いきなり現れた男はサングラスと取り出して付けた。
「その汚れた行い、この和服仮面が許さん!」
「和服仮面様!」
和服仮面は屋根から飛び降りてひかりの近くに華麗に着地。
ひかりは恋する乙女のように和服仮面を見つつ小錦から降りた。
「んだテメェ!? 訳わからん事言いやがって!」
「んだぞコラ! 和服にサングラスとかなめてんじゃねーぞ! いてーぞ!」
「ならば悪行を暴いてくれる、ムーンライト結果を出せ」
「フッ……了解だ、月の光の前に隠し事は出来んぞ!」
空中にボーイの断面図が現れ、胸のあたりに赤いマークが点滅して現れた映像はそこの部分を拡大する。
そこには『悪の秘密結社ペダル団製』と空中に映し出されていて、それを見た会場がざわついた。
「ペダル団だと!? 出力増加の違法パーツを使いやがって! ここで勝負しろ! レギュレーション外仕様で勝負してやらぁ!」
小錦は三輪車から人型モードになり怒りを露わにしてフレームが赤くなっていく!
「フッ……落ち着けサンシャイン」
「止めるなムーンライト!」
小錦が怒りのあまり、濁点が付くような喋り方になっている。
「公式戦で違法をしたんだ逃げられまい、それに正義の力を容易く使うな」
「……ちっ、そうだな」
小錦は納得がいかないようで右手が握り拳で震えている。
「どうやら言い逃れ出来ない不正があったようですな」
ジャッジ合意と三輪車ファイターが何時の間にかひかりの近くに居た。
「近未来ひかり君、石林天馬君のレギュレーション違反を見抜けなかったのは私達運営の失対だ、申し訳ない!」
三輪車ファイターは深々とひかりに頭を下げた。
「ファイター! 私は例え相手がレギュレーション違反でも、それを理由に私は負けた事を無かった事にはしたくないから」
「……近未来ひかり君」
三輪車ファイターは顔を上げて、ひかりの目を見る。
「諸君私は失礼するよ、月の輝きの導きあらば会えるだろう」
和服仮面のその言葉と共にムーンライトは三輪車形態に変形。
彼はムーンライトに乗って自力で漕ぎ始めた。
「はははははは、はははははは」
高笑いと共に和服仮面とムーンライトは空に向かって去っていった。
『え~皆様、今回はこのような結果になってしまい誠に申し訳ありません、今回の対処は後日公式ホームページに掲載します、申し訳ありませんでした!』
ジャッジ合意は深々と頭を下げるが会場にはヤジやらなんやらが飛び交っている。
縁達が居る観客席のガラスが曇っていき、外の音が聞こえなくなった。
「なんだかとんでもないものを見てしまったな」
「悪の組織って何処でも居るものね」
「……てか悪の組織が悪を名乗るのか」
「実態を明かしてもトカゲのしっぽ切りで逃げ切れるとか?」
「有りうるな」
『お客様にご連絡いたします、お客様のチケットの有効時間がまもなく終了します』
「サッと片付けて退室しようか」
「ああ」
片付けをして建物の出入口にやってきた。
「見てて面白かったんだが結果が残念だったな」
「相手の不正で不戦勝、勝負事でこれは屈辱」
「だな」
「先生ー!」
帰ろうと歩き出した2人に、背後からひかりが小錦に乗って手を振りながら走ってきた。
「ひかりちゃんお疲れ様」
「ごめんなさい先生、見に来て頂いたのに結果があんな事になって」
「勝てなかったのが悔しい?」
「はい、相手の違法パーツは出力を増加させるだけでした他は純正品、私の実力でカバー出来る範囲でした」
「無知で申し訳ないが実力でカバー出来るのか?」
「ああ、俺達三輪車はパートナーとの心の同調で出力を出しているんだ」
「となると出力はある意味無限なのか?」
「そうだ」
「っと、自己解決がまだだったな、俺は縁」
「私は近未来ひかりです縁さん」
「俺はサンシャイン・小錦だ」
三人はそれぞれ軽く頭を下げた。
「っとひかり、ゆっくりとはしてられない控え室に向かわないと抜け出してるバレる」
「そうだね、ああ~後処理やら面倒くさい!」
「本日最後に、今日の課題がわかってるなら貴女は強くなるわ」
「先生、ありがとうございます! 失礼します」
ひかりは慌ただしく建物へと入っていった。
「礼儀正しくて元気な人だな」
「うん、あの元気は彼女の最大の武器になる」
「んでさ、ふと思ったんだが」
「何?」
「スファーリアさんて三輪車部の顧問なの?」
「違う、仲の良い生徒」
「なるほど」
「じゃ、私達も帰ろうか」
「だな」
2人は光に包まれてそのまま消えた。