◇ ◇ ◇
「――カーラはどこだ!」
複数の女性と乱交に興じていたビリーは、侍る女たちを無視して大声を上げる。
「ビリー様、カーラさんは不在ですよ」
一人の女が
「そう言えばそうだったな……」
カーラはビリーに外出の許可を取ってからシノノメ家へ赴いている。息子がお世話になっているクラスメイトの親御さんに招待されたと偽ってだ。
ビリーはお気に入りであるカーラの頼みを無下にはできず許可を出していた。――興奮の余り失念していたが。
「私では物足りませんか?」
胸を押し付けて上目遣いする女が尋ねる。
この女の年齢は二十代後半で、政界で出世する為の足掛かりとしてビリーに取り入っていた。
七賢人のビリーが後ろ盾になってくれれば心強いのは間違いない。
「……」
ビリーは女に目を向ける。
「興が冷めた。今日は一人で休む。お前らは出て行け」
散々奉仕させ、愛情のない行為を強要していたにも
女性たちは文句を言える立場ではないので、
残念がる者もいれば、解放されたと安堵する者もいるが、総じてビリーを怒らせないようにそそくさと退散していく。
ビリーは女性を侍らせたまま眠ることが多いが、この日は一人で休みたい気分だった。
お気に入りのカーラがいなくて苛立っている。自分で外泊の許可を出したが、今になって後悔していた。なんとも女々しい男だ。
そして、つい先程まで乱交三昧だったこともあり、すぐさま眠りについた。