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第二十三話 ここが第七魔法研究所ね?

 ふふ、最後の昼食はサンドイッチだった。

 でも流石はお城のサンドイッチ。

 お上品なお味がしたわね。


「セイント、時間だ」

「ああ! 私は異世界で殺されてしまうのね!?」

「何を馬鹿な事を言っているんだ?」

「気分よ気分、それじゃこの国の魔法レベルを見せてもらいましょうか」

「出ろ……ついてこい」


 あらあら、か弱い私はどうなってしまうのかしら?

 異世界人に悪女として呼び出され!

 島国の人達の国を復興し、他国で色々と中指を立て!

 この国というか大陸では! 比較的おとなしかったのに!

 ……げっへっへっへ……ひっひっひっひっひ。


 やっと暴れられるか、くく、行き当たりばったりだから仕方ないか。

 計画ってのはめんどくさい、キッチリとこうしなきゃいけないみたいなさ。

 ま、私を殺せるか試してやろう。


「セイント、快楽殺人者の様な殺意と笑いは止めろ」

「そんな、私は悲しくて悲しくてないておりますの騎士様」

「……」

「確かに街中で異世界召喚を叫びましたが、それくらいで……いえ?」


 私はつい楽しくなって、小声で言ってしまいました。


「この国では異世界召喚と叫んだだけで死刑なのさね? 王様の顔が見てみたい」

「……いや、見ただろ」

「ふふふふふ、確かに」


 私可哀想アピールをしながら歩いていると……

 ふむふむ、何やらヤバい魔法り気配がしてきたね?

 城の……中心地? 本殿?

 まあとりあえず隔離された場所の地下への入り口さね。


「この下だ」

「あらあらどうも」


 サンタニールさんが扉を開けてくれたわね。

 なんていうか……さっきの場所は空き地にポツンと地下へと続く入り口って感じ?

 それはともかく私達は地下へと向かった。


「……セイント、本当に暴れないでくれよ?」

「それは相手次第ね」

「……連れてまいりました!」


 サンタニールさんが階段を下った先の扉を開けたわ。

 あらあらあら、部屋の中には辛気臭い人達がわんさか。

 こう……私達禁術研究してますっていう胡散臭い感じ?


 ちょっと違うかもしれないけど……ヤンキー漫画のヤンキー?

 何か警察とか国よりも権力もってそうな?

 つまり……痛い連中って事ね、慢心している。

 私を見て脅威と思っていない、この国の禁術はこの程度か。


 これを世界基準にしてはいけない。

 まだ見ぬ禁術があるかもしれないしね。

 でも……残念ね、本当に慢心している。


 いや、彼らにとっては自身さね。

 頑張って実力を抑えているようだけど……

 私には勝てない、その証拠に私の実力には気付いていない。


 ちなみに? 今の私は……そうね?

 研究対象として面白いレベルの実力……って感じ?

 ……これを言葉にするのは難しいわね。

 まあそれくらいの実力を魔力でアピールしている。

 難しい事は無い。


「サンタニールご苦労、後は私達が」

「失礼いたします」


 あらあら、サンタニールさんが出ていったわね。

 ふむ、ここのまとめ役ぽいのが喋ったけど……

 ふっ……私の敵ではない。

 私さっきからこれしかいってないけど、仕方ないじゃない。

 だって……弱い奴に弱いと言っても仕方ないじゃない。


「だははははははははは! 異世界召喚された奴と期待してみれば! ただのおばさんじゃねーか!」


 なんだなんだ? 如何にも最初のやられ役みたいな事を言う奴は?

 ……ふむ、さっきのリーダーぽい人はリーダーと名付けよう。

 コイツは冒頭でやれる君でいいや。

 だって名前知らないし、知っても覚えておく必要は無い。


「ヤランレ、落ち着きなさい」

「まあそういうなリーダー、だって俺達が処刑って事は少しは期待するだろう?」

「早く片付けろ」

「へいへい! リーダー含めて手を出すんじゃねーぞ!」


 ふーん、コイツの名前はヤランレというのか。

 さて、相手の出方を見ましょう?

 ゆっくりじっくりと楽しみましょう?

 私、異世界誘拐犯に中指立てるのが主だけど……

 敵対するのは別腹だ! さあ! 殺し合うさね!

 ……いや、まずは相手に調子に乗ってもらおう。


「ま、そんな訳でさっさと殺されてくれ」

「ふふ、なら喋ってないでさっさと殺せばいいじゃない?」

「ハッ! 確かにそうだな! ファイヤーボール!」


 ああ……えぇ……まあいいか。

 なんつーか、異世界人て意気揚々と火の玉って叫ぶんだ?

