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第十五話 あらあら? お客様?

 さてはて次の日、私達は村長さんと村の人達と共に、落盤があった洞窟へと向かった。


「ここです」

「セイント、どうだ? 探知ならお前の方が得意だろ」

「ふむ」


 ほほいのほい、なるほどなるほど、これは単なる落盤さね。

 魔物の影響ではない、補強と補修すれば……ん?

 洞窟の近くに異世界転移か転生者の反応?

 ……これは私達を追って来た?

 面白いじゃないかい……私は平穏な時間を邪魔するか。


 善悪なぞ関係無い、私の邪魔をするなら滅するのみ。


「カオス、洞窟はただの落盤だ、補修と補強で元通りになるだろう」

「お、魔物とかは居ないんだな?」

「万が一がある、お前が守ってやれ」

「ん? お前はどうするんだ?」

「近くに妙な気配を感じた、念のため確認をしてくる」

「わかった、俺達は洞窟の立て直しだな」


 さてさて、どんな奴が私の邪魔をするのかね?

 ふむふむ、この気配はこの間カオスに喧嘩を売って来た奴か。

 異世界転生か転移者を連れているね?

 ふむ、正面衝突でご挨拶をしてみようかしら?


「……どうやら反応がこの先にあるな」

「あらあら? 私達に用かしら?」


 ふむ、やはりこの間襲撃した奴みたいさね?

 ふむふむ、勝てないと思ったから異世界から連れて来たのかしら?

 あらあら、異世界転生……いや、転移のほうね?

 テンプレ通りのイケメン君じゃないの。

 手下はこの間の襲撃者って所ね?


 正面突破と言ったけれど、背後からの襲撃にになっちゃった。


「俺が背後をとられるだと? 何者だ」

「……はぁ、アナタもやれやれ系異世界転生や転移――」


 あら? 私の頭が胴体ってか首から離れたわね?

 ほほう? 私を切り刻めるくらいには強いのね。

 でも死んではいない、遊んでやろうじゃない。


「こらこら待ちなさい、私はまだ死んでないわよ?」

「馬鹿な、俺の――」

「ああ、能力の説明とかしなくていいわよ?」


 私は頭を首にがっちゃんこ。

 ってこの表現だと私が機械みたいじゃない。

 私はただの人間よ? 

 異世界転生や転移を推奨する奴らを許さないだけ。


「あなた達の目的は多分カオスね? はぁ……忠告するけど、国滅ぼされたいの?」

「どういう事だ? 何で従者がここまで強いんだ?」

「ええ? 待って待って? 私が従者? それ誰情報よ?」


 本当にやめてほしいわ、カオスの従者とか演技だけでいいさね。

 はぁ……この転移者君もハズレかしら?

 私に攻撃出来るくらいには強いけど、頭が追い付いてない?

 いや、経験が足りないだけかしら?


「お前と話す事などない、死ね」

「は? お前は馬鹿か?」


 なるほどなるほど、自分に絶対な自信を持っているタイプか。

 んで、自分より格段に強い者と戦った事が無い。

 あっても味方とかかね? んで、理解出来る範囲での強敵とかとしか戦ってこなかったのか?

 ま、私がこうやって頭で考えてる時ですら、攻撃してこない。

 多分本能でどう対処するか、それを考えているのね?


「ほらほら? 最初みたく私に攻撃すればいいじゃない? 無駄だけど、流石にバカじゃないでしょ?」

「……俺達の用事はお前と一緒に居た男だ」

「そうそう、話し合いはとても大切よ」


 あらあら、敵わないと思ったら会話をしてきたわ?

 なかなかできることじゃない、イキリ散らし転移者ではないようね?

 コイツは言葉ではイキリ散らしてないようだけど、態度がでかい。

 私が言えた事ではないか? ま、いいさね。


「ああ、最初に釘さしとくと、この先に小さい村があるんだけどね? 巻き込んだらお前の国を滅ぼすからな? 転移者君は分別ありそうだけど、そこのカミッニの暗部の皆様?」


 はっ、喋らないけどあからさまに動揺しているね。

 やる気満々じゃないか、良かった。

 いや、巻き込んだのは私達……いや、カオスだ。

 カオスがあの神に力を与えなきゃ良かったんだよ!

 ったく! てめぇの尻は自分でふきふきしろってんだ!

 あ、そうさせるか。


「とりあえずあなた達の目的はカオスなのね? だったらここに連れてくる、それでいいでしょ?」

「……ああ」


 おお、理解があって助かる助かる。

 ふむ、現状を理解して最適を考えるようさね。

 まあ問答無用で攻撃はどうかと思うけど。

 さて、カオスを連れてくるか。

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