「これで登録完了です」
「ありがとう」
さてさて、私達は書類にささっと署名して、冒険者になりましたよ。
まあよくある、冒険者ギルドのカードを貰っただけだと。
『さてどうする?』
『セイント、考えたんだか……俺達の世界に追放物ってあったよな?』
『ああ? 追放? 何だ? パーティーに自分の能力も説明しない系か? 主人公もパーティーメンバーもお馬鹿系か? 色々とあるぞ?』
『いや何、既にあるだろうが……小物悪党パーティーを大物にしてやろうとな』
『ほう? それで?』
『何……よくあるSランクまで階級を上げる、いや、そこまでいかなくともいい』
『ふむ』
『まあ簡単に言えば、実力が伴わないのに難しい任務をクリア、名声におぼれさせ、本当の実力に見合わなくさせる』
『つまりは支援してやると』
『ああこういえばいいか? 対人ゲームのランク戦で運良くキャリーされて最高ランク、でも実は伴っていません』
『ああ~』
ま、つまりは実力を勘違いさせるってだけだ。
ふむ、私の趣味じゃないが、仕方ない、手伝ってやろう。
『お前……やっぱり悪人だな』
『それはいいから、どうする?』
『国家転覆する時に力を貸せ』
『よし、任せろ』
そこからは簡単だった。
まずは初心者を食い物にするパーティーに入る。
先ほどの4人パーティーだ、剣士、魔法使い、僧侶、盗賊。
基本的な組み合わせだな、実力が伴わず、上を目指す奴は扱いやすい。
私とカオスは腰巾着になり、影でこっそりと支援してやる。
思いのほかバカだった、自分達の実力が上がっていると思う。
ゲームじゃないんだ、そんな簡単に……いや、異世界によるか。
レベルと経験値の概念がある世界、どうなってるんだと思ったけど。
考えるのは止めた、面倒くさい。
話を戻して、調子に乗った4人パーティーさんはというとだ。
もう、面白いように調子に乗ってくれた。
簡単だ、私達を使えると判断させたからだ。
荷物持ちに腰巾着のよいしょよいしょ。
さあさあお立会い、そんな生活を数ヶ月していた所。
ギルドではなく、とある村や町からまとめて依頼が来ます。
その国の王都で行方不明になっていた、家族や知人を見たと。
んで結果から言うと実は、異世界転移で無自覚イキリ散らしの国でしたとさ。
いやはや、これは面白くなりそうだ。