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第七話 前説・幕開き 流れのお知らせと過去の絆

 今日は過去の絆を助けに行くという、ロールをする為に集まった長谷川、荒野原、あゆさ。

 ログインをしてロビーに集まった。


「今日の流れはどんなのなんだ? 妹よ」

「ん? 簡単だよ? 過去の絆ちゃんを助けに行くのだよ」

「いつもながら説明簡単だな」

「ガチ勢の兄貴と姉貴ならこの説明で十分じゃん」

「せめて入りを教えてくれ」

「再び過去にワープした縁達、付いたのはまた森の中! 絆を助けろと言われたけど場所がわからない、だがその時悲鳴が聞こえたのだった!」

「わかりやすい導入だ、また過去から始まるのか?」

「うん、カット出来る所はカットしよう」

「了解」

「んじゃ、準備が有るから少し待っててから開始よろしく」


 絆はそれだけ言うと、メニューを操作して消えた。


「さてさて、今日はどんなお話になるんやら」

「過去の絆ちゃんを助けに行くお話」

「まあそうなんだけど」

「どんな色……いや、音にするかは私達次第よ?」

「そうだな」

「ん? 準備出来たみたい」


 メールを確認するスファーリア。


「早いな、よし行くか」

「うん」


 2人はメニューを操作して、その場から消えた。


 縁とスファーリアは運命に導かれ、再び過去へとやって来た。

 また森に放り出された2人は辺りを見回す。


「また森か」

「場所は違うようだけどね」

「ささっ絆を――」

「お兄ちゃん! 助けてー!」


 森全体に響き渡るような幼い女の子の声が響いた。


「今の声って!」


 スファーリアが縁を見た時には、もうその場には居なかった。

 悲鳴が聞こえた方向へ、トライアングルに乗って向かう。

 その聞こえた方向では。


「鬼ごっこはおしまいだ、お嬢さん」

「小さいとはいえ不幸の神、油断するなよ」

「ま、ささっと片付けましょ」


 大人3人に追い詰められた小さい絆が怯えていた。

 黒い着物を着た絆は泣きながら頭を抱えている。


「絆、悪い事してないのに! 何で絆を殺そうとするの!」

「お前さんは生きてるだ――」

「おいゴミ、俺の妹に何するんだ?」


 絆を守る様に立ちはだかった縁は、一番近い男を思いっきり蹴った。

 蹴られた男は有無を言わさずぶっ飛ばされて、木に激突する!


「なんだてっ! むぐぅ!」

「死ね」


 縁はボケっと突っ立っている男の首を、右手で握り潰すように持った。

 それと同時に、トライアングルの音が響き渡る。

 絆を襲おうとしていた輩は全員気絶した。


「縁君落ち着いて、小さい絆ちゃんの前でそれ以上はダメ」

「……すまねない」


 ゴミを捨てる様に持っている男を投げた。

 絆は脅えながら縁達を見ている。 


「絆、大丈夫か?」


 縁は優しい笑顔をしながらしゃがみ、目を合わせるが……。


「ひっ!」


 絆は後退りする、その反応を見て自分の行動が軽率だったと痛感した。


「縁君、怖がってるじゃない」

「……反省する、てか凄い後悔している」


 過去とはいえ、実の妹に拒絶されてしょぼくれる縁。


「……え? 縁? それにこの知ってる運気……お兄ちゃん?」

「ああ」

「本当にお兄ちゃん? 何で大きくなってるの?」

「ずっと未来から絆を助けに来た……っても簡単には信――」

「おにぃぢゃーん!」


 絆は泣きながら縁に飛びついて来た!

 無き止むまで待ってあげる事に。


「お兄ちゃんだお兄ちゃん! この運気はお兄ちゃん!」


 安心しきった絆は縁に抱っこされていた。


「絆、どうしてこの森に?」

「……筆箱隠されたから」


 その一言を聞いて縁は鬼の形相になる。


「縁君、落ち着いて? そういうのは、この時代のお母さんに任せましょ?」

「え?」

「それくらいの覚悟があって……絆ちゃんにちょっかいかけてるんでしょ」


 スファーリアはトライアングルを叩いた、それを興味深々に見る絆。


「お姉ちゃんはだあれ? あれ? 結びお姉ちゃんと同じ運気がするんだけど?」


 絆は首を傾げながらスファーリア見る。

 結びという発言に縁ははビックリしていた。


「絆、結びを知っているのか?」

「もちろん、お兄ちゃんも一緒遊んだの覚えてないの?」

「あまり覚えてない」

「一緒に遊んで、かいがりゅう? の技教えてもらってたよ?」

「ああ……ただの蹴りか」

「そうそう! それ以外にもかくれんぼしたり色々としたよ? でも、修行が忙しくなるなって言って、来なくなったの」


 楽しそうに思い出を語る絆に、2人も自然と笑顔になる。


「でもお姉ちゃん不思議な感じになっちゃったね? 上手く言えないけど」

「今の私はスファーリア」

「す、すふぁー?」

「結びでいいよ」

「わかった!」

「よし縁君、絆ちゃんをささっと安全な場所に」

「いや、兎術を使って父さんに連絡しよう、下手に動いて絆に何かあると自制出来ない気がする」

「だね」

「兎術」


 白い兎が現れて走り去っていった。


「あ、絆の筆箱も探さなきゃ」

「そうそう絆、筆箱ってこれか?」


 縁は鞄から黒い兎の形をした筆箱を取り出した。


「何でお兄ちゃんが持ってるの?」

「この森に来てまたまた見つけたんだよ」

「ありがとうお兄ちゃん!」


 筆箱を受け取った絆は最高の笑顔をしていた。

 父親が来るまで、その場に待っている事に。

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