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第四話 可哀想だからじゃねーぞ? 心意気に打たれたんだよ

 はわわ! 私、一輪川ゆきこ! 何時も通り日常生活をしていたら大変!

 足元に魔法陣が突然現れた! ビックリ! 多分、流行でナウい異世界転生に巻き込まれたの!

 ……覚悟しはいいか? 異世界誘拐犯共。

 この私、セイント・メッスルンを召喚した事を後悔させてやる。


 さてさて、また新たな異世界にやって来ましたよ。

 んん? 何か城が活気が――おいおい、召喚術師達が倒れているじゃないか。

 って、私の隣に見知った奴が、時々一緒に召喚されるんだよな。


「よう、セイント・メッスルン」

「ん? お前はカオス・イバルータじゃないか」


 こいつはカオス・イバルータ、私の男版だと思えばいい、ただ思考がちょっと違う。

 私は異世界誘拐犯に中指を立てる、こいつは異世界の転生者とか転移者に中指を立てる。

 わかりやすく言えば……他人のふんどしで相撲をとる奴が嫌いなんだよな。

 後、礼節も無いイキリ散らし、これは私も一緒か。

 それは置いといて、この城静かすぎないか?


「今回は随分と寂れた城だな、活気が無い」

「見ろ、セイント」

「ん?」

「……お兄様! お兄様!」


 ふむ、お世辞にもいい服とは言えない……お姫様だろうな。

 倒れている兄に声をかけている、その兄もいい服とはいえんな。

 どれ、話を聞いてみようか。


「とりあえず治すか、ほい」


 ほほいのほいさ、はい回復。

 ああ、カッコイイ詠唱とかは無いよ。


「こ、これは!?」

「兄上様!?」

「よしよし、治ったな、あ、ついでに城の奴らも治すか」

「気前がいいな、セイント」

「カオス、今回はお前好みかもな」

「ほう?」


 元気になった王子……でいいか、王子様が期待の目で私達を見ている。

 とりあえず大体の事情は把握した、これくらい出来ないとイキリ散らしは出来ない。

 ま、目の前の人達にはしないが。


「あ、あなた方は! 異世界の人達ですか!?」

「随分と限定的な召喚術だな」

「……言い訳はしません」

「おいおいセイント、俺にも説明してくれ」

「1から10まで説明してやるよ」

「ああ」


 私はコホンと咳払いをした。


「まず、この世界の魔王が居た、それを異世界転生や転移で勇者を呼んだ」

「ふむ」

「魔王は倒されて、勇者は元の世界に帰りました、ちなみに魔族や魔物はある程度いるぞ」

「おやおや、まあ比較的平和ってやつか」

「今度は人間同士の争いが始まり始まり」

「あらら、いや、魔物とかいなくなってからにしろよ」

「んで色々な国が、異世界転生や転移がこっそりと使われる」

「ああーまあそうなるか、表向きは違うとか言いそうだ」

「んでこの国は島国で……魔王が居た時の立ち位置は置いといて、現状他国から奪われるだけなのよ」

「なるほどな」

「んで、ゴミクズの国がだ、資源を出せないなら、城の女と若い男達は頂いていく~と」

「ほう」

「はっはっは! 悔しいか? なら手助けをしてやろう! って、悪人召喚の方法を置いて行ったようだ」

「……え? 俺達悪人なの? いやいやいや、俺悪人なの?」

「自覚を持て、そして言い直すな」

「ま、何が言いたいかだ」

「皆まで言うな」


 この国は召喚方法を確立は出来なかったのだろう。

 いや、しなかったのかもしれない。

 どうやらこの島国の方々は、どんなに貧しかろうと、心までは売らなかったようだな。

 ふむ、異世界転生や転移に国を乗っ取られた所もあるのか。

 なるほど、簡単には出来ないか。


 この世界の現状を簡単に言えば。

 異世界召喚や転移が横行、その中にはイキリ散らし異世界人が居ると。

 国もそうだ、ほいほいほいと召喚する。

 この国はこんな滅びる寸前まで、耐えたんだろうさ。


 こういう話をするとな? グチグチグチグチ何処からか聞こえてくるんだ、私達を様々な方法で観察している第三者がうるせぇんだよ。

 こうなる前に対処すれば良かったのに、私、俺だったらこうするとかさ。

 だったらお前達がこの島国を救って見せろ、出来ねぇなら黙って傍観してろ。


「カオス、この国を復興させるぞ、たまには聖女っぽい事でもしよう」

「まあいいけど、んじゃ、俺も勇者っぽい事するか」

「あ、あの……勇者様! 聖女様! ありがとうございます!」

「ああ~いいんだよ、気にするな気にするな」

「うんうん、イキリ散らし食べ放題に呼んでくれたお礼だ!


 さて、ちょちょいのちょいと復興してやるか。

 っても私は万能じゃない、出来ないこともある。

 とりあえず人手が必要だな、ああ、連れ去られた人達を呼ぶか。

 色々とやる事がおおい。

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