あらあら、魔法研究所の方々を本気にしちゃったかしら?
でもその程度で私に勝てると思っているのかしら?
ふふ、多分自分が弱いとは認めないでしょう。
一般人から見たら脅威でしょうけど……私から見たらスタートライン。
例えば……小学6年生が威張り散らして中学1年生になった感じ?
これ例えとして伝わりにくいわね、ま、私から見たらスタートラインんて事よ。
同じ事を言うのは年かしらね? ふふふ。
「やれ」
あらあら? 武器を持った人が数人襲い掛かってきたわね。
怖いわね……んじゃ、ちょっとだけビックリさせましょうか。
「ふっ!」
「はっ!」
「とう!」
「うりゃ!」
あらあら? これは……なるほどなるほど? 首は飛ぶし心臓は貫かれるし?
身体はバラバラになるし……はぁ……この程度? そんな事はないよね?
「やったか」
「ふっ」
「我らの武器にかなう者無し」
「うむ」
えええええええぇぇぇぇえええぇぇぇ!?
噓でしょ!? いや! ぱっと見どう見ても死んでるけどさ!
え!? いやいやいやいやいやいやいやいやいや!
えぇ!? こんなレベルなの?
……いや待て、これはアレだ。
私が恥ずかしいのでは?
こう……大人が子供に対してマウントとってる感じ?
何か急に恥ずかしくなってきたわ!
ただ? これは普通の場合、んじゃ答え合わせね?
「一ついいかしら? あなた達は大人? それとも子供?」
私は切り落とされた頭で、リーダーと呼ばれている男を見た。
待て待て、これホラーじゃない、元にもどりましょう。
ほほいのほいっと、説明なんていらない。
説明出来る魔法なんて、所詮はその程度の奇跡。
「ほう? この程度では死なないか」
「え? リーダーさん……貴方、危機感というのは持ってます?」
「ふっ、研究者にそんな物はいらない」
「えぇ……」
あ~めんどくさいタイプの人間?
自分含めて研究の為なら犠牲にするタイプ?
本当にめんどくさい、本当にめんどくさい。
大事な事なので2回言いましたって感じ?
「いや……あの……まさか自分が死なないと思ってます?」
「もちろんだ、何故私がお前を恐れる?」
「なるほど、リーダーがこれじゃあ部下が苦労するさね?」
ふむ、やはりだ。
先程私を相手にしたヤランレ、そして先程の4人。
彼らは私が異常だと気付いたでしょうね?
ああ、簡単に言えば……アレね?
現場を知っている人間、知らない人間ってやつね。
ふむ、どうやら部下の人達は弱い分、恐怖をしっかりと持っているわね。
マイナスな感情は人としてとても大切よ。
もちろんプラスの感情もね、私もそれらは捨ててない。
その上で私は狂っているのよ?
だから私は話を聞く人は私も話を聞くし?
異世界誘拐犯でも、理解出来る事情があれば何もしない。
ま、一言で言えば……ただの狂人がまともな人間に勝てる?
さてさて、ちちんぷいぷいほほいのほい。
「どうしたの? さっさと殺すなら殺せばいいじゃない?」
「やれ」
あらあら? 部下の皆様が動かないわね?
それはそう、部下達は無力化してさせてもらったわ。
ふふ、この部下達は殺す必要が無い。
私のものさしだけど、皆ちゃんと人間なのよ。
ちょっと見てみましょう。
例えば、一番最初に攻撃してきたヤランレさん。
プライベートでは威張り散らす様な事はしてないわね。
仕事が非日常だから、日常生活では普通でいたいのね、いい事だわ。
あらあら? 恋人……いえ、奥さんがいるのね?
ふーん、新築を検討したり、子供はどうするか。
待って待って、私は血も涙もないと自覚はしている。
けれどこれを知ってなお、好き勝手は出来ないわね。
……って、リーダーさんは何で何も仕掛けてこないのかしら?
「どうしたの? 何をしているのかしら?」
「貴様、何をした? 何故下僕共が動かん?」
「え? 下僕?」
「私がコイツらを媒体に――」
「喋るな」
「!?」
はーん、何か可笑しいと思ったら……なるほどなるほど。
コイツ、正体が神様か? だから余裕なのか?
もしかして、この国に崇められている――
いやいや、こんな小物な訳が無い。
確か主神はシンラルとウラルだったかしら?
可能性としては、ウラルって神の眷属かしら?
ふっ、なるほど……神様が人間食い物しているのか?
何かイライラしてきたぞ?
これは私の推測だけど、ここに居る人達は何かしらの脅迫を受けている。
だったら私がする事は、神と喧嘩する事ね。
助けるとかじゃない、神と戦える機会はそうそう無いからよ。
うまくいけば力も奪えるかもね。
「さて、第七魔法研究所の皆様? 私、正直な人は大好きです」
「……アンタはこの地獄から救ってくれるのか?」
「ヤランレさんでしたっけ? そうですわね……巨悪の根源は倒しますけど、小さい悪は知りません」
「ハッ! 上等、おんぶにだっこじゃ――」
「図に乗るなよ、人間!」
しびれを切らせたリーダーさんが、ヤランレさんに魔法を唱えましたわね。
ふっ、ちちんぷいぷいほほいのほい、させないわよ?
やるなら私と殺し合いましょうよ、神様?
てか私の拘束魔法を解除してしまうなんて!
ま、手加減も手加減だがね? 子供相手に本気になる大人はいないでしょ?
あ、大人か子供かって質問答えてもらってないや。
「どうしたの? リーダーさん? いえ? 神様と行った方がいかしら? 余裕も持ってください? 神様が慌ててはいけません」
「貴様……何者だ? 何故神の私を拘束出来た?」
「あらあら? 神様? 人知を超えた存在なら、自分で理解してください?」
「我を愚弄するか!」
どうせこういう奴って自分の力を過信しているんだ。
ふっ、どうせ次の行動はわかっている。
ほら、拡散で周りの人達を攻撃しようとするでしょ?
言った通りね、ちちんぷいぷいほほいのほい。
はぁ……この神様はただのアホね、強敵と戦った事の無いタイプ。
「我の魔法を防いだだと!?」
「どうしたのかしら神様? 八つ当たりなら私にすればいいじゃない? ほらほら、かかってきなさいよ? ああそうそう、私以外攻撃しても無駄よ?」
「面白い! その無駄な自信を這いつくばらせてやる!」
「ああ、私も本気出してなかったんだった」
ふふ、神様が相手なんて面白いじゃない?
どの程度の神様が見せてもらいましょう?
やる事は単純よ? 時間をかけて弄ぶ。
ふふふ、どうなるか楽しみね?