目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第四話 後説 両親に任せるお知らせ

 風月と縁は手を繋いでロビーへと帰ってきた。


「ロビーに到着」

「お疲れ風月」

「おういえ! お疲れ様です」

「で、今日も飲みに行くのか?」

「当たり前だ馬鹿野郎! こっちはそのつもりで来てんでぃ!」

「……テンションが同一人物と思えん」

「いいじゃんか~イチャイチャチュッチュッしようぜ~」

「チュッチュッは勘弁だ」

「ええ~つれないね~かれすぃ~」

「ま、それは置いといて、ログアウトして向かうぞ」

「へーい」


 2人は何時もの様に居酒屋へ行き、何時もの席に通される。

 店の配慮なのか、2人がよく頼む物がセットメニューになっていた。

 それを見つけて速攻で頼んで、今日の反省をしつつ品物を待つ。

 食べ物と飲み物が来たら本格的な反省会の始まりだ。


「ああそうだ長谷川君」

「どうしたよ」

「お母さんが一緒にロールしたいってさ」

「いいけど、何かしたい事が?」

「うん、昔縁とあってたらしいじゃん?」

「正直あまり覚えてないけどな」

「そこで、お母さんが当時の再現をしていと」

「な、なんだって?」

「ただの再現じゃないよ? スファーリアがその場に追加されるから」

「あー類は友を呼ぶかな」

「どうしたのいきなり」

「いやうちの親もさ、お前もとい、縁が小さい頃に運命の人と会ったなら、やり直せとね」

「おお、それは丁度いいね」


 荒野原は速いペースで飲み、ピッチャーが既に半分だ。


「はぁ、やる事がたくさんあるな」

「お? 長谷川君、面倒くさいかい?」

「何事も準備段階って面倒くさいよな、正直」

「まあね~で、ご両親はどんなロールをしたいと?」

「父さんが今、縁とスファーリアのシナリオを調べて、辻褄が合う様に考えてるよ」

「おお、お父さんは何かお話とか作ったりする人?」

「ああ、好きで同人活動してたら、いつの間にか会社建ててしまった人」

「わ、わお、プロじゃん?」

「ちなみに母は声優、妹もな……いや、役者って言った方がいいか」

「わおわお、凄い」

「家族はそれに見合う努力をしてきたからな、俺は何もしてこなかったけどな」

「え? してきたでしょ?」

「え?」


 長谷川君は箸を止めた。


「あゆさちゃんから聞いたよ? 中学高校と凄かったらしいじゃん?」

「俺の封印したい過去が赤裸々に」

「何で?」

「レアスナタがしたい為に、勉強で一番を取り、内申点を高くして、生徒会長もして、普通に考えたら可笑しいよな」

「何処が? 学生としてやる事をやってるならば、好きな事していいじゃん」

「進路相談で先生に『俺はレアスナタをする為にいい子でいたんだ、いい大学や就職先を進めないでくれ、プレイ時間が無くなるだろ』ってさ」

「おーいいじゃん! 人生の目標がしっかりとしててさ」

「そうか? 今思うと張り倒したくなるな」

「その選択肢が私と出会う分岐点だったのさ」


 縁の様な語り口調で自信満々にニヤリと笑った荒野原。


「それを言われると自分の過去は否定できないな」

「そそ、過去は振り返る事しかできないからね~これからの事を考えましょう?」

「だな」

「ま、自分達のシナリオはお互いの両親に任せて、今は飲もう!」

「って事はさ、両親通し話し合いさせた方が早くないか?」

「お! それだ! あゆさちゃんに橋渡し役をお願いしよう!」


 荒野原し意気揚々とスマホをいじりだした。


「当事者の俺達は関わらなくていいのか?」

「お互いの両親を信じよう、変なシナリオじゃなければ出来るでしょ?」

「まあな」

「んじゃ決定! ぐへへ、また長谷川君と一緒に居る口実が出来たぜ」

「飲むのも程々にね?」

「寂しい唇は酒を求めているのさ」

「うわ~どっかに有るようなセリフを言い出したよ」


 何時もの楽しそうな反省会はまだまだ続くのだった。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?