目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報
第五話 冒険者ギルド? ああ、イキリ散らし見本市会場よね?

 私とカオスが召喚されて数ヶ月、やっと島国は復興した。

 まあ小さい国で良かった、良かった。


 まず私が最初にしたのは連れ去られた人達の召喚。

 あ、説明なんて求めないでよ? やれるからしただけの事。

 次に心身の治療、これが一番大変だった。

 身体に後遺症が残る者も居たが、心だけは完璧に治した。

 私もまだまだ、もっと精進しなくてはな。


 まあとりあえず、目的は果たしたんだ、今は王様と話している。

 今日私とカオスは島を出る、いよいよ私達のイキリ散らし物語が始まる。


「セイント殿、カオス殿、国を代表して礼を言う」

「気にするな、何度も言っているが、俺達は目的がある」

「セイント殿は異世界誘拐犯に中指を立てる、カオス殿は調子に乗ってる転生者や転移者にイキリ散らす、でしたな」

「ああ、王子の様に全身全霊を賭けてする、異世界誘拐はまだわかる」

「頼れる者がもう居ないからね~私はある程度の人の心はある」

「あ、俺もあるからな」


 ……は? 私も言えないが、まあいいか。


「島の者達から、本日旅立つと聞いてお呼びしました」

「ああ、急とは思うだろうが、俺達は我慢していたんだ! 世界にイキリ散らせる材料が溢れていると!」


 ……こいつ楽しそうなんだよな。

 こう……私が高圧的なのに対して、こいつはニコニコしながら煽るタイプだ。

 はぁ……旅は道連れ世は情けか。


「私達に出来る事はありますか?」

「この場所を守ってくれ、復興とか飯を共にした仲だ、情も沸く」

「ああそうそう、何かあったらちゃんと私達に連絡するんだよ」

「わかりました、いってらっしゃいませ」


 流石にまた滅ぼされたんじゃ目覚めが悪い。

 島の人達からお守りだの路銀だのもらったし。

 ま、危なくなったら助けに行こう。


 とりあえず、私の魔法でほほいのほいと、中立国へとやってきた。

 まあ転移を見られる訳にはいかないから、街の外にね。

 とりあえず街へと入っていく、


「キルミヤーコ、中立国だ、表向きはな」

「くっくっく、創作物でよくあるよね~中立が一番爆弾を抱えている」

「お、セイント、アレは」

「ん?」


 カオスが指差したその先には、冒険者ギルドの案内があった。

 冒険者ギルド……ま、異世界転生や転移あるあるだな。

 私達はその案内に近寄った。


「おお……やはり冒険者ギルドの案内!」

「別名イキリ散らしをちらし放題、これだけ混沌とした時代だ、さぞカオスが好きそうな輩が多そうだ」

「これは登録しなきゃな、何時も通りお前を手伝うから、今回も手伝ってくれよ」

「はいはい」


 カオスと組むのはこれが初めてではない。

 何回か転移先であった……いや、こいつは転生もする。

 何でわかるか? こんなイキリ散らしの魂を忘れる訳がない。

 まあとりあえず、しばらくはこいつのお願いに付き合うか。

 私の趣味ではないが、今回のイキリ散らしの別腹もいいだろうさ。


 とりあえず冒険者ギルドへと私達は向かった。

 まあ今更説明する必要もないだろう。

 受付へと向かう私達。


「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ」

「俺達は登録をしたい、出来るか?」

「もちろんです、名前を書いていただければ、書類をお持ちしますね」


 ほう? そんな簡単でいいのか?

 ふむ、テレパシーでカオスと相談してみるか。


『カオス、どうみてもブラックだな』

『それよりセイント、何人登録という単語に反応した?』

『8人、その中でも初心者狩りをしようとしているパーティーが居る』

『今わかった、小悪党で4人パーティーだな?』

『ああ、最初は小物からだ』

『ええ、贅沢ってたまにするから贅沢よ?』

『わかっている、とりあえず登録だ』

『はいはい』


 受付の人が戻ってきて、私達は書類を製作した。

 さ、カオスのお望みを叶えますか。

 その延長線上に私のイキリ散らしターゲットが居る事を願って。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?