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第六話 演目 遊びの加護

「おじゃまいたしますわ」


 絆は砦の入り口を蹴っ飛ばして入ってきた。


「な、なんだ!?」

「敵襲か!」

「なんかきたー!」


 中に居た兵士達はビックリして絆達を見ている。


「問答無用であなた方にをぶち殺しにきましたわ」

「ヘッヘッヘ! 何処の誰か知らねーが俺達を殺しにきただと? やってみやがれ!」


 好戦的な兵士が絆に銃を向けた。


「あらあら、絶体絶命ですわ」

「死ねや!」


 兵士は銃を絆に向けてバンバンと発砲する。


「ぐっ」

「ひっ!」


 絆に向かっていた弾丸は、何かに吸い寄せられるように曲がり別の兵士に当たって血を流している。


「ばっ、バカな!」


 銃を撃った兵士は再び絆に向かって発砲した。


「あらあら、あなたは運が悪いですわね? この距離で私に当たらないとは」


 絆は楽しそうに笑っている、弾丸はまた急に曲がり別の兵士に当たって即死。

 残っているのは銃を持っている兵士と腰を抜かしている兵士だけだ。


「ば、化け物が!」


 兵士は銃を投げ捨て剣を抜いた。


「私、これでも神ですよ? あ、お兄様? お母様の方のおじい様とおばあ様はどちらが神でしたっけ?」

「両方だ」

「なるほど、半分以上神です! 化け物ではありませんわ」

「ふざけやがって!」


 兵士はドヤ顔をする絆に対して剣を構えて突撃してくる!


「その言葉あなた方が言えまして?」

「死ねや! クソガキ!」


 絆を切り捨てようと剣を振り上げた!


「自己紹介かしら?」


 絆は何もせずにただ鼻で笑う。

 振り上げられた剣は勢いを付けすぎたのか兵士の手から離れて真上にすっぽぬけた。


「んな!?」

「さようなら」


 絆がそう言うと剣は真っ直ぐ落ちてきて兵士の背中に刺さった。


「ぐふぁ!?」

「な、ななな、なんだよ! コイツ!」


 背中から刺さった兵士はその場に血を流して倒れ、腰を抜かしていた兵士は立ち上がるが剣を抜いたが足が震えていた。


「あら貴方? 逃げたければ逃げればいいじゃないですか?」

「ひっ!」


 兵士は剣を投げ捨て近くの上り階段を駆け上がる兵士。


「た、助け! うわ!」


 足を踏み外したのか転げ落ちてきた兵士は、運悪くテーブルに頭をぶつけて動かなくなった。


「私、立っていただけですのに」

「絆遊び終わったか? さっさと地下に行くぞ」

「ふふ、幻影の存在となっても死の概念があるとは……ふふふ」


 色鳥は絆を無視してスタスタと奥へと歩いていった。

 凄く満足そうに絆はスキップで色鳥を追いかけた。


「元人間達よここで死んだお前達は幸せだ、まだ次に生まれ変わる可能性があるからな」


 縁は死体に手を合わせる、不慮の事故で死んだら者達は徐々に身体が薄くなっていく。

 夢幻だった様に死体も巻き散った血の跡も無くなった。 


「お兄様、速く行きますわよ?」

「ああ」 


 3人は地下へ続く厳重な扉を見つけて降りた。


「ひでぇ臭いだ」


 色鳥は舌打ちをした地下は薄暗くたくさんの牢屋が見える。


「ふむ、ここに居た者達は何処かに連れて行かれたようだな」

「って事は縁、ここに敵襲が来るとわかっていたのか?」

「確実なのはここに幸せは無い」

「お兄様、ここは私にお任せを……一人居ますわ! こっちです!」


 絆はいきなり走り出しす、縁達もされに続いた。

 走り続けていると明かりが灯っている牢屋があった。


「おいおいおい、なんだこりゃ!」


 色鳥は牢屋の扉を蹴飛ばして開けて中に入った。

 中に居た人物は人魚で右腕が切り落とされている傷跡、身体にも切り傷があり下半身の魚の部分は焼け焦げている。

 その人魚の口元は動いておりまだ生きているようだ。


「あ……」

「わりぃなお嬢さん、ちょっと触れさせてもらうぜ」


 色鳥は目を閉じて虚ろな瞳で自分を見る人魚の頭に手を置いた。


「これなら俺に救えるな、我が守護神であり遊びの神『ことば』よ、我の祈りを聞き届けてまえ」

『おやおや色鳥や、お前から祈りを……』


 どこからともなく優しいおばあちゃんの声が響いてきた。


『色鳥や! この子はどうしたんだい!?』

「遊ばれたんだよ、婆さんの力で治せるよな?」

『こんなめんこい子が可哀想に……私に任せなさい』


 人魚が優しい光に包まれと切り落とされた右手が元通りになり、焼け焦げていた箇所も切り傷も無くなり褐色もよくなる。


「婆さん、怒りを我慢しすぎてよ、ことばもうまくよ、うまく、しゃべれねーわ」

『色鳥や、禁忌の遊びを許す』


 色鳥は湧き出る怒りからか自分の刀を強く握り締めていた。

 それに答える様に聞こえてくる声に力強さが伝わる。


「ああ、ありがとうよ」

『してこの子はどうするんだい?』

「絆か縁に任せる」

『ああ、絆ちゃん達が居るのかい? なら安心だ』

「またな、婆さん」

『はいよ』


 その言葉を最後に声は聞こえなくなった。


「相変わらず何が起こったか解らないですわね?」

「説明なら後でいくらでもしてやる」

「楽しみにしていますわ、では私はこの人魚さんを安全な場所へ連れて行った後にここに居た人達の事を調べますわ」

「ああ」

「では失礼しますね、色鳥、お兄様」


 絆は優雅にお辞儀をするして人魚と共にスッと消えた。


「縁、残りは遊んでもいいやつらか?」

「ふむ、一人だけ違う気配を感じるが……他は俺でも救いようがない」

「ほう? なら『遊びの加護』を持った俺が遊んでやるしかないよな? 本当の遊びを教えてやるか」


 色鳥と縁は歩き出した。

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