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第六話 さて、次から面白くなりそうね? 無自覚な転移者を相手にするから

「これで登録完了です」

「ありがとう」


 さてさて、私達は書類にささっと署名して、冒険者になりましたよ。

 まあよくある、冒険者ギルドのカードを貰っただけだと。


『さてどうする?』

『セイント、考えたんだか……俺達の世界に追放物ってあったよな?』

『ああ? 追放? 何だ? パーティーに自分の能力も説明しない系か? 主人公もパーティーメンバーもお馬鹿系か? 色々とあるぞ?』

『いや何、既にあるだろうが……小物悪党パーティーを大物にしてやろうとな』

『ほう? それで?』

『何……よくあるSランクまで階級を上げる、いや、そこまでいかなくともいい』

『ふむ』

『まあ簡単に言えば、実力が伴わないのに難しい任務をクリア、名声におぼれさせ、本当の実力に見合わなくさせる』

『つまりは支援してやると』

『ああこういえばいいか? 対人ゲームのランク戦で運良くキャリーされて最高ランク、でも実は伴っていません』

『ああ~』


 ま、つまりは実力を勘違いさせるってだけだ。

 ふむ、私の趣味じゃないが、仕方ない、手伝ってやろう。


『お前……やっぱり悪人だな』

『それはいいから、どうする?』

『国家転覆する時に力を貸せ』

『よし、任せろ』


 そこからは簡単だった。

 まずは初心者を食い物にするパーティーに入る。

 先ほどの4人パーティーだ、剣士、魔法使い、僧侶、盗賊。

 基本的な組み合わせだな、実力が伴わず、上を目指す奴は扱いやすい。


 私とカオスは腰巾着になり、影でこっそりと支援してやる。

 思いのほかバカだった、自分達の実力が上がっていると思う。

 ゲームじゃないんだ、そんな簡単に……いや、異世界によるか。

 レベルと経験値の概念がある世界、どうなってるんだと思ったけど。

 考えるのは止めた、面倒くさい。


 話を戻して、調子に乗った4人パーティーさんはというとだ。

 もう、面白いように調子に乗ってくれた。

 簡単だ、私達を使えると判断させたからだ。

 荷物持ちに腰巾着のよいしょよいしょ。


 さあさあお立会い、そんな生活を数ヶ月していた所。

 ギルドではなく、とある村や町からまとめて依頼が来ます。

 その国の王都で行方不明になっていた、家族や知人を見たと。

 んで結果から言うと実は、異世界転移で無自覚イキリ散らしの国でしたとさ。

 いやはや、これは面白くなりそうだ。

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