 これはお国柄って奴か?

 例えばファイヤーボールが普通の場所なら普通。

 いや、もっといい例えがあるか。


 赤りんごが主流な場所に青りんごが普通だ!

 そんな事を言っても仕方がないって事。

 でもお互いにバカにするかもしれない。

 自分と違うからね。


「ぎゃははははは! 俺のファイヤーボールは普通のファイヤーボールじゃないぜ!」


 ああ、そういえば巨大な火の玉が出てたな。

 ふむ、コゲといてやろうか?

 イキリ散らしにはじっくりとしないとな。

 あー肉の焼けた臭いも再現しといた方がいいな。

 油断と慢心ささせといて損はない。


「何!? やるじゃねぇか! 障壁でも張ったか!?」


 あ、考えてたら技が終わってた。

 私から煙もモクモクと上がっている。

 よしよし、次は上手くやろう。

 ……ああ、どうせ次はイラプションとか、ヘルファイヤじゃないの?



「ヘルファイヤあーんど! イラプション!」


 ああ……そう来る。

 何か溶岩やらなんやら私を取り巻いているけど。

 ま、コゲてたらいいでしょ。


「ははははは! 流石にこれは防げまい!」


 ふーむ、何時も思うんだが、ゲームとかはしょうがないとしてさね。

 こう……魔法で攻撃したら普通建物壊れない?

 って、何度か前の異世界召喚の時も同じ事を言っていたね。

 あーあ、おばさんて嫌だわ、物忘れをするんだから。

 おっと、忘れずにコゲときましょ、いや黒コゲか。


「はっはっは! 消し炭になりやがった!」


 ……本当に絵に描いた様なチュートリアルイキリ散らし君だねぇ。

 ま、他の奴の動きを見てみるか、頼む! 私のコゲコゲ擬態に気付いて!

 流石に気付くか、少なくともリーダーは私が生きているとわかっているさね?

 良かった良かった、やっぱりある程度強くないと。


「ヤランレ、まだソイツは生きているぞ」

「ああ!? んだよめんどくせぇな! とっとと死んでくれよ! お前を処刑すりゃクソうぜぇ研究しないでさっさと家に帰れるんだからよ!」

「……」


 ふーむ、どうしましょ? ま、バレてるなら仕方ない。

 ちゃんとご挨拶をしましょう、擬態もときましょうか。

 ふふ、元通り元通り……では優雅にご挨拶でも。


「失礼いたしました、第七魔法研究所の皆様、私はセイント・メッスルン……ただの異世界人です」

「ああ!? ただの異世界人が俺の炎で平気な訳無いだろ」

「では自己紹介の続きを、あらゆる世界の異世界誘拐犯をぶっ殺す為に旅をしています」

「けっ! 言ってる意味がわからないぜ!」

「あらあら、お子様には難しかったかしら?」

「へっ! ババアの妄言には付き合ってらんねーぜ!」


 ふっ、悪い子供にはほほいのほい。

 お前の魔法は封じた、さてどんな反応をするのかね?

 まあどうせブチギレるんでしょうけども。


「死ね! ビッグバン!」

「あらあら? どうしたのかしら? 何も起こらないわよ?」

「……てめぇ! 何をしやがった!」

「あらあら? ここの世界……いえ、この国の禁術を研究する人達……いえ、失礼しました、ヤランレさんはレベルが低いのね?」

「てっ! てめぇ!」

「あらあら冷静になって? 今の貴方に私を殺せると思っているの?」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!」

「えぇ……貴方って本当に子供っぽいわね?」

「……けっ、他の奴に任せるぜ、めんどくせぇ」

「あら」


 こういうタイプって無謀に攻撃とか自爆とかしそうなのに……

 ふーん、なかなか面白いじゃない?

 どうやって私を楽しませてくれるのかしら?

 たっぷりと時間をかけるさね、どうせ非合法の処刑だ。

 表立ってどうとは出来ないだろうさ。


「それで? 次は誰が相手をするのかしら?」

「無論、全員だ」


 あらあら、リーダーさんの言葉でこの場に居る人達が殺気立ちましたわ!

 ふふふふ、楽しいじゃない? でも駄目ね。

 この程度で私の高揚感は得られない。

 いや……私は高揚感を得るために動いているのかしら?

 違うわね、私は私の好きにしている。

 あら……これって高揚感を得たいが為にって合ってるわね。

 さ、私もほんの少し本気を出しましようか。

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