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第十三話 結局チート持ってても、心と考え方は年相応なんだよ

 おやおや、カオスから本気を感じるね。

 そろそろおしまいか、まあ私も死んだふりは疲れる。

 だって、何もしないで地面に倒れてるって辛い。

 寝返りって素晴らしかったんだな。


「異世界転移者さんよ、ここからは純粋な殺し合いだ、チートでも何でも使って俺を殺せ」

「ひっ! お前はなんなんだ! ん!? 何故恐怖を感じているんだ!?」


 可哀想じゃないか? だって攻撃お前に効かないじゃん。

 ああ、そいやカオスが前に言ってたな。

 自分はイキリ散らす為に、人間を止めて神様の元で修業したと。

 これもある意味でチートかもしれない。

 だが奴の力は血反吐を吐いて得た力だ。

 私も最初の異世界転移は、頭異世界だったけどな。

 夢見た異世界転移や転生は、創作物の中にしかないよ。


「どうした? ここは戦場でお前の仕事は敵を殺す事じゃないのか? 何を怯えている? 今までも命を消したのだろう?」

「ど、どうして恐怖を感じるんだ! 恐怖耐性を持っているんだぞ!」

「だから……ゲームじゃねーんだよ、現実なんだよ馬鹿か? まあ当たり前の考え持ってたら、異世界だからって簡単に殺しをしないわな」

「お前だ――」

「俺は神の使いだ、目的も無くだだ無暗に命を奪うお前と一緒にするな、やれやれとか言ってな」


 ああ、こりゃイジメと同じ現象だな。

 ボコボコにしている時は楽しいけど、いざ自分がなった時。

 はぁ……この異世界転移者君は、平和な世界からきたのかね?

 殺伐とした世界、言わば死と隣合わせの世界からなら、こんな怯えもしないだろう。

 ……今更、カオスとの実力差に気が付いたのか。


 ゲーム感覚転生とか転移ってバカな奴が多いよな。

 カオスも言っていたが、通知表とかテストの点数で相手を決めつけてるし。

 『ステータス依存症』か、なかなかいい煽りだよ。

 どちらにしろ別にいいか、私の管轄外だ。

 さよなら、異世界転移者君。


「……」


 カオスが転移者君の首をはねて終わりさね。

 ん? カオスが何かお祈りポーズをしたぞ?

 ま、死んだふりはもういいか。

 起きよう。


「神よ、また一つ異世界を汚す魂を浄化しました」

「っておいおい、カオス、私もある意味異世界汚してないか?」


 思わずツッコミをしてしまった、カオスの考えはあまり知らんが。

 私も好き勝手に異世界人殺してるけども?


「お前は別だ、お前の目的は『異世界召喚する奴らをボコボコする』だろ?」

「ああ」

「俺は使命は……『その世界の常識知ろうともせず、貰った力と自分の常識で無双しようとしている、可哀想な頭異世界な人達の始末』さ、言い足りないけどね」

「ふむ」

「ま、つまりはお前に感謝している」

「ん?」

「お前はマッチポンプで、いけ好かない頭異世界な奴らを呼ぶために! 何時も召喚者達を好き勝手出来る様にしているだろ? 今回で言えば! 俺達が今いる国! あそこを悪の帝国にしようとしている! そして、他の国が表立って異世界召喚するようにしている!」


 うわ~凄くいい笑顔してる。

 私も召喚者殺すと時こんな顔をしているのかな。

 やだな~こう……人を捨てた笑顔はしたくないな。

 ああ……こういう異常者といると、この世界で助けた島国の人達を思い出す。

 こう……あの生きるんだって笑顔が素敵だった。


「俺の願いを叶えるにはお前と一緒に居るのがいい! これからも頼むよ!」

「ああ、ただ私は望まない者、帰りたい者は帰す、他は知らん、私は異世界召喚をする奴らを滅ぼせればいい」

「願ったり叶ったりなんだよ、お前と一緒に召喚されるタイミングは、馬鹿奴らが召喚されて好き勝手する! 俺は馬鹿な奴だけを殺したい!」


 なんだろうな、私もぶっ飛んでるとは思うけどさ。

 こう……ああ、あれだ!

 ブチギレたとして、自分よりブチギレている人を見たら落ち着く。

 アレに近いな、きっと今の私は真顔だろう。


「さあセイント! あ、今は聖女『佐藤あんな』って名前だったか! さあ! 次はどの様な手で転生者、転移者を相手にするんだ!?」

「……なあ、いい笑顔の所悪いが」

「どうした?」

「例えばだけど、慎ましく生きている転移者とか、転生者はどうするんだ?」

「何もしない、お前だって、島国の人達に敵意を向けなかっただろ?」

「あの人達は本当に困っていたからだ、異世界召喚に賭けるほどな」

「ま、それと同じだ、さて、一度帰ろうか」

「ああ」


 さて、今いる国を悪の帝国にするにはどうしたらいいかね。

 ふむ……私は頭はよくないから……過剰防衛から始めてみるか。

 今回のこの状況、悲惨と言えば悲惨だろう。

 ほぼ一方的になぶり殺し、あ、そうだ!

 相手は『降伏』していたってのはどうだろうか?

 んで、私達の国は知らないって事にする。

 実際は降伏する前に全滅させたのだがな。


 とりあえずシナリオはこうだ。

 この防衛戦は、敵は降伏していたが私達が殲滅した。

 相手は激怒するだろう、しかしそれは中立国の仕組んだ事だった。

 ギルド登録した中立国……キルミヤーコだったか?

 あの国のせいにしよう、中立なんて言葉が、今のこの世界情勢では偽りなぞわかっている。


 あの国は世界情勢とは無縁です、私達は中立ですって空気を感じたが。

 それは違う、裏では他国と同じ異世界召喚に手を出している。

 まあ、それが普通だよな、今世界情勢は不安定なんだから。


 もっと短くまとめようか、次の標的は中立国だ。

 中立中立言ってる奴らが、本当に中立か……見てやろう。

 キルミヤーコ以外にも中立国は存在するらしいが。

 まずはキルミヤーコだ。

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