「いやいやいや! リッシュだよ! タベリアの街でギルド仕切ってるリッシュだよ!」
リッシュと名乗った中年男性は身振り手振り色々とジェスチャーをしている。
「ああリッシュ兄さんか、イメチェンした?」
「まあな」
「ここは俺に任せてもらうZE! 世間がよく言う未来ある若人には、ちゃんと大人が説教をしてやらないとな」
親指をグッとするリッシュ。
その言葉を聞いた縁はため息をしながら絆の居る場所へと歩いた。
「さっきから聞いてれば、何なんだよオッサン」
「ん? お前らが神と戦うにはあまりにも無謀だからさ、俺の相方の力である『解説と説明の加護』の力が入っている指輪を使って説明してやろう、ちゃんと聞けよ? 槍ボーイ」
ヤマトは槍をリッシュに向ける。
リッシュはポケットから指輪を出しそれを左手の薬指に付けた。
「あの指輪は……」
「長くなりますわね」
縁と絆はリッシュの言葉を聞いて苦笑いした。
「ああ!? 説明だ!?」
「やれやれヤマト、一応彼の言い分を聞いて損はないかと? 余興の一環として」
「では失礼して一気に説明しますね? まず最初に貴方達が受けた依頼の『不幸を司る神を葬れ』の内容が可笑しいとは考えませんでした? 『不幸の神を葬れば皆が幸せになる、我こそはと思う勇者よ集え』とか書いてますが、子供が考えそうな文章によく依頼を受けるようになりましたね」
リッシュは早口で色々と言う。
絆を討伐しに来た3人組は少し驚いている。
自分達が話していない情報をリッシュが知っているかのように話しているからだ。
「ふむ……この依頼はある国からで報酬が金に国が築ける土地と女ですか」
リッシュはニヤニヤしながら楽しそうに解説をしていが突然ハッとした顔をした。
「あ! なるほどなるほど、今考えたら報酬が思春期特有欲張り基本セットですね、金地位ハーレムと」
「テメェ!!」
「やれやれ待ちなさいヤマト」
リッシュは嘲笑うように3人組を見てヤマトは槍を持つ手に力を入れた。
スバルフは右手でメガネをクイッとしながらヤマトを言葉で止める。
「説明が長すぎるのが『相方』の悪い所です、前置きはこれくらいにして本題にはいりましょうか」
リッシュはため息をした後左薬指の指輪を外した。
「この指輪すると敬語になるのがやっかいだぜ、まあそれよりも絆を殺したり封印したくらいで本当に世の中から不幸が無くなると? 不幸を司る神は沢山居るのですが? そもそも不幸の神を殺したからと言って不幸が無くなるとでも?」
リッシュは怒涛の質問責めをした。
「ちゃんと考えて依頼を受けたか?」
「ちっ! さっきからガタガタとうるせぇな!?」
ヤマトは槍を地面に突き刺して怒りを露わにする。
「文句が有れば力付くで止めればいいじゃねーか!」
「そうかそうか、じゃ縁が言ったように『殺し合い』でいいんだな? クソガキ共」
「はっ! はなっからそうすりゃいいんだよ! スバルフ! 奴の装飾品の鑑定だ!」
スバルフの目が赤くなりリッシュの指輪や腕輪を見る。
「やれやれ装備からは何も力を感じない、結果はハッタリだヤマト」
「ただのハッタリか! んだよくそやろうが! いくぞ! 俺が炎だけだと思うなよ!」
ヤマトは槍を天に掲げた後地面に刺した!
「天よ地よ、火よ水よ、雷や風よ! 氷に闇よ! 我に力を与えたまえ!!」
何処からともなく数個の球体が現れた。
炎や氷等、ヤマトが口にした属性を象徴するような色の球体が浮いている。
「
ヤマトの槍に球体が吸い寄せられる、槍は七色に光始めた。
「奥義!
ヤマトはその場で回転しながら槍を振り下ろした!
しかし、槍は振り下ろされただけで何も出なかった。
「なっ!?」
ヤマトは驚きながら自分の槍を見ると七色に光ってはいなかった。
スバルフ、叢雲の2人はそれを見て驚いた。
「どうした一人でお遊戯会か? 『殺し合い』だろ? ちゃんとしようぜ?」
リッシュは欠伸をしながらゆっくり歩いてにヤマトに近寄っていく。