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第六話 演目 グリオードの右腕

 縁達は大きな宮殿の入り口前に光に包まれて現れた。


「着いたな、久しぶりにグリオードの国に来たが相変わらず時代背景がバラバラだな」


 縁は達は辺りを見回した。

 宮殿入り口前から見えた景色はカオスだった。


 まず目に入ったのは原始人が石のお金を転がしている光景。

 原始人が居るかと思えば、遅刻しそうな女子学生がパンらしき物を加えて走っている、案の定曲がり角で男子学生とぶつかっている。

 そんなラブコメ展開の側で説法をしているシスターが居る、シンフォルトだ。


 おそらくシンフォルトは道徳について語っているのだろう、話が上手いのか徐々に集まっていく。

 シンフォルトの近くでお兄さんとお姉さんが元気な子供達と遊んでいる、多種多様の種族が楽しく遊んでいた。

 微笑ましい光景を見ていると、空からなんと学校が飛んできた!

 町の近くへと下りてくる学校。


『子供達のみんな、お勉強の時間ですよ』


 飛んできた学校から放送が流れる。


「あ! ガッコウダーだ!」

「今日は変形してないんだね!」

「さあみんな、勉強もちゃんとしましょうね?」

「「「「はーい!」」」」


 お兄さんとお姉さんに子供達は空から飛んできた学校に向かって歩いていった。


「相変わらずカオスだな、街並みもだが」


 わらの家からSF世界観にあるような家まで千差万別だ、景色を眺める一向に近寄る男性の姿が。


「失礼します、色鳥様でございますか?」


 色鳥に声をかけたのは白髪に整った白い髭に優しい目、タキシードに身を包んだ男性が話しかけてきた。


「ああそうだ、あんたは?」

「私はグリオード様の身のまわりのお世話をしています、ジンと申します」


 ジンは丁寧に頭を下げた。


「中でグリオード様が待っています、ご案内しましょう」


 ジンに案内をされ色鳥達は宮殿の中へ。

 宮殿内は殺風景で建物は豪華なのだが装飾品が無く見掛け倒しにみえる。


「相変わらず殺風景だな」

「グリオード様はこのままがいい、とおっしゃってまして……さ、こちらです」


 ジンが大きな古い扉を開けて3人は中へと入る。

 グリオードは玉座に座っていて近くに女性が一人立っていた。

 その女性は青色のドレスにヤギのような角に、赤色の髪で赤い瞳に冷たさを感じる目付きとへの字の口をしている。

 右の角に雪の結晶の形をした装飾品を付けている。


「ういっすグリっさん、元気っきにしてた?」


 色鳥は気楽に挨拶をした。


「!?」


 辺りが急に冷たくなる、さっきまで春の様な暖かさだったが温度が急激に下がり寒くなり、室内なのに何処からか雪が降ってきた!


「あの~麗華れいかさん? 落ち着いて下さいね?」

「落ち着く? 一国の王に対してこの言い草を見逃せと?」


 冷たい目の女性はグリオードを睨んでいる。


「クスッ! 真面目な人だな悪魔さん」

「死ね」


 色鳥が笑うといきなり無数の氷の刃を色鳥に飛ばしてきた!


「雪遊びは好きだぜ? だがな? あんたからは殺意を感じないんだ、キレてはいるようだが俺を試すような遊びは止めるんだな」


 飛んできた氷の刃は色鳥にたどり着くまでに溶けてしまった。


「『遊びの範疇』で俺に傷はつけられんよ?」

「失礼しました、色鳥様」


 女性は優雅にお辞儀をした。


「色鳥様の実力を計るような真似をしてしまいました……が! ただ死ねと思ったのは本心ですのであしからず」


 周りの温度が上がっていき徐々に暖かくなっていき雪も止んだ。


「グリオード、お前凄い悪魔を従えているな」

「自己紹介が遅れました、私は白眩身しろくらみ麗華と申します、グリオード様の」


 麗華はお辞儀をした。


「やはり応接室で話した方が良かったな、麗華がピリピリしすぎだよ」

「当たり前です、玉座に座っているんですから王様として対応してください、そして最初から応接室ならば私は怒りません、友人と話すと言っていただければ」

「ああ、うん、ごめんなさい」

「確かにそりゃそうだよな……って」


 色鳥は周りを見ると縁達がいつの間にか居なくなっていた。


「縁達は?」

「縁様達でしたら応接室に案内いたしました、お茶菓子も用意しておりますので色鳥様もいかがですかな?」

「脱兎の如く逃げ出したか? 執事さん案内頼むわ」


 ジンの案内で応接室へと向かう。

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