さてさてさて! いよいよ楽しい楽しいイキリ散らしタイムだ!
敵国さんは大量に銃やらなんやら、この世界で出来る技術で色々と作ったらしい。
私のバフで今まで無双出来たのに……ま、気付くはずかない。
「ひっひっひっひっひ! これから楽しい楽しいイキリ散らしだ!」
「あーセイント、何度も言っているが、お前はこの国の聖女様に偽装してるんだろ?」
「おほほほほほ、カオス様いやですわ、『佐藤あんな』でしてよ? さあ! これから自国をまもる為に戦争でしてよ!」
「はぁ……」
さあさあ戦争前の、つまらないお偉いさんの小言は右から左。
聞く価値も無い、開戦して私達はしばらく本陣に居た。
ま、作戦は簡単だ、自軍は――あれ? どうだったっけ?
とりあえず私のやる事は、時間になったら、敵国に付与した銃のバフを外す事さね。
さてさて本陣で優雅にお茶して数十分。
「セイント、時間だ」
「ほほいのほい」
私はバフを解除した、その瞬間戦場から自国のたくましい声が響く。
私達は数分その場で待機をした。
ふむ、そろそろ私達も動くかね?
「カオス、異世界転移者君は何処に居るかわかった?」
「お前ももう感知しているだろ?」
「んじゃ、イキリ散らしに行こうか」
「へいへい」
カオスが何か乗り気じゃないが良いだろう。
さてさて? 敵国の異世界転移者君は何処にいるのかな?
まあ知ってるんだけど。
てな訳で私達は、異世界転移者君の目の前現れたのさね。
「なっ! 何だお前は!?」
おーおーおーおーおーおー!
いっちょ前に銃とか構えているよ。
かっちょいい、様になっとるよ?
服装も、ミリタリー好き御用達の迷彩服だ。
「私? 国が呼んだ異世界転生とか、転移者にイキリ散らししたいだけさね?」
「……なあ、ツッコミを入れるけど、それ、俺の標的じゃないか? 俺はイキリ散らす異世界転生や転移を、イキリ散らすのが好きなんだが」
「残念、彼は国に所属している、国から追放されたら、アンタの標的じゃない?」
「ま、そうなんだがね、国に属している以上、お前の獲物だよ」
さてはて、先程から銃を構えている異世界転移者君。
長いからミリタリー君でいいや。
ミリタリー君は発砲するつもりはあるのかな?
「ん? どうしたミリタリー君? 打てばいいじゃないかね?」
「ああ……こりゃアレだセイント、ネットに居るような口だけの奴」
「どういう事さね?」
「ああ知らないか? 例えば銃で事件があったとする」
「ふむ」
「で、その時の動画が拡散されたとする」
「ほう」
「その時に、俺なら、私ならこうするとマウントとる奴らが居るのよ」
「ああー居る居る、殺し合いも経験した事ない奴ら」
ま、私も最初は人を殺すなんて嫌だったさね。
でも異世界転生や転移が私を変えた。
今はその話はいいさね。
「彼はおそらく、この世界に来て、殺しは経験している」
「ほう」
「一方的のね」
「ああーよくある弱い者にしか、イキリ散らせない奴か」
「おいおいセイント、それブーメランだ」
「上等、戻って来たブーメランはまた投げればいい、武器として正しいだろ?」
「まあ確かに」
てかミリタリー君は発砲しないのかね?
こんだけ悠長にペチャクチャ喋っているのに。
「どうしたミリタリー君? 何故撃たないんさね?」
「ま、まさか……お前が俺の銃に何かしたのか!?」
「先手をバキューンと撃つと、私はお前さんの銃の威力を下げちゃいないよ?」
「つまり俺が製作した銃の威力を上げていたのか!?」
「お、当たり~」
「くそ!? お、俺はここで死ぬのか!?」
「いやいや、殺さないさね? 殺してほしいの?」
「は!? はあ!? せ、戦争をしているのに!?」
「君は自分のしたイキリ散らしの……清算をする時だ」
「清算!? 何を言っている!? それに俺はイキリ散らしなど!」
「ふむ……んじゃ聞くけどさ? 何でこの世界の銃は衰退していたんですか?」
「は? 衰退?」
ふむふむ、このミリタリー君は多分地頭はいいさね。
なら、私の言った事も理解出来るか。
「……必要なかったからか! 銃がこの世界では必要なかったのか!」
「お、正解~どれくらい必要無いかというと、一般人の防御魔法で防げるんだよ、もちろん不意打ちでは効果があるけどね、魔法の方が楽さね?」
「……お前達の目的は何なんだ」
「私達? 私は異世界転生や転移を推奨している国を滅ぼす、その為に異世界を旅している」
「おいおい、俺は違うぞ? イキリ散らす異世界転生や転移とぶっ殺す」
「ん? じゃあミリタリー君を殺すのかい?」
「いや、そんな事しなくても、弾圧されるだろ」
「……くっ!」
おやおや、ミリタリー君は観念して膝をついたね。
ふむ、本当に理解力がある珍しい異世界転移者だ。
基本的にアホなのに。
ふむ、まあミリタリー君の場合は、異世界転移にウキウキしてイキリ散らした。
って所さね、まあお祭で高揚するようなもん。
冷静になって良かった良かった。
「国を上げて銃の製作をしたんだ、不必要となれば国自体が終わる」
「そうそう、国民は黙っちゃいないね~」
「まあ頑張れ、異世界の常識考えないでイキリ散らした結果だ」
「……」
ふむふむふむ、本当に後悔しているようだね。
まあ私は手助けしないが、手を差し伸べたくなる。
「セイント、帰ろうぜ」
「んじゃ、そうするかね」
「ああ」
私達はミリタリー君を置いて自軍に帰った。
ま、戦争の結界は言うまでもないだろうさね。
んで、敵国もどうなったか言うまでもないさね。
経済は崩壊、住民怒り爆発、王族と一部貴族の弾圧。
で、私の居る国が超良条件で敵国を助ける。
市民はこちらの味方、自国はもちろん敵国の負債を肩代わりだが。
民の信頼と領土を取れるんら安い、長い目で見たら勝ちだろうさね。
さて、この自国にも飽きてきたから、理由を付けて旅に出るか。
カオスもストレスが溜まってそうだし、しばらくは奴のわがままに付き合うか。