◇ ◇ ◇
同時刻の壁内某所。
裸でベッドに俯せ、侍らせている男にマッサージをさせている女のもとへフランコが姿を現す。
「姫」
「あら? 何かあったの?」
女は俯せの状態で器用に首を傾げる。
「はい。ご報告を」
「そう」
「トーマス卿から例の件、滞りなく済んだと連絡がありました」
例の件とは、マーカス・ベイン暗殺のことだ。
「遺体は確認したのかしら?」
「二時間ほど前に住民が発見したそうです。被害者がベイン卿だと政府は内密にしているようですが、要人でなければ秘匿する理由はないかと」
「そうね」
要人が暗殺されたなどと知られれば騒ぎになる。
政府が秘匿するのは、
「まあ、成否はどうでもいいわ。結果がどうであれ、わたくしには全く影響ないもの」
マーカス暗殺の件に成功しようが失敗しようが、彼女にとっては大した影響はなかった。
邪魔者が減って多少は動きやすくなるが、仮に失敗しても今と状況が変わるわけではない。
不審死が立て続けに起こっている現状、政府は疑惑の目を向けるだろう。
万が一原因を突き止められても、今回の件に関してはビリーに全責任が行くように仕向けている。
なので、成否に
「姫の
「その通りよ」
女にとってビリーは操り人形でしかなかった。
彼女の
何故なら女に対して
「何も心配はいらないわ」
女はマッサージが気持ち良くて時折吐息を漏らす。
「わたくしが楽しめればそれでいいのよ」
顔を赤らめて悦に浸る女は自分の都合しか考慮していない。
「また何かあれば報告をお願いね」
「畏まりました」
フランコは