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第4話

 翌朝浩二が目を覚ますと、その隣に恋人はいなかった。体を起こして周囲を見回してみると、仏間のふすまがあいている。

「若菜?」

 声をかけて仏間に行くと、彼女は神妙な顔で仏壇に向かって手をあわせていた。

「どうしたんだ? こんなところで」

「うん……あらためてよろしくお願いします、って挨拶してたの」

「ふうん?」

 恋人の行動は若干不思議だが、気にするほどでもない。浩二はなんとなく若菜の隣に座る。若菜は遺影の列の中、ちょうど中央に飾られたものを見上げた。そこには女傑を絵に描いたような老婆の姿が写っている。

「ねえ浩二さん、もしかしてあの中央の遺影の方がひいおばあちゃん?」

「え、よくわかったな。そうそう、あれが俺のひいばあちゃん。むちゃくちゃ気が強くて親戚の誰も逆らえなかったって」

「でしょうね……」

 ふふふ、と恋人はおかしそうに笑っている。

「どうしたの、若菜。まるでひいばあちゃんに会ったことがあるみたいに」

「会ったかもしれないわ」

「え?! どういうこと?」

「内緒」

 若菜はそう言って幸せそうに笑った。

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