私、一輪川ゆきこ! 何時も通り日常生活をしていたら大変!
足元に魔法陣が突然現れたの! ビックリ! 多分、近くに居た女子高生の異世界転生に巻き込まれたの!
……覚悟はいいか? 異世界誘拐犯共。
この私、セイント・メッスルンを召喚した事を後悔させてやる。
はっ! 今更説明する必要も無いだろ、異世界の王宮っぽい所だよ。
ああ、魔法陣的な何かがあるな、テンプレートだテンプレート。
そりゃ言いたくもなるよ、どの異世界でもそうなんだから。
「おお!? 成功したぞ!」
「やった! これでこの国は救われる!」
「い、いや! 待って下さい! 聖女が2人!?」
あーこれも説明の必要性が無いな。
私の世界に溢れている設定だ、あ、いや、設定って言っちゃダメだな。
この世界はあくまでも現実で、フィクションじゃねーんだよ。
ああもう! グチグチ周りがうるせぇ! 若い方が聖女だの!
あのおばさんは誰なの! はっ! 聖女が年老いたって可能性を考えてない時点で、この国のレベルが低い。
それにしたってうるせぇ! 黙らせるか。
「はいはいはいはいはいはいはいはい! テンプレートはくっちゃべんじゃねーよ! 何処の世界もよ! 好き勝手にグチグチグチグチ自国の事しか頭にねぇなオイ! 好き勝手に呼び出すんじゃねーよ!」
よし黙った、さて、この聖女さんには元の世界に戻ってもらおう。
ふっ、ただ返すだけではない、聖女の力は私が貰おう、だからって私は聖女にはならんがね。
力を奪っておかないとな、じゃないと日常生活にはもどれん、私のように。
あ、私の日課は、異世界誘拐されそうな人物を探す事。
「お前さんは元の世界に帰んな、帰還」
「へっ!?」
よし、異世界誘拐から女子高生を救った。
私にかかれば、元居た世界に帰るのも簡単さ。
さて……ここからだ。
「き、貴様! いったい何を!?」
「王様! この者から聖女の力を感じません!」
「な! なん――」
「黙って聞けよ! 異世界誘拐犯共が!」
よしよし、黙ってくれて助かる。
んじゃ、いつものイキリ散らしタイムだな。
まあ、もうイキリ散らしてるけどさ。
「おい異世界誘拐犯の王様よ、おめぇ何考えてんだ?」
「な、なん――」
「あ? 犯罪者が口答えか? 王様なら考えてみろや、同意の無い奴を無理矢理よ、別世界から連れてくるわけだ、んでてめぇらの都合を押し付けるんだよな? おい、どうなんだ? 反論してみろや」
「ぐっ!」
あ、黙ってしまった、他の異世界誘拐だったら、言葉に詰まりながらもぴーちく言って来たのに。
お、姫っぽい人がいる。
「てめぇらのやってる事教えてやろうか? そこの姫さん別世界に飛ばすな」
「なっ!」
「ひっ! や、止め!」
「何を馬鹿な事を!」
「そんな事が――」
「はああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 笑わせんなよ!? 他人に押し付けて自分達が嫌? 面白いな! この世界――いや、この国の王様と貴族様はよ!」
うんうん、正論パンチは気持ちいいな!
お、何だ? 何だ? 眼鏡君が近寄ってきたぞ?
「失礼、貴女を強制的に……いや、聖女様の召喚に巻き込まれた魔女よ」
なんて野郎だ、魔女とは――はぁ、今までの異世界でもそう言われてきたから、もういいよ。
「ああ、体質みたいなもんでな、良く巻き込まれるんだ、うん、お前さんはまだ話が通じそうだ、で、アレだろ? 勇者と魔王を倒してほしいってやつか?」
「はい、実――」
「ああ、はいはい、異世界から呼んだ奴には、規格外の力が召喚と共につくんだろ? 神様から貰うってパターンもありそうだが」
「はい、そう――」
「よしわかった、魔王を殺してやる、ほほいのほい」
これで何回かな、詠唱もカットだカット。
昔はサービスでそれっぽい詠唱してた。
けど面倒くさい、カット出来る事はカットしよう。
「よし、魔王を殺した、いや~この世界の魔王や魔族が、純粋な悪者で助かったわ~ああ皆まで言うな言うな、確認がとれるまで監禁でも何でもすりゃーいい」
「え? は?」
「……さあここからだ、メガネ君」
これから提示する物、おそらく用意は出来ないだろうな?
「帰る手段を提示出来なかった時は覚悟しろ」
くっくっく、絶望したいい顔だ! あがきたまえ? 異世界誘拐犯。
まあ、お前達の好き勝手の代償だよ。