はわわ! 私、一輪川ゆきこ! 何時も通り日常生活をしていたら大変!
足元に魔法陣が突然現れた! ビックリ! 多分、流行でナウい異世界転生に巻き込まれたの!
……覚悟しはいいか? 異世界誘拐犯共。
この私、セイント・メッスルンを召喚した事を後悔させてやる。
さてさて、また新たな異世界にやって来ましたよ。
んん? 何か城が活気が――おいおい、召喚術師達が倒れているじゃないか。
って、私の隣に見知った奴が、時々一緒に召喚されるんだよな。
「よう、セイント・メッスルン」
「ん? お前はカオス・イバルータじゃないか」
こいつはカオス・イバルータ、私の男版だと思えばいい、ただ思考がちょっと違う。
私は異世界誘拐犯に中指を立てる、こいつは異世界の転生者とか転移者に中指を立てる。
わかりやすく言えば……他人のふんどしで相撲をとる奴が嫌いなんだよな。
後、礼節も無いイキリ散らし、これは私も一緒か。
それは置いといて、この城静かすぎないか?
「今回は随分と寂れた城だな、活気が無い」
「見ろ、セイント」
「ん?」
「……お兄様! お兄様!」
ふむ、お世辞にもいい服とは言えない……お姫様だろうな。
倒れている兄に声をかけている、その兄もいい服とはいえんな。
どれ、話を聞いてみようか。
「とりあえず治すか、ほい」
ほほいのほいさ、はい回復。
ああ、カッコイイ詠唱とかは無いよ。
「こ、これは!?」
「兄上様!?」
「よしよし、治ったな、あ、ついでに城の奴らも治すか」
「気前がいいな、セイント」
「カオス、今回はお前好みかもな」
「ほう?」
元気になった王子……でいいか、王子様が期待の目で私達を見ている。
とりあえず大体の事情は把握した、これくらい出来ないとイキリ散らしは出来ない。
ま、目の前の人達にはしないが。
「あ、あなた方は! 異世界の人達ですか!?」
「随分と限定的な召喚術だな」
「……言い訳はしません」
「おいおいセイント、俺にも説明してくれ」
「1から10まで説明してやるよ」
「ああ」
私はコホンと咳払いをした。
「まず、この世界の魔王が居た、それを異世界転生や転移で勇者を呼んだ」
「ふむ」
「魔王は倒されて、勇者は元の世界に帰りました、ちなみに魔族や魔物はある程度いるぞ」
「おやおや、まあ比較的平和ってやつか」
「今度は人間同士の争いが始まり始まり」
「あらら、いや、魔物とかいなくなってからにしろよ」
「んで色々な国が、異世界転生や転移がこっそりと使われる」
「ああーまあそうなるか、表向きは違うとか言いそうだ」
「んでこの国は島国で……魔王が居た時の立ち位置は置いといて、現状他国から奪われるだけなのよ」
「なるほどな」
「んで、ゴミクズの国がだ、資源を出せないなら、城の女と若い男達は頂いていく~と」
「ほう」
「はっはっは! 悔しいか? なら手助けをしてやろう! って、悪人召喚の方法を置いて行ったようだ」
「……え? 俺達悪人なの? いやいやいや、俺悪人なの?」
「自覚を持て、そして言い直すな」
「ま、何が言いたいかだ」
「皆まで言うな」
この国は召喚方法を確立は出来なかったのだろう。
いや、しなかったのかもしれない。
どうやらこの島国の方々は、どんなに貧しかろうと、心までは売らなかったようだな。
ふむ、異世界転生や転移に国を乗っ取られた所もあるのか。
なるほど、簡単には出来ないか。
この世界の現状を簡単に言えば。
異世界召喚や転移が横行、その中にはイキリ散らし異世界人が居ると。
国もそうだ、ほいほいほいと召喚する。
この国はこんな滅びる寸前まで、耐えたんだろうさ。
こういう話をするとな? グチグチグチグチ何処からか聞こえてくるんだ、私達を様々な方法で観察している第三者がうるせぇんだよ。
こうなる前に対処すれば良かったのに、私、俺だったらこうするとかさ。
だったらお前達がこの島国を救って見せろ、出来ねぇなら黙って傍観してろ。
「カオス、この国を復興させるぞ、たまには聖女っぽい事でもしよう」
「まあいいけど、んじゃ、俺も勇者っぽい事するか」
「あ、あの……勇者様! 聖女様! ありがとうございます!」
「ああ~いいんだよ、気にするな気にするな」
「うんうん、イキリ散らし食べ放題に呼んでくれたお礼だ!
さて、ちょちょいのちょいと復興してやるか。
っても私は万能じゃない、出来ないこともある。
とりあえず人手が必要だな、ああ、連れ去られた人達を呼ぶか。
色々とやる事がおおい。