私が王国に来て数か月、面白いほど何も進展しない。
だから私は王様に直接お話をしようかなと。
ま、私がそろそろ飽きたってだけ。
あーあ、御大層に貴族の方々もいるよ。
何も出来ないのにご苦労様ですこと。
「くっくっく、さて王様、そろそろ私を元の世界に返して下さい」
「……む、無理だ」
「まあ知ってて言ってんだけどさ? あんた達が独自に改良した異世界召喚の魔法、術式が違うから改良前の帰還魔法は使えないよな~?」
「……」
おおう、黙ってしまったよ、そいや私は今回期限を設定してなかったな。
まあいいや、好き勝手イキリ散らすか。
「はっ! 無理矢理異世界から召喚という名の誘拐して? 自分達の都合を押し付ける、んで帰れません? 弱い者にしかイキリ散らせない、私の様に悪者じゃないか、世界を救おうとしたこの国……いや、王族と貴族さんよ」
私は手を叩いて拍手をした。
うんうん、悪人の第一歩おめでとう!
おやおや、姫さんが私に近寄って来た。
「魔女様、では私が貴女の従者となりましょう」
「ヨワタリン! 何を!」
「おいおいお姫様、どういう風――いや、この国を思ってか? 泣ける泣ける! 今そのお父様の頭の中は『世継ぎはどうするんだ』って、考えでたくさんだけど?」
これは噓ではない、王様は国の事しか考えていてい。
まあ正しいのか、私がどうこう言うのは止めておこう。
「魔女様、お答えを」
「よしよし、じゃあここは王様に聞こうか?……異世界誘拐に関わった奴らを皆殺しか、姫様差し出すか……だ」
自分と国を大事な王様の答えは決まっている。
娘一人で取り扱い不可能な爆弾が居なくなるんだからな。
「……姫を……差し出す」
おや、周りの貴族……ふむ、あの眼鏡君だけは悔しそうだ。
よかったな姫さん、少なくともあの眼鏡君は、あんたの味方だよ。
自分達立場があって何も言わないだろうけど。
他の貴族はゴミ共だゴミ共。
「うんうん、誰しも死にたくないからな! 安心しろ! 私はお前達にみたく無理難題は押し付けない! あくまでも常識的に身の回り世話してくれればいいよ」
「承知いたしました」
「んじゃ、さっさと行くぞ」
「わかりました」
姫さんが近寄って来た、あ? 王様が慌ててるぞ?
「せめて別れ――」
「あ? 異世界転生や転移って、別れの挨拶すんの? むしろお前達させたか? 都合いい事ばかり喋るなよ」
それがこの世界での最後の言葉、姫さんと共に私の世界に戻ろう。
おっと、私をゴミクズ異世界誘拐犯と一緒にはしないでくれよ?
姫さんにやってもらうのは、本当に身の回りの世話だけだ。
魔法で私の世界の一般常識も、ほほいのほいさ。
んで姫さんと私の世界でスローライフ。
そんな訳がない、姫さんは留守番さ。
この物語は私が、異世界誘拐犯にイキリ散らす話だからだ。
さ、次の世界が待ってるぜ。