましょう?

 やる事は単純よ? 時間をかけて弄ぶ。

 ふふふ、どうなるか楽しみね?

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