結びが必要な人達を迎えに行って数十分、表が騒がしくなった。
縁達が外に出で見ると、結びが件の人物達を連れて来ていた。
シラルド、ホルスタ、アフロだ。
「何でぇ何でぇ! いきなりこっちは妻とお茶してたってのによ」
「まあそういうな、孫達の頼みなんだからよ」
「アフロな先生が見ている間、俺達はここの植物の解析だな」
「おうよホルスタっと、孫が言ってた鶴のお嬢さんとばあさんか」
シラルドとホルスタは鶴雅に近寄った。
アフロはというと近づかずに諭鶴羽を見ている。
「鶴のお嬢ちゃん、おめぇさんはおばあちゃんと一緒にお出掛けしたいか?」
「え? あの……出来るんですか?」
「へっ、作る奴が出来ねぇってサジ投げたら何も出来ねぇ」
「力技でいいんならすぐにできるぞ? 酸素ボンベみたいな物を作ればいい」
「おいおいホルスタ何言ってんだ、そんなの笑われるだろ」
「まあな、そうさせない物を作るのが俺達だろう」
「わかってんじゃねーか」
「どちらにしろ先ずは羽の傷を見ないといけませんね」
アフロが歩き始めると同時に諭鶴羽は頭を下げた。
「じゃあここは黙って診察されようかね、先生こっちへどうぞ」
「失礼します」
「私も」
アフロと諭鶴羽、鶴雅は室内へと入っていった。
シラルドは軽くため息をして縁を見る。
「しっかし縁も四六時中厄介な事してるな? 今回はなんだ? 孫からは断片的にし聞いとらん」
「説明すると――」
縁は今回の事を簡単に話した。
ふと知り合った猫の神を守る事になった事。
エンシェントトゥエルヴという十二支という組織の一部が暴れている事。
自分が偉い神の代理をして解決をしている最中という事。
「ほうほう、その猫を助ける為に十二支と戦うってか」
「で、あの嬢ちゃんも敵対している十二支のメンバーと?」
「そうですが、敵と助けるべき相手は見誤ってはいけません」
「立派な心掛けじゃねぇか、孫の婿としても神様としてもな」
「いえ、自分は恩返しをしているだけです」
「ん? 恩返し? さっきの鶴のばあさんに助けてもらったのか?」
「はい、昔人間と戦争した時に……街を滅ぼそうとした時に止めてくれました」
「兎の恩返しって奴か」
「返せてるかわかりませんけどね」
縁は自分の過去を少し悔やんでいるようにため息をした。
妹の為とはいえ、人の世の者達と進んで殺し合いをしていた事。
いや、妹の為もあるだろうが自分の怒りを振りまいたに過ぎない。
力を振るうにも子供だったと今更ならが考えているのだ。
「縁、俺達の妻には気を付けろよ?」
「え? 霞さんとクラリアさんに?」
「うむ、あの2人の方が戦わせろと言いそうだ」
「……」
安易に想像は出来る、神と戦うと耳に入れば間違いなく戦わせろと言って来るだろう。
縁がどう返答しようか考えていると、アフロ先生が部屋から出て来た。
「縁、診察は終わった」
「んじゃ俺達も自分の仕事をするかシラルド」
「ああ」
シラルドとホルスタは周りの植物へと向かった。
アフロは縁を睨みながら近寄って来る。
「縁、この俺に再び闇医者に戻れというのか?」
「すみません」
「いや違う、言い方が悪かったな」
アフロは自分の頭に手を置いた、そして帽子を取る様にアフロを外したのだ。
「え゛?」
結びが驚きの声を上げるが――ツッコミを入れる雰囲気ではない。
「再び俺を闇医者へと戻してくれるのか? 法は守らず倫理は守る、あの時代……ドクタースキンヘッドとして!」
いつもより声が渋く、頭が輝きを放っているアフロ。
いや、闇医者ドクタースキンヘッドがそこに居た。
何時も以上に気迫を出している、それは自分に治せない患者は居ないという覚悟だった!
「アフ――スキンヘッド先生と出会った時が懐かしいですね」
「あの時重症だったお前は言ったんだったな」
「……何ていいましたっけ?」
「俺は神だ、助けたらお前の望むものを用意するとな」
「先生が言ったのは、助けるべき患者を俺に紹介しろ……でしたっけ」
完璧に2人だけの世界が出来ている、それだけ2人の関係が深いという事だ。
「おっと昔話に花を咲かせてる場合じゃない、必要な物がある」
「何でしょうか」
「不死鳥の羽、これだけは私の力では手に入らん」
「他は自力で揃えるんですか?」
「当たり前だ、お前の価値観に合わせるなら……俺は誰かを助ける身分、おんぶにだっことはいかんだろ」
決め顔でそう言っているスキンヘッドはアフロをふところにしまった。
「急いでで欲しいですか?」
「いや、怪我自体は治りかかっている……が跡は残るだろう、それの治療と回復速度を高める」
「なるほど、では歩いて不死鳥の羽を取りに行きますよ」
「助かる、俺はお前が帰って来るまでに材料を集めよう」
「早いですね」
「闇医者は速度が命だ、準備は怠ってはいないよ」
スキンヘッドはそれだけ言うとその場から消えた。
そして縁は何も言わずに歩き始める。
結びはびっくりしながらも付いて行った。
「……ツッコミの大渋滞だった」
「ん? 何が?」
「まず……アフロ先生って闇医者だったんだ」
「ああ、昔俺が世話になった」
「その話は長くなりそう?」
「おう」
「じゃあいいや、で、歩いて不死鳥さんの所に行けるの?」
「ああ、ここに来た時も言ったが、ここは鳥の神様達の隠居生活の場所……って言えばいいかな?」
「ふむふむ、不死鳥って事はこの間あった……陣英の傭兵の隊長さんよね?」
「そうそう」
「あれ? 名前聞いた事あったっけ? なんかいつも隊長って呼ばれてたような」
「丁度いいから本人に名乗って名乗ってもらおう」
「おお、確かに丁度いいけど……偉い人の名前って前もって知っとくべきなのでは?」
「ん~ここは神によって違うが、本名を名乗りたい神様も居るのよ」
「あ、普段名乗れないから?」
高位の神は人の世では名乗れない、例外もあるだろう。
縁がホイホイと名乗れるのは位が低いからである。
高位の神が人の世で名乗ると、何かが起こる。
縁が名乗っても何も起きないのは、彼の位が低く影響を与えないからだ。
「そうそう」
「縁君はいつも楽しそうに名乗っているのに?」
「俺は位が低いからな」
「今更だけどさ、上位の神様達が一目置いてるじゃん」
「それはアレだ、悪さしてたお前が立派になってみたいな」
「親戚の子供の感覚かよ」
「結びさんのおかげだ」
「ん? どゆことさ」
結びは縁の方を見ると立ち止まり、2人は見つめ合う形になった。
「君が俺を愛してくれてるから、神としても少しちゃんとしようとね」
「別にいいのに、私は人間の縁君を愛したんだよ」
「まあ俺がしたいだけさ、神様って力があるなら目の前の奴は助けようかなと」
「なるほど、でもまあ人助けのおかげで結婚式の準備も進んでるし」
「良き行動にはいいことが帰って来るさ」
「お礼を期待して行動したら善意じゃないでしょ」
「おっと、俺は半分人間だからな、欲もある」
「それ言われると何も返せないじゃん」
そんな話をしながら不死鳥の元へと向かうのだった。