「スファーリアさん、お疲れ様」
「縁君もお疲れ様」
2人はロビーに戻ってきたようだ。
「次グラウンド使う人達が居たんだよね?」
「うん、私の所にチャットが来た」
「少々強引な終わりだったけども、あのまま独占するわけにもいかないし」
「だね、それにしてもあの変身ヒーロー君は中々面白そうな設定してたね」
「桜野学園の生徒設定とは思わなかった」
「んじゃ、そこらへんを語る為に何時もの居酒屋に行こう」
「ああいいよ」
「予約ってした訳じゃないけど8時くらいに行くっておかみさんに連絡しておいた」
「それは予約なのでは? 今6時半くらいだから丁度いいな」
縁はメニューを開いて時間を確認した。
メールに色鳥からの新着があり、確認すると『ロビーで待ってるから来れたら巨大モニターの前に来てくれ』と書いてあった。
「色鳥からのメールで見せたいものあるから巨大モニター前に来てくれってさ」
「もしかして動画?」
「多分そうだろうな」
「それは見なきゃね、行ってみよー」
縁とスファーリアはロビーにある巨大モニターへと向かった。
このモニターは普段は公式の宣伝を流しているが、プレイヤーが動画やイラスト等を宣伝出来る。
独占や過度なお色気やグロは、公式から厳重注意の対象となり、やりすぎるとアカウント停止処分も。
ネットマナーと良識を持っていればなんてことない。
「おう、お疲れ様」
「お疲れ様です、縁さん、先生」
「お疲れ様、色鳥、桜野さん」
「色鳥君、椰重ちゃんお疲れ様」
4人は軽く挨拶をした。
「おや?」
「どうした縁や?」
「今流れてるの公式PVだよな?」
縁は巨大モニターを指差した。
「ああ」
「俺の知らないやつだ」
「私も知らない」
縁とスファーリアは巨大モニターを見ている。
「ついさっき公開したらしいぞ?」
「ふむ、私と色鳥は見たがこれを見てから旦那のPVを流そうではないか」
「んだな」
色鳥は頷いた。
巨大モニターには絵に描いた四天王が会議しているような部屋が映し出されている。
『最近我々の正義に異論を唱える者達が居るとか』
素肌以外金ピカな紳士風の男性が金ピカの古い銃を手入れをしている。
キャラクターが一言言ったらモニターに字幕が表示されるようだ。
ゴールドマン・ジャスティン。
通称ゴルジャ、相手の技をコピーするがコピーした技の名前にセンスが無い。
ジャスティスジャッジメント四天王の1人、技の日本市場の異名を持っている。
『仕方ないわ、世間から見たら私達は間違った正義らしいから』
お色気ムンムンなお姉さんがワインを片手にそう言った。
チャムリア・ミリー。
通称はチャム、鞭使いであり、世の中の男をひれ伏したいと思っている。
ジャスティスジャッジメントの四天王の1人で、魅力のチャムで知られている。
『正義なんて人の数あるのにね、これだから頭の悪い馬鹿は好きじゃない』
フードをかぶっていて、髪の毛で目も見えない、声で女性とわかるその人物は詰め将棋をしている。
通称コマちゃん、ジャスティスジャッジメントの作戦担当のまとめ役だが、めんどくさいで指示は適当。
ジャスティスジャッジメントの四天王で、鋭い指摘のコマとして実は恐れられている。
『ったくよ! テメェらの事を棚に上げてよく言うよな! 本当によぉ!』
そこら辺にいそうな三下風味の男がテーブルに足を上げてイキリちらしていた。
通称は三下、三下らしく振る舞う事で力を発揮するらしい、よくわからないがジャスティスジャッジメントの四天王を勤めるくらいには強いようだ。
三下ゆえ四天王としての二つ名みたいなものは無い。
『ゴールドな私の部下が好き勝手してるのを止める理由も無いですけどね、それも正義です』
『私が気に食わないなら、あの時のように殺しにくればいい』
『コマ! その話は総帥の前で止めなさい!』
『チャムリア、気にするな』
今まで喋らずに座っていた人物が口を開いた。
『私は世間に感謝しなければいけない、あの事件で本当の正義とは何かを理解したのだからな』
顔は見えないが声は初老の男性を想像させる。
???
ジャスティスジャッジメントのボスで過去の出来事から正義が正義ではなくなったが、彼の正義は何一つ変わっていない。
『これは我等と貴殿達との正義のぶつかり合い! では、待ってるぞ? これを見ている者達よ』
口元だけが映りニヤリと笑って指を鳴らすとモニターは砂嵐になりそのPVは終わった。
数秒したのち字幕で『詳しくは公式サイトをご覧ください』と表示される。
「おお!」
「これは後で公式サイトをチェックだな!」
縁とスファーリアはしゃいでいる。。
「んじゃ、本日のメインデッシュにいくか! っとその前に……これからモニター使って動画二つ分流すんだけど、誰か使う予定の人達は居るか?」
色鳥はメニューを操作しながら周りに居るプレイヤー達に声をかけた。
「いや、俺達は大丈夫だ」
「お、何々? 何か流すの?」
剣士風の男達が近寄ってきて、それにつられるかのように巨大モニターの徐々に人が集まってきた。
「俺含めた身内のPVを二本作ってきてな」
「面白そう、私達も一緒に見ていい?」
ネコミミ女性が色鳥に話し掛けてきた。
「もちろんだ」
「おい、何か動画流すらしいぞ」
「私も見ましょうぞ」
まだまだ色々なプレイヤーが巨大モニターの前に集まってきた。