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第7話 貸し(二)

 ◇ ◇ ◇


 ブラッディウルフがレアル目掛け牙を剥き出しにして飛び掛かる。

 その瞬間――


反射リフレクション


 飛び掛かったブラッディウルフが空中で見えない何かに勢い良く頭からぶつかった。衝突したブラッディウルフは頭を強打し、目を回している。


「間一髪か」


 いつの間にかジルヴェスターがレアルを守るように立っていた。


 ――『反射リフレクション』は光属性の第五位階魔法であり、光の膜を出現させて攻撃を跳ね返す防御魔法だ。


 反射リフレクションに衝突したブラッディウルフは、衝撃を自分で受ける羽目になった。


 正に間一髪であった。もし少しでも遅れていればレアルは危なかっただろう。

 ジルヴェスターはレアルが頭を押さえて蹲ったと見るや、転移テレポーテーションを瞬時に行使した。そしてレアルの背後に現れたのだ。


 ジルヴェスターはレアルの肩に手を掛けると再び魔法を行使する。左手首に嵌めているMACが一瞬光り輝く。

 すると、ジルヴェスターとレアルの姿が忽然こつぜんと消失した。


 一連の動作にはジルヴェスターの技量の高さが垣間見える。

 判断の速さ、魔法の発動速度、魔法の精密性、どれを取っても一流だ。


「バウ?」


 目の前にいたはずの獲物が忽然こつぜんと姿を消したことに、ブラッディウルフが瞠目する。


 ブラッディウルフの群れはしばらくの間レアルがいた場所で右往左往するが、匂いが完全になくなった頃には別の獲物を求めて移動し始めたのであった。


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