私はとてもつまらなかった。
何時も通りに、パーティーの腰巾着をカオスとしている。
だが! カオスは羨ましい! アイツの対象のイキリ散らしが多すぎる!
いや! 仕方ないのだが!? 一応異世界転移や転生は国レベル。
もしくは創作物によくある、未来に転生転移したパターンだよ!
ああああああ! イキリ散らし欲が溜まり溜まっている!
私にイキリ散らさせろー!
そう考えていたらふと転機が来たのだ、そいつとの出会いはある国の路地裏。
ローブにくるまって、1人で泣いていたソイツに、親近感があったからだ。
私も一度目の転移で泣いた、元の世界に帰れないから。
でも、最初の世界での魔法の師匠……寿命で亡くなった。
『いいかい? 魔法は説明ができないから魔法なんだよ? 神と一緒だ、説明出来た途端に価値が無くなる、誰でも使える、知ってるものになるからね、てな訳で、ワシの知識をお主にやろう』
今でも師匠の言葉は私と共に。
話を戻してだ、私はその泣いている女性に声をかけた。
「何を泣いているのさ」
「……貴女には関係ありません」
「お前の返答しだいさね、この世界から帰りたいんだろ?」
「な!? お城の人達ですか!?」
「違う違う、昔お前と同じく、聖女として召喚されたおばはんさね、若いっていいね」
「私と同じ!?」
「そそ、私だったらお前さんを元の世界に返せるよ」
「そんな噓信じません!」
「はいはい、説得なんて面倒くさい真似はしないよ」
はい、彼女のおでこに人差し指をツンと付いて、眠らせました。
んで、彼女の持っている転移後の記録と力を貰います。
あらほらさっさ、彼女を元居た世界に返します。
うんうん、これでいい。
ほらよくあるじゃん? 創作物でさ、べちゃくちゃ説明している間に面倒くさい事になる事。
RPGでそういうイベントあるとムカつくよねー、要点だけいえよと。
それはともかく、これは使える。
彼女の姿と名前と記憶を使わせて貰おう。
くっくっく! この国をどう料理してやろうか!
じっくりコトコト? あっさりと?
久しぶり出たとこ勝負にしようか!
私に血を見せろ異世界犯罪者共!
ふひゃ! ふひゃ! ふひゃひゃひゃひゃ!
「おーい、他人の人相で暗い笑みは止めとけ」
「おやおやおやおや? カオスさんじゃありませんか」
「はぁ……まあ今まで俺が楽しんでたからな、反動はわかるが」
「今回は出たとこ勝負にした」
「こりゃ無茶苦茶になるな、この国」
「いいじゃないか、異世界犯罪者の国はいらないよ、国民も不幸になるがいいさ」
「……お前も悪人じゃないか、人事散々言っといてさ」
まあ許すせ、私は今気分が凄くいいんだ!
とりあえずこの姿で、イキリ散らしタイムの始まりさね!
さて……まずは状況の整理が大事だね。
今の姿は『佐藤あんな』というらしい。
城の人達からはアンナと呼ばれていたそうだ。
召喚された理由は、聖女として他国との戦争に備えるためらしい。
んで、彼女は虫も殺せないような性格。
そんな人間に殺し合いを強要させるとはね、異世界犯罪者らしくていいよ。
彼女はほぼ強制的に訓練だの、勉強だのを強いられていた。
ふむふむ、まあ生きる為にしていたと思っていいだろうさ。
聖女としての立場が唯一の存在価値、それが無くなったら大変だ。
身分無しで異世界とか怖いな。
彼女の理解者は居なかったようだ、最終的に周りが言ってくる言葉。
『異世界で生きたければ従え』
そりゃ心が病むね、だが私に任せなさいな。
異世界誘拐犯に中指を立てるからさ、ぐへへへへ。
「おーい、トリップしてる所悪いが、俺は何をしたらいい?」
「どうやら、私が送り返した人物は、戦争の為に召喚されたらしい」
「ほう?」
「んじゃ、殺し合いをしようかね」
「ま、お前にちゃんと付き合うよ、頃合いになったら呼んでくれ」
「ええ」
さて、まずは楽しい楽しいお城に帰りましょうか!