さてさて、サンタニールさんとガールズトークね。
久しぶりだわ、こう、ちゃんと話が通じない相手がね。
異世界転生とか転移者ってね基本的にイキリ散らしか、無自覚兵器だから困るわね。
「貴女も大変ね、サンタニール」
「……いや、それよりも聞きたいのだが」
「何かしら?」
「おそらくこの気配は暗部の者だろう、何故ここに居る?」
ふふ、実はさっきから増えていたのよね。
さっきは3人くらいだったかしら?
まったく……虫じゃないんだからわかないでほしいわね。
今はどれ位隠れてるつもりなのかしら?
ま、ちちんぷいぷいほほいのほい、それで終るけど。
「それはもちろん私を消すためでしょ?」
「なるほど、単純に考えたら……全てセイントの言っている事が正しくなるな」
「あらあら、私を信用してくれるの?」
「ああ、国の暗部は何時から暗殺者集団に成り下がったんだ」
「仕方ないんじゃない? 国に所属している以上、誰かのコマよ? 王族も貴族もね」
「ふむ……言い方が気に食わないが、その通りだ」
「あらごめんなさい? 教養が無いの」
ふふ、実際に私は教養が無いわ。
異世界転生とか転移してきた人達から、チートを頂いたりしただけよ。
もちろん、異世界誘拐犯から守ってあげたり――あら?
サンタニールさんが、渋い顔をしているわ? どうしたのかしら?
「どうしたの? 考え事?」
「……この国の裏では異世界召喚が行われると」
「正直言って、どの国でもしてるんじゃないかしら?」
「私とて楽観的に考えてはいない、何処の国も大小汚い事はしているだろう」
「あら? 王の側近がそんな事を言っていいのかしら?」
「構わないな公式の場ではない、そして私は容疑者の話に合わせているだけだ」
「あらあらあら容疑者? なんの容疑よ」
「この国が異世界召喚をしていた、と、いう噓だな」
「あらあらあら、やっぱりその線で私を悪人にするのね?」
「暗部がここに居る時点でそうだろう、いや違うか、裏で処理するつもりか? 死人に口なしか」
流石ね、暗部の存在にもちゃんと気付いている。
ま、私の魔法で動けないけどね。
やっぱりこの人強い……いや、これがある意味で普通では?
そりゃ王の側近なんだから、バカじゃつとまらないわよね。
「あらあらまあまあ、私、この国で死刑ですか?」
「させるとおもうか?」
「あら?」
「多分差し金は大臣だろう、大臣と言っても色々と居るし、正直派閥も色々とある」
「国が大きくなると面倒くさいわね~」
「と言いつつ楽しそうだな」
「ええ、それはそうよ? 私は合法的にイキリ散らしたいの」
「……全力でお前の無実を照明する」
「えぇ? 何で? 私みたいな悪人切り捨てればいいじゃない?」
「正直言って、私でも暗部の人間数人には苦戦するだろう」
「そうかしら?」
「……今わかった、お前、30人以上を魔法で止めているな? 私を守ったのか?」
「そうね……私はお話が出来る人が好きなの、貴女は知ってる? 転生や転移者っておバカさんが多いのよ」
「さあな、私は知らない」
うんうん、そうそう! 知っていても知らないっていいわね~
何処で誰が聞いていかわからないしね。
ああ、今は動けなくて隠れている暗部の方々が居たわね。
流石に殺しとかはしないわよ? カオスじゃないんだから。
ずっと停止させとくのも可哀想だから、後で解きましょ。
でも暗部って凄いわね、透明化だったり、狭い所に隠れたり。
ま、今はいいか、ガールズトークの続きよ。
「愚かねぇ多分この機会に、目の上のたんコブの貴女も消しにかかった」
「私は国に忠誠を誓った、不正等は見逃して来なかったからな、恨まれもするか」
「あらあら? 私もこの国のバランスを壊そうとしているわよ? ある意味でね」
「ふっ、話してわかったが、お前は話せる奴にはちゃんと言葉で返す」
「当たり前でしょ? 意思疎通は大切よ?」
「……だが少し面倒くさいな」
「何がかしら?」
「この人数の暗部だ、殺しに失敗したら次はどんな手段に出るか」
「あら? 考えてはいないんじゃない?」
「え?」
あらあら、サンタニールさんが止まってしまった。
鳩が豆鉄砲を食ったようって奴ね。
そりゃ自国の人間が無能と言われたらそうか。
……あらあら、考え始めちゃった。
「貴女は少なからず殺し合いを経験しているわね?」
「ああ、国の為にな」
「例えば……それを書面のやり取り、つまりは戦死者を数字とかでしか見ない人間だったら?」
「なるほど失敗すれば……数が多ければいい、そう考えると?」
「ええ、愚かな話ね? 書面とかじゃわからない……絶対的な力があるのに」
この私のように! 口では言わないわよ? イキリ散らしじゃない。
やっぱりイキリ散らしは、ちゃんとしたイキリ散らしターンで使いましょう。
やっぱりサンタニールさんは真面目ね、考え中よ。
……ふーむ、本当に書面でしか物事考えない奴が、大臣クラスとは考えたくないけど。
「……確かにアホだ、数で殺せる戦いはそんなに無いぞ、ちゃんと作戦があってこそだ」
「そうそう、だから多分安易な作戦でくるとおもうわよ? 例えば食事に毒をもるとか?」
「……1を知って10を知るとは言うがあまりにも雑だ」
「まあまあ、今の話もさっきの話も私の例えよ? でもそうね、おもしろそうじゃない?」
「は?」
「簡単よ、悪い事ってやればやるほど隠せないでしょ? 隠すにも限界がある」
「まあ確かに」
悪事って大小やっぱり目立つのよ。
はぁ……カオスのイキリ散らしを見ていると、全部小さく見えるから困るわ。
もちろん、この私の所業もね? カオスに比べてかわいいものよ。
それは置いといて、例え話をしましょう。
「例えばよ? 私の食事に毎回毎回毒を入れれると思う?」
「現実的に考えれば……誰かの弱みに漬け込んだとしても、短期なら出来るだろうが長期では無理だろう」
「そうよね……だから多分、私や貴女を殺せなかった事にアタフタ人間を見てればいいよね」
「……悪人としてレベルが低いのでは?」
「弱い者イジメをして得た経験値は自分を強くしないわ? 貴女も血反吐を吐いて今の地位があるんでしょう?」
「……ああ」
ふふ、善にしろ悪にしろ努力した者は楽出来る。
私もイキリ散らす為に……色々と努力したわ。
あ~懐かしい~私も、あ! 可愛いお花! とか言ってた時期があったわ。
おのれ異世界誘拐犯……私の青春を返せ。
ま、今はそれはいいさね。
「ふっふっふっ、明日が楽しみね? 多分弱い者イジメしかしてこなかった奴が、慌てているかも?」
「ふむ……いい機会だ、逆に言えばセイントに便乗すれば国の掃除が出来ると」
「たくましいわね?」
「王の側近はこれくらい考えないとな、いや、考えるのは参謀の仕事か、私は懐刀だ」
「あら、最終兵器ってことじゃない? 信用されてるのね」
「ふっ、そうだといいが」
おそらく今日は何も起こらない。
明日以降が楽しみね?
ふふ、ちょっとこの国を手助けしたくなっちゃう。
さてはて、どうなることやら。