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第十一話 異世界誘拐犯の備え付けにも頑張ってもらいましょう

 さて、お説教の後は戦闘訓練らしいですね。

 私が説教する側でしたけど、ふぃふぃふぃ!

 うーん! いいね! イキリ散らしタイム!

 んでまあ、異世界ものあるある、城の訓練場に呼び出されましたよ!


「また城を抜け出したのか! アンナ!」

「ったく! 使えない聖女様だぜ!」

「言ってやるなよ、はっはっは!」


 ああ、佐藤あんなをグチグチ虐めていた人達ですね。

 こんなのが騎士団とは、レベルが低い。

 私が助けた島国の人達の方が強いでしょう。

 他の騎士団の奴らも、暴言は吐かなくとも同じ思いだろう。


 ふっ、異世界人に頼っているこの世界……いや、まだ国と言っておこうか。

 なんつーか、他人頼らず自分達で何とかしないのか?

 島国の人達は、最後の最後に異世界召喚したんだぞ?

 ま、いいか……


 イキリ散らしタイムだ! ぐひゃ! ひひゃ! ぼひゃ!


「皆様、今まで申し訳ありませんでした」


 私は可憐な女性の笑顔で頭を下げます、そしてあげます。

 ええ、ええ、罵詈雑言が何やら聞こえますが……立って居られるかな!?


「他国と戦争するんでしたよね? なら! 徹底的に殺し合いをしましょう! 資源の強奪? 領土の拡大?」


 あらあらあらあらあらあらあら?

 ちょっと殺気を放っただけで、皆様腰を抜かしてしまいました。

 いけませんわ、お昼ご飯が当たってしまったのかしら?


「それもいいですが、あなた方にも命をかけて頂きますね?」


 この国は異世界人に戦いを強要して、自分達はあまり前に出ないらしいですわ。 

 だったら……前線に出でもらって、殺し合いに参加してもらわないと!

 まあ、防衛に異世界人が居たら、対処できないからでしょうけど。

 ふむ……転移、転生にイキリ散らすのはカオスの管轄。

 戦争にご招待しましょう、ああ……あの使えないパーティーメンバーもそこで死んでもらいましょうか。

 飽きましたし。


「これは何事だ!」


 あらあら、騎士団長様がいらっしゃいました。

 佐藤あんなには比較的優しかったですが。

 結局最終的に戦え、としか言わないお馬鹿さんですね。

 まあ騎士としては正しいのかしら?


「騎士団長様、今まで申し訳ありませんでした、この国の為に……他国と殺し合いをしますね! はっはっは!」

「誰だ貴様は」

「佐藤あんなです」

「噓を――」

「お前は頭だろ? 力の差もわからんか」

「なっ!?」


 あらあらあらあらあらあら!

 騎士団長様ともあろうお方が尻餅です!

 ちょっと睨んだだけですのに!

 仕えた国を恨みなさい。


「安心しなさい? あなた達は今は殺さない、これから戦争なんですもの! 戦力を削るほど馬鹿じゃありません」


 あらあら、騎士団の皆様は私を睨んでいますね。

 ふっ、私にもそういう時期があった、力も無いのに反抗心だけはいっちょ前。

 やはり黙らせるには何かしら力、それも圧倒的な力。

 お前達のおかげだよ、異世界誘拐犯。

 さて……


「……あ、そうだ! 敵国の国民を殺すのもいいですね、おっと言葉は最後まで聞いて理解しなさいね?」


 絶望的な状況で必要になるのは、冷静な判断だ。

 デスゲームでどれだけ正気を保っていられるか。

 こいつらも異世界誘拐犯だ、恩情などあるものか。


「これから起こる戦争で積極的に実力に見合った行動をしないと、敵国の市民を殺す魔法をかけますね、では私はこれで失礼します」


 ちちんぷいぷい、うんちゃらかんちゃら。

 敵国の市民には申し訳ございません、あなた達の国も異世界誘拐犯のようですから。

 何で知っているかとかは今更、ま、心情でうだうだ言っても仕方ない。

 手を加えるのはまずはここまでにしましょう。

 後はカオスを正式に雇いましょう、聖女の権限とかでどうにかなるでしょ。


 国全体を壊すのは最後のさ――

 む、そうだ! この国をゲームとかでよくある帝国にしよう!

 簡単に言えば悪者だ! そして他国も正義の刃を振りかざしやすくなる。

 表立って異世界誘拐犯を実行するだろう!


 ふっふっふ、マッチポンプもいいかもね……って既にマッチポンプかな?

 とはいえ、他の国の聖女とすり替わるのも面白い。

 さ、まずは防衛戦からさね、私はやる事がないだろうな。

 回復くらいはしてやろう、カオスに付いて行くのも有りだな。

 少数精鋭で敵に大打撃、つまり異世界転生、転移者を叩く。  

 ま、どうなるかは風向き次第、この世界は行き当たりばったりさね。

 何時もそうだったかな?

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