私とカオスが召喚されて数ヶ月、やっと島国は復興した。
まあ小さい国で良かった、良かった。
まず私が最初にしたのは連れ去られた人達の召喚。
あ、説明なんて求めないでよ? やれるからしただけの事。
次に心身の治療、これが一番大変だった。
身体に後遺症が残る者も居たが、心だけは完璧に治した。
私もまだまだ、もっと精進しなくてはな。
まあとりあえず、目的は果たしたんだ、今は王様と話している。
今日私とカオスは島を出る、いよいよ私達のイキリ散らし物語が始まる。
「セイント殿、カオス殿、国を代表して礼を言う」
「気にするな、何度も言っているが、俺達は目的がある」
「セイント殿は異世界誘拐犯に中指を立てる、カオス殿は調子に乗ってる転生者や転移者にイキリ散らす、でしたな」
「ああ、王子の様に全身全霊を賭けてする、異世界誘拐はまだわかる」
「頼れる者がもう居ないからね~私はある程度の人の心はある」
「あ、俺もあるからな」
……は? 私も言えないが、まあいいか。
「島の者達から、本日旅立つと聞いてお呼びしました」
「ああ、急とは思うだろうが、俺達は我慢していたんだ! 世界にイキリ散らせる材料が溢れていると!」
……こいつ楽しそうなんだよな。
こう……私が高圧的なのに対して、こいつはニコニコしながら煽るタイプだ。
はぁ……旅は道連れ世は情けか。
「私達に出来る事はありますか?」
「この場所を守ってくれ、復興とか飯を共にした仲だ、情も沸く」
「ああそうそう、何かあったらちゃんと私達に連絡するんだよ」
「わかりました、いってらっしゃいませ」
流石にまた滅ぼされたんじゃ目覚めが悪い。
島の人達からお守りだの路銀だのもらったし。
ま、危なくなったら助けに行こう。
とりあえず、私の魔法でほほいのほいと、中立国へとやってきた。
まあ転移を見られる訳にはいかないから、街の外にね。
とりあえず街へと入っていく、
「キルミヤーコ、中立国だ、表向きはな」
「くっくっく、創作物でよくあるよね~中立が一番爆弾を抱えている」
「お、セイント、アレは」
「ん?」
カオスが指差したその先には、冒険者ギルドの案内があった。
冒険者ギルド……ま、異世界転生や転移あるあるだな。
私達はその案内に近寄った。
「おお……やはり冒険者ギルドの案内!」
「別名イキリ散らしをちらし放題、これだけ混沌とした時代だ、さぞカオスが好きそうな輩が多そうだ」
「これは登録しなきゃな、何時も通りお前を手伝うから、今回も手伝ってくれよ」
「はいはい」
カオスと組むのはこれが初めてではない。
何回か転移先であった……いや、こいつは転生もする。
何でわかるか? こんなイキリ散らしの魂を忘れる訳がない。
まあとりあえず、しばらくはこいつのお願いに付き合うか。
私の趣味ではないが、今回のイキリ散らしの別腹もいいだろうさ。
とりあえず冒険者ギルドへと私達は向かった。
まあ今更説明する必要もないだろう。
受付へと向かう私達。
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ」
「俺達は登録をしたい、出来るか?」
「もちろんです、名前を書いていただければ、書類をお持ちしますね」
ほう? そんな簡単でいいのか?
ふむ、テレパシーでカオスと相談してみるか。
『カオス、どうみてもブラックだな』
『それよりセイント、何人登録という単語に反応した?』
『8人、その中でも初心者狩りをしようとしているパーティーが居る』
『今わかった、小悪党で4人パーティーだな?』
『ああ、最初は小物からだ』
『ええ、贅沢ってたまにするから贅沢よ?』
『わかっている、とりあえず登録だ』
『はいはい』
受付の人が戻ってきて、私達は書類を製作した。
さ、カオスのお望みを叶えますか。
その延長線上に私のイキリ散らしターゲットが居る事を願って。