さて、お説教の後は戦闘訓練らしいですね。
私が説教する側でしたけど、ふぃふぃふぃ!
うーん! いいね! イキリ散らしタイム!
んでまあ、異世界ものあるある、城の訓練場に呼び出されましたよ!
「また城を抜け出したのか! アンナ!」
「ったく! 使えない聖女様だぜ!」
「言ってやるなよ、はっはっは!」
ああ、佐藤あんなをグチグチ虐めていた人達ですね。
こんなのが騎士団とは、レベルが低い。
私が助けた島国の人達の方が強いでしょう。
他の騎士団の奴らも、暴言は吐かなくとも同じ思いだろう。
ふっ、異世界人に頼っているこの世界……いや、まだ国と言っておこうか。
なんつーか、他人頼らず自分達で何とかしないのか?
島国の人達は、最後の最後に異世界召喚したんだぞ?
ま、いいか……
イキリ散らしタイムだ! ぐひゃ! ひひゃ! ぼひゃ!
「皆様、今まで申し訳ありませんでした」
私は可憐な女性の笑顔で頭を下げます、そしてあげます。
ええ、ええ、罵詈雑言が何やら聞こえますが……立って居られるかな!?
「他国と戦争するんでしたよね? なら! 徹底的に殺し合いをしましょう! 資源の強奪? 領土の拡大?」
あらあらあらあらあらあらあら?
ちょっと殺気を放っただけで、皆様腰を抜かしてしまいました。
いけませんわ、お昼ご飯が当たってしまったのかしら?
「それもいいですが、あなた方にも命をかけて頂きますね?」
この国は異世界人に戦いを強要して、自分達はあまり前に出ないらしいですわ。
だったら……前線に出でもらって、殺し合いに参加してもらわないと!
まあ、防衛に異世界人が居たら、対処できないからでしょうけど。
ふむ……転移、転生にイキリ散らすのはカオスの管轄。
戦争にご招待しましょう、ああ……あの使えないパーティーメンバーもそこで死んでもらいましょうか。
飽きましたし。
「これは何事だ!」
あらあら、騎士団長様がいらっしゃいました。
佐藤あんなには比較的優しかったですが。
結局最終的に戦え、としか言わないお馬鹿さんですね。
まあ騎士としては正しいのかしら?
「騎士団長様、今まで申し訳ありませんでした、この国の為に……他国と殺し合いをしますね! はっはっは!」
「誰だ貴様は」
「佐藤あんなです」
「噓を――」
「お前は頭だろ? 力の差もわからんか」
「なっ!?」
あらあらあらあらあらあら!
騎士団長様ともあろうお方が尻餅です!
ちょっと睨んだだけですのに!
仕えた国を恨みなさい。
「安心しなさい? あなた達は今は殺さない、これから戦争なんですもの! 戦力を削るほど馬鹿じゃありません」
あらあら、騎士団の皆様は私を睨んでいますね。
ふっ、私にもそういう時期があった、力も無いのに反抗心だけはいっちょ前。
やはり黙らせるには何かしら力、それも圧倒的な力。
お前達のおかげだよ、異世界誘拐犯。
さて……
「……あ、そうだ! 敵国の国民を殺すのもいいですね、おっと言葉は最後まで聞いて理解しなさいね?」
絶望的な状況で必要になるのは、冷静な判断だ。
デスゲームでどれだけ正気を保っていられるか。
こいつらも異世界誘拐犯だ、恩情などあるものか。
「これから起こる戦争で積極的に実力に見合った行動をしないと、敵国の市民を殺す魔法をかけますね、では私はこれで失礼します」
ちちんぷいぷい、うんちゃらかんちゃら。
敵国の市民には申し訳ございません、あなた達の国も異世界誘拐犯のようですから。
何で知っているかとかは今更、ま、心情でうだうだ言っても仕方ない。
手を加えるのはまずはここまでにしましょう。
後はカオスを正式に雇いましょう、聖女の権限とかでどうにかなるでしょ。
国全体を壊すのは最後のさ――
む、そうだ! この国をゲームとかでよくある帝国にしよう!
簡単に言えば悪者だ! そして他国も正義の刃を振りかざしやすくなる。
表立って異世界誘拐犯を実行するだろう!
ふっふっふ、マッチポンプもいいかもね……って既にマッチポンプかな?
とはいえ、他の国の聖女とすり替わるのも面白い。
さ、まずは防衛戦からさね、私はやる事がないだろうな。
回復くらいはしてやろう、カオスに付いて行くのも有りだな。
少数精鋭で敵に大打撃、つまり異世界転生、転移者を叩く。
ま、どうなるかは風向き次第、この世界は行き当たりばったりさね。
何時もそうだったかな?