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第三話 後説 楽しい夕食のお知らせ

「ううむ……ロビーに行けば良かったか? いや、確実に一日潰れるよな? ま、うだうだ言ってても仕方ない帰る準備するか」


 ゲームを終了した長谷川の言葉はロビーに対する欲の感情が渦巻く。

 ロビーに行きたい気持ちをため息と共に吐き捨て、帰宅の準備をした。


「お疲れ様荒野原さん」

「長谷川お疲れ様」


 荒野原はロビーの休憩所で長椅子に座りジュースを飲んでいる。


「長谷川君、ジュース飲む?」

「え? 飲みたいけど自分で買うよ」

「自販機でアタリがでた」

「おお、そいつはまた――」

「運が良かったな」


 長谷川より先に荒野原が縁の決めセリフの一つをサラッと言った。


「言われた」

「はいこれ」


 荒野原は飲み物を二本手渡す。


「え? 二本当たったの?」

「うん」

「マジで運がいいな」


 長谷川は少し距離を空けて荒野原の隣に座る。


「スファーリアはどうだった?」

「うーむ、何と言うか殺意高い?」

「それを語るなら絶滅演奏術を詳しく語らねばなるまいて」

「……正直、初見のビックリ具合も大事にしたい!」

「解る! やっぱり初見の反応っていいよね!」

「っても縁とスファーリアは友達って設定にしてしまったな」

「……お、閃いたよ長谷川君」

「ん? 何々?」

「設定資料集で読んだけども確か縁は絆ちゃんの為に戦争起こしたんだよね?」

「ああ」

「その前に会っていたってのはどう?」

「つまりは子供の時に会っていたと?」

「そうそう、で大人になって再会って形」

「あ~なるほど」

「スファーリア縁に対しての、流れてくる噂を知ってるくらい」

「んじゃそうするか」

「うん、後の事は流れでなんとかなる」

「おおう、レアスナタガチ勢は恐ろしい」

「長谷川君もでしょ」

「返す言葉は無いな」


 長谷川は笑った後にジュースを飲み、荒野原は腕時計で時間を確認した。


「そうだ長谷川君、この後どうしよう?」

「帰るだけども何かあるのかい?」

「ご飯でも一緒にどう?」

「ああもう飯時か、じゃあご一緒しようかな」

「行き付けの居酒屋が有るんだけどそこでいい? 個人経営のね」

「居酒屋? 飲む気満々?」

「今日はゲームでいい出会いが沢山あったからね、絆ちゃんにフレビィちゃんにリッシュさん」

「荒野原さんはいい事が有ると飲む派?」

「もちろん、楽しい事でお酒は飲みたい」

「なるほどな、酒にも付き合おう」

「おお~長谷川君も飲める系?」

「まあ、そこそこね」

「んじゃ案内するね、ここから歩いて行ける距離だから」

「お願いするよ」


 行き付けの居酒屋はゲートから歩いて15分程の場所にあった。

 外観はどこにでもありそうなで、店内が小さそうな居酒屋で名前は『居酒屋奏』と看板に書いてある。

 荒野原を先頭にお店に入ると店員の元気のいい挨拶が聞こえた。

 おかみさんに長谷川を連れて来た事をからかわれる。


 からかったお詫びなのか2人が通されたのは、2人で使うには広くてその店に一つしかない簡易仕切りがある個室だった。

 料理と飲み物を注文した後、2人レアスナタの話で盛り上がった。

 しばらくして頼んだ物が揃い話は更に弾む、酔いが回ってきた頃に荒野原は一つの質問をする。


「あ、縁君に聞きたい事があったんだ」

「いや、ここは現実で俺は長谷川だよ」

「長谷川君は細かいねぇ~」

「聞きたい事って何?」

「ああ~縁って今目標ってあるの?」

「目標?」

「そ、目標」

「言われてみれば……無いな」

「無いのか」

「中学高校時代は妹絡みの戦争シナリオをロールしまくったからな」

「つまり、戦争が終わったと同時に目標が無くなったと」

「なんだろう、縁が目標も無くただ生きてるだけの存在に……俺の人生の様に」


 人生終わったかの様に落ち込んでいる長谷川に荒野原は少し困った顔をした。


「話振っといてなんだけど、そこまで落ち込まなくても」

「いや、なんつーか……俺の考えは『縁は縁であの世界でちゃんと生きてる』って考えでさ、目標かちゃんと考えないとな」

「ん~そんなガッチリ考えなくてもいいんじゃない?」

「そうかな~」

「そそ、なんならスファーリアと先生やる?」


 荒野原はトライアングルを叩く仕草をした。


「縁が!?」

「縁君が!」


 2人してトライアングルを叩く仕草をノリノリでする。


「うわ~想像できね~」

「案外似合うかもよ?」

「パスパス! 人を導くなんて出来ん!」

「はははは! まあ、公式初イベントも数ヶ月後に始まるし、その時にポロっと見つかるかもよ?」

「だといいね、ま、考えても仕方ないか!」

「そそ! 今は飲もう!」


 楽しそうな夕食はまだまだ終わりそうに無いのだった。

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