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第二話 演目 開錠までの小話

 3人は城へと入るが誰も居なかった、豪華な玄関が人の気配が無いだけで少々不気味だ。


「あら? 出迎えくらいしてもいいのでは? って陣英何してますの?」


 陣英が場内で大きな扉るの前で何か作業をしている。


「グリオードに頼まれてちょいと先回りしてな、この先に用があんだろ? 鍵開け中だよ」

「どの位かかりますの?」

「ちょいと小話してりゃ直だ、てか久しぶりに絶滅演奏術を目の当たりにしたがスゲーな」

「あら? 見てましたの?」

「見てなくても命の減り方でわかるよ、ミーフィリムさんと同じレベルになったか?」

「お母さんにはまだまだ及ばない、私の絶滅演奏術奏はまだ及ばない」

「ま、死体処理はいつも通り俺達に任せてくれ」

「と言うか、陣英はお姉様のお母様を知ってるんですのね?」

「一部じゃ有名人だ、その人は目的地に向かう途中の悪人は絶滅するからな」

「どういう事ですの?」

「絆ちゃん、今回で言うとこのお城が目的地よね?」


 スファーリアはトライアングルビーダーで地面をつついた。


「ええ」

「私はその途中に居る悪人を絶滅させただけ、お母さんと同じように」

「なるほどですわ」

「はぁ……」

「どうしましたお姉様?」


 スファーリアは溜め息をつくとうつむき、絆は心配そうな顔をしていた。


「この考えをわかってくれない人が多くてね、色々ともやもやが」

「なら俺が聞こう、同意は出来ないかもしれないが君の考えは知っておきたい」

「あらお兄様? 抜け駆けはいけませんわ、未来の妹ととして聞いておきます」

「簡単、悪人は絶滅すれば世の中よくなると思ってるから、でも全て絶滅させるなんて無理、だから通り道だけでもって考え」

「はは、否定するつもりはないな」

「ふふふ……神に人の常識など『本来は』しったこっちゃないですわ」


 縁と絆はスファーリアの話を聞いて笑っている。


「そう言えば昔お母さんを取材しようとした報道陣が居た」

「報道陣? 何で?」

「悪人とは言え人殺しだからね」

「面白半分の報道陣ね、経験あるわ『悪人が悪い事をしている場面』と『被害者が被害を受けている場面』の為だろ?」

「そう、私とお母さんは他人に誉められたくて悪人を殺してるんじゃないの、嫌な耳障りな音がするから殺すの」

「心中お察ししますわお姉様」

「他にも色々と言ってくる奴らが居るんだ、人権が、法が、とかさ……」


 スファーリアはトライアングルビーダーを強く握り締めた。


「だったらてめぇらで解決しろってんだ!」


 トライアングルビーダーを近くのあった柱に投げた!

 凄まじい音と共に柱にトライアングルビーダーが突き刺さり柱が少し欠ける。


「力が無く何もしようとしない奴が一番吠えやがる! どこもかしこもそうだ! ムカつく音しかしないし、中途半端な悪党や正義が噛みついてきやがる! 口先だけの正論一般人が上からガタガタぬかしやがる!」


 スファーリアは少し半狂乱になりながら喋り、手を震わせ、歯ぎしりをし、殺意に満ち溢れた目をしていた。


「私が気に入らないから絶滅させろぉぉぉぉぉ!」


 トライアングルに右手で殴りかかろうとしたスファーリアだったが。


「お姉様、落ち着いて下さいまし」


 と、絆が左手でスファーリアの右手を受け止める。

 両手でスファーリアの右手を包む絆は微笑んでいた。


「……コホン、失礼、取り乱したわ」


 少し恥ずかしそうにしているスファーリアは、左手でそっと絆の手に触れる。


「耳障りな音ってのは遮断出来ないのか?」


 縁は壁にぶっ刺さったトライアングルビーダーを引き抜いてスファーリアに渡した。


「ある程度は出来るけど強い音は無理、遮断しても小さく聞こえてくるから逆にイライラが増す」

「それはあれか、寝ようとした時に蚊が現れるようなもんか?」

「そんな感じかな? あ、そうだ陣英さん」


 ポンと手を叩きながら陣英を見るスファーリア。


「ん?」

「解除の料金と処理の料金は?」

「ああ、グリオードから貰うから大丈夫だ」

「そうなの? 了解」

「手土産持ってお礼に行くか、保護した人達も気になるし」

「そうですわね、お兄様」

「よし、開いたぜ外はまかせな」


 陣英がそういうと鍵が開いた音が響いた。


「では、私達は皇帝に謁見しに行きますわ」


 絆は思いっ切り扉を蹴ろうとしている。

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