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第九話 ちょいと遠回りだったけど、私の番が来たよ

 私はとてもつまらなかった。

 何時も通りに、パーティーの腰巾着をカオスとしている。

 だが! カオスは羨ましい! アイツの対象のイキリ散らしが多すぎる!

 いや! 仕方ないのだが!? 一応異世界転移や転生は国レベル。

 もしくは創作物によくある、未来に転生転移したパターンだよ!

 ああああああ! イキリ散らし欲が溜まり溜まっている!


 私にイキリ散らさせろー!


 そう考えていたらふと転機が来たのだ、そいつとの出会いはある国の路地裏。

 ローブにくるまって、1人で泣いていたソイツに、親近感があったからだ。

 私も一度目の転移で泣いた、元の世界に帰れないから。

 でも、最初の世界での魔法の師匠……寿命で亡くなった。


『いいかい? 魔法は説明ができないから魔法なんだよ? 神と一緒だ、説明出来た途端に価値が無くなる、誰でも使える、知ってるものになるからね、てな訳で、ワシの知識をお主にやろう』


 今でも師匠の言葉は私と共に。

 話を戻してだ、私はその泣いている女性に声をかけた。


「何を泣いているのさ」

「……貴女には関係ありません」

「お前の返答しだいさね、この世界から帰りたいんだろ?」

「な!? お城の人達ですか!?」

「違う違う、昔お前と同じく、聖女として召喚されたおばはんさね、若いっていいね」

「私と同じ!?」

「そそ、私だったらお前さんを元の世界に返せるよ」

「そんな噓信じません!」

「はいはい、説得なんて面倒くさい真似はしないよ」


 はい、彼女のおでこに人差し指をツンと付いて、眠らせました。

 んで、彼女の持っている転移後の記録と力を貰います。

 あらほらさっさ、彼女を元居た世界に返します。

 うんうん、これでいい。

 ほらよくあるじゃん? 創作物でさ、べちゃくちゃ説明している間に面倒くさい事になる事。

 RPGでそういうイベントあるとムカつくよねー、要点だけいえよと。


 それはともかく、これは使える。

 彼女の姿と名前と記憶を使わせて貰おう。

 くっくっく! この国をどう料理してやろうか!

 じっくりコトコト? あっさりと?

 久しぶり出たとこ勝負にしようか!


 私に血を見せろ異世界犯罪者共!

 ふひゃ! ふひゃ! ふひゃひゃひゃひゃ!


「おーい、他人の人相で暗い笑みは止めとけ」

「おやおやおやおや? カオスさんじゃありませんか」

「はぁ……まあ今まで俺が楽しんでたからな、反動はわかるが」

「今回は出たとこ勝負にした」

「こりゃ無茶苦茶になるな、この国」

「いいじゃないか、異世界犯罪者の国はいらないよ、国民も不幸になるがいいさ」 

「……お前も悪人じゃないか、人事散々言っといてさ」


 まあ許すせ、私は今気分が凄くいいんだ!

 とりあえずこの姿で、イキリ散らしタイムの始まりさね!

 さて……まずは状況の整理が大事だね。


 今の姿は『佐藤あんな』というらしい。

 城の人達からはアンナと呼ばれていたそうだ。

 召喚された理由は、聖女として他国との戦争に備えるためらしい。

 んで、彼女は虫も殺せないような性格。

 そんな人間に殺し合いを強要させるとはね、異世界犯罪者らしくていいよ。


 彼女はほぼ強制的に訓練だの、勉強だのを強いられていた。

 ふむふむ、まあ生きる為にしていたと思っていいだろうさ。

 聖女としての立場が唯一の存在価値、それが無くなったら大変だ。

 身分無しで異世界とか怖いな。

 彼女の理解者は居なかったようだ、最終的に周りが言ってくる言葉。


『異世界で生きたければ従え』


 そりゃ心が病むね、だが私に任せなさいな。

 異世界誘拐犯に中指を立てるからさ、ぐへへへへ。


「おーい、トリップしてる所悪いが、俺は何をしたらいい?」

「どうやら、私が送り返した人物は、戦争の為に召喚されたらしい」

「ほう?」

「んじゃ、殺し合いをしようかね」

「ま、お前にちゃんと付き合うよ、頃合いになったら呼んでくれ」

「ええ」


 さて、まずは楽しい楽しいお城に帰りましょうか!

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