おやおや、カオスから本気を感じるね。
そろそろおしまいか、まあ私も死んだふりは疲れる。
だって、何もしないで地面に倒れてるって辛い。
寝返りって素晴らしかったんだな。
「異世界転移者さんよ、ここからは純粋な殺し合いだ、チートでも何でも使って俺を殺せ」
「ひっ! お前はなんなんだ! ん!? 何故恐怖を感じているんだ!?」
可哀想じゃないか? だって攻撃お前に効かないじゃん。
ああ、そいやカオスが前に言ってたな。
自分はイキリ散らす為に、人間を止めて神様の元で修業したと。
これもある意味でチートかもしれない。
だが奴の力は血反吐を吐いて得た力だ。
私も最初の異世界転移は、頭異世界だったけどな。
夢見た異世界転移や転生は、創作物の中にしかないよ。
「どうした? ここは戦場でお前の仕事は敵を殺す事じゃないのか? 何を怯えている? 今までも命を消したのだろう?」
「ど、どうして恐怖を感じるんだ! 恐怖耐性を持っているんだぞ!」
「だから……ゲームじゃねーんだよ、現実なんだよ馬鹿か? まあ当たり前の考え持ってたら、異世界だからって簡単に殺しをしないわな」
「お前だ――」
「俺は神の使いだ、目的も無くだだ無暗に命を奪うお前と一緒にするな、やれやれとか言ってな」
ああ、こりゃイジメと同じ現象だな。
ボコボコにしている時は楽しいけど、いざ自分がなった時。
はぁ……この異世界転移者君は、平和な世界からきたのかね?
殺伐とした世界、言わば死と隣合わせの世界からなら、こんな怯えもしないだろう。
……今更、カオスとの実力差に気が付いたのか。
ゲーム感覚転生とか転移ってバカな奴が多いよな。
カオスも言っていたが、通知表とかテストの点数で相手を決めつけてるし。
『ステータス依存症』か、なかなかいい煽りだよ。
どちらにしろ別にいいか、私の管轄外だ。
さよなら、異世界転移者君。
「……」
カオスが転移者君の首をはねて終わりさね。
ん? カオスが何かお祈りポーズをしたぞ?
ま、死んだふりはもういいか。
起きよう。
「神よ、また一つ異世界を汚す魂を浄化しました」
「っておいおい、カオス、私もある意味異世界汚してないか?」
思わずツッコミをしてしまった、カオスの考えはあまり知らんが。
私も好き勝手に異世界人殺してるけども?
「お前は別だ、お前の目的は『異世界召喚する奴らをボコボコする』だろ?」
「ああ」
「俺は使命は……『その世界の常識知ろうともせず、貰った力と自分の常識で無双しようとしている、可哀想な頭異世界な人達の始末』さ、言い足りないけどね」
「ふむ」
「ま、つまりはお前に感謝している」
「ん?」
「お前はマッチポンプで、いけ好かない頭異世界な奴らを呼ぶために! 何時も召喚者達を好き勝手出来る様にしているだろ? 今回で言えば! 俺達が今いる国! あそこを悪の帝国にしようとしている! そして、他の国が表立って異世界召喚するようにしている!」
うわ~凄くいい笑顔してる。
私も召喚者殺すと時こんな顔をしているのかな。
やだな~こう……人を捨てた笑顔はしたくないな。
ああ……こういう異常者といると、この世界で助けた島国の人達を思い出す。
こう……あの生きるんだって笑顔が素敵だった。
「俺の願いを叶えるにはお前と一緒に居るのがいい! これからも頼むよ!」
「ああ、ただ私は望まない者、帰りたい者は帰す、他は知らん、私は異世界召喚をする奴らを滅ぼせればいい」
「願ったり叶ったりなんだよ、お前と一緒に召喚されるタイミングは、馬鹿奴らが召喚されて好き勝手する! 俺は馬鹿な奴だけを殺したい!」
なんだろうな、私もぶっ飛んでるとは思うけどさ。
こう……ああ、あれだ!
ブチギレたとして、自分よりブチギレている人を見たら落ち着く。
アレに近いな、きっと今の私は真顔だろう。
「さあセイント! あ、今は聖女『佐藤あんな』って名前だったか! さあ! 次はどの様な手で転生者、転移者を相手にするんだ!?」
「……なあ、いい笑顔の所悪いが」
「どうした?」
「例えばだけど、慎ましく生きている転移者とか、転生者はどうするんだ?」
「何もしない、お前だって、島国の人達に敵意を向けなかっただろ?」
「あの人達は本当に困っていたからだ、異世界召喚に賭けるほどな」
「ま、それと同じだ、さて、一度帰ろうか」
「ああ」
さて、今いる国を悪の帝国にするにはどうしたらいいかね。
ふむ……私は頭はよくないから……過剰防衛から始めてみるか。
今回のこの状況、悲惨と言えば悲惨だろう。
ほぼ一方的になぶり殺し、あ、そうだ!
相手は『降伏』していたってのはどうだろうか?
んで、私達の国は知らないって事にする。
実際は降伏する前に全滅させたのだがな。
とりあえずシナリオはこうだ。
この防衛戦は、敵は降伏していたが私達が殲滅した。
相手は激怒するだろう、しかしそれは中立国の仕組んだ事だった。
ギルド登録した中立国……キルミヤーコだったか?
あの国のせいにしよう、中立なんて言葉が、今のこの世界情勢では偽りなぞわかっている。
あの国は世界情勢とは無縁です、私達は中立ですって空気を感じたが。
それは違う、裏では他国と同じ異世界召喚に手を出している。
まあ、それが普通だよな、今世界情勢は不安定なんだから。
もっと短くまとめようか、次の標的は中立国だ。
中立中立言ってる奴らが、本当に中立か……見てやろう。
キルミヤーコ以外にも中立国は存在するらしいが。
まずはキルミヤーコだ。