さてはて次の日、私達は村長さんと村の人達と共に、落盤があった洞窟へと向かった。
「ここです」
「セイント、どうだ? 探知ならお前の方が得意だろ」
「ふむ」
ほほいのほい、なるほどなるほど、これは単なる落盤さね。
魔物の影響ではない、補強と補修すれば……ん?
洞窟の近くに異世界転移か転生者の反応?
……これは私達を追って来た?
面白いじゃないかい……私は平穏な時間を邪魔するか。
善悪なぞ関係無い、私の邪魔をするなら滅するのみ。
「カオス、洞窟はただの落盤だ、補修と補強で元通りになるだろう」
「お、魔物とかは居ないんだな?」
「万が一がある、お前が守ってやれ」
「ん? お前はどうするんだ?」
「近くに妙な気配を感じた、念のため確認をしてくる」
「わかった、俺達は洞窟の立て直しだな」
さてさて、どんな奴が私の邪魔をするのかね?
ふむふむ、この気配はこの間カオスに喧嘩を売って来た奴か。
異世界転生か転移者を連れているね?
ふむ、正面衝突でご挨拶をしてみようかしら?
「……どうやら反応がこの先にあるな」
「あらあら? 私達に用かしら?」
ふむ、やはりこの間襲撃した奴みたいさね?
ふむふむ、勝てないと思ったから異世界から連れて来たのかしら?
あらあら、異世界転生……いや、転移のほうね?
テンプレ通りのイケメン君じゃないの。
手下はこの間の襲撃者って所ね?
正面突破と言ったけれど、背後からの襲撃にになっちゃった。
「俺が背後をとられるだと? 何者だ」
「……はぁ、アナタもやれやれ系異世界転生や転移――」
あら? 私の頭が胴体ってか首から離れたわね?
ほほう? 私を切り刻めるくらいには強いのね。
でも死んではいない、遊んでやろうじゃない。
「こらこら待ちなさい、私はまだ死んでないわよ?」
「馬鹿な、俺の――」
「ああ、能力の説明とかしなくていいわよ?」
私は頭を首にがっちゃんこ。
ってこの表現だと私が機械みたいじゃない。
私はただの人間よ?
異世界転生や転移を推奨する奴らを許さないだけ。
「あなた達の目的は多分カオスね? はぁ……忠告するけど、国滅ぼされたいの?」
「どういう事だ? 何で従者がここまで強いんだ?」
「ええ? 待って待って? 私が従者? それ誰情報よ?」
本当にやめてほしいわ、カオスの従者とか演技だけでいいさね。
はぁ……この転移者君もハズレかしら?
私に攻撃出来るくらいには強いけど、頭が追い付いてない?
いや、経験が足りないだけかしら?
「お前と話す事などない、死ね」
「は? お前は馬鹿か?」
なるほどなるほど、自分に絶対な自信を持っているタイプか。
んで、自分より格段に強い者と戦った事が無い。
あっても味方とかかね? んで、理解出来る範囲での強敵とかとしか戦ってこなかったのか?
ま、私がこうやって頭で考えてる時ですら、攻撃してこない。
多分本能でどう対処するか、それを考えているのね?
「ほらほら? 最初みたく私に攻撃すればいいじゃない? 無駄だけど、流石にバカじゃないでしょ?」
「……俺達の用事はお前と一緒に居た男だ」
「そうそう、話し合いはとても大切よ」
あらあら、敵わないと思ったら会話をしてきたわ?
なかなかできることじゃない、イキリ散らし転移者ではないようね?
コイツは言葉ではイキリ散らしてないようだけど、態度がでかい。
私が言えた事ではないか? ま、いいさね。
「ああ、最初に釘さしとくと、この先に小さい村があるんだけどね? 巻き込んだらお前の国を滅ぼすからな? 転移者君は分別ありそうだけど、そこのカミッニの暗部の皆様?」
はっ、喋らないけどあからさまに動揺しているね。
やる気満々じゃないか、良かった。
いや、巻き込んだのは私達……いや、カオスだ。
カオスがあの神に力を与えなきゃ良かったんだよ!
ったく! てめぇの尻は自分でふきふきしろってんだ!
あ、そうさせるか。
「とりあえずあなた達の目的はカオスなのね? だったらここに連れてくる、それでいいでしょ?」
「……ああ」
おお、理解があって助かる助かる。
ふむ、現状を理解して最適を考えるようさね。
まあ問答無用で攻撃はどうかと思うけど。
さて、カオスを連れてくるか。