何か知らんけど、異世界あるあるを見る事になった。
で、今の状況は奴隷を庇う、異世界転生者か転移者の登場って訳だ。
「何だぁ!? てめぇ!」
「まさか奴隷を助けるとでも言うなよ? 合法なんだぜ!?」
ああ……そいやこの国って奴隷制度あったな。
まあ、そんな酷い扱いではないはずなんだ。
この世界の奴隷制度は……いや待てよ。
制度がしっかりとしていても、悪い事する奴はするか。
どちらにしろ、国が認めた『合法』なんだよな。
「その奴隷を買う、それなら文句はあるまい?」
「なんだ客かよ、脅かせやがって」
ふむふむ、あの若者はありがちな、転移者とか転生者ではないようだ。
『お! すげぇ! 普通の転生者とか転移者なら、まずぶん殴るのに!? なんて物分かりが良いんだ!』
『あのなカオス、聞こえないとは言え、そんなにはしゃぐな』
『馬鹿野郎! 常識ある転生者とか転移者って居ないんだぜ? どいつもこいつも奴隷制度反対! それは素晴らしいがな? 異世界の奴隷制度をちゃんと調べねーんだよ! 前の世界の常識をペラペラと語りだしやがる! 異世界を壊すな! 侵略者が!』
『はいはい、落ち着いて、てかあの若者は転生者なの? 転移者?』
『ああ、俺のイキリ散らしセンサーによると、転移者だな』
『ふむふむ』
む? あの若者がこちらを見た? ほう? 私達の存在に気付いたか。
やるじゃないか、私の魔法を見破るとはね?
ふむ、転生者君は奴隷商人と商談をしているようだな。
……それもまとまったようだ。
ほうほう、転移者君の従者っぽいのが現れたね、話の続きをするようだ。
ふむ、従者は奴隷商人と少女と共にこの場所を離れたね。
ふむふむ、私の方を見ている、これはバレてるね?
「……復讐の魔女、まさかここで会えるとは」
「あらあらあら? 私をご存知とは?」
私は、自分達にかかっていた魔法をといた。
ふむ、何処の誰かは知らないけど、誰さね?
「当たり前だ、異世界を破壊して回る魔女、名前だけは知っている」
「で、どうする? 私を始末でもするの?」
「まあ待てセイント、彼は理解がある転移者だ、イキリ散らさず、奴隷を国のルールに乗っ取り助けただろう?」
「そうだ復讐の魔女、俺は一度、そこの男にボコボコにやられている」
「んん? 俺とも面識があったのか? まあ俺はイキリ散らす奴らをボコボコにするのが趣味だからな」
いや、この間神の使命とか言ってただろお前。
「俺はチートを貰って異世界転移をして、奴隷制度に異を唱えて好き勝手した」
「ふむふむ、それで?」
「結果的に、俺は国一つ……いや、大陸一つ滅ぼしてしまった、奴隷で経済が成り立っている場所だったんだ」
ほーう? 何処の世界かは知らないが、まあそういう世界もあるだろうさね。
大陸って事は、その世界全体を壊すには至らなかったのか。
「ああ! 思い出した! やけに正義感語っている奴だったか! 奴隷制度はいけないんだ! 奴隷制度は廃止するべきだ!」
「いやそれ、大抵の異世界転生や転移者が言ってないか?」
「彼は凄かったんだよ、従わない者を正義の刃でボコボコにしていたから」
「ああ……俺は彼の言う通り、イキリ散らしていたんだ」
「んで俺が疑問に思った事を、ボコボコにした後言っただけだ」
「何て言ったのさね?」
「その常識は、この世界では正しいのか? 正しかったとして、足並みを急に変えると世界はどうなる? とね、まあそんな事を言った記憶があるよ、もっと長く言ったかな?」
「ふむ」
なるほどな、現地人からしたら、侵略者が奴隷制度を廃止しろ、従わなければ殺す、そんな所さね。
んでカオスにボコボコやられたと、ふーむ。
あれ? 何でこの世界に居るんだ? 今更ながら。
「ん? 何でこの世界にいるさね? その世界はどうしたのさ?」
「今も時々顔を出していますよ、私が今しているのは異世界転移をして奴隷の救済、その世界のルールに則って奴隷を助ける事、また、時間をかけて私の考えを訴えています」
「おお!? 至極まともに異世界転生者になったな!」
「貴方にボコボコにされたおかげですよ」
「そっかー、まあ頑張れよ! あ! セイント! 船が出る時間だ! 新たなイキリ散らしが幕を開けるぜ!」
「はいはい、それじゃ行こうか」
ふーん、奴隷を救済する異世界転移者か。
聞く感じボコボコにされてからは、やり方を変えた感じか。
まあ私の邪魔をする感じではなかったな。
さてはて、今度は船旅が、どうなる事やら